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「農産品地理標志」の新規登録が廃止。「国家地理標志産品」に一本化へ

中国の原産地保護制度(地理的表示制度。いわゆるGI)は、異なる省庁が運営する3つの制度が並立しており、少し難解でした。
しかし、ここに来て、ついに一本化されるようです。

 

先日、農業農村部の広報がネットユーザーの「農産品地理標志認証政策への質問」に残したメッセージが広く注目を集めました。その返答では、2022年3月に、農業農村部は既に”農産品地理標志”の登録作業を中止したとのことで、これには申請の受理、審査、公示と公告が含まれます。2022年に制定された関連する登録計画もまた実施が停止されたとのことです。

このほか、農業農村部は『農産品地理標志登録手続き』の廃止に関する公告も発表しています。

我が国の茶葉の種類は非常に多いのですが、茶葉が農産品から広く流通する商品に変わるためには、そのブランドを立ち上げる作業が必要になります。”農産品地理標志”は公益性があり、地域公共ブランドを作る上での重要な道筋でした。

しかし、現在、農業農村部が”農産品地理標志”の登録作業を停止することは、茶産業に対してどのような影響が起こるのでしょうか?
農産品地理標志は、そもそもどのように誕生したのでしょうか?

2002年12月に改正された『農業法』の第二十三条の規定では、「産地及び生産規範要求が規定に適合した農産品は、関連する法律あるいは行政法規の規定に照らして農産品地理標志の使用を申請することが出来る」とあり、農産品地理標志という表記が初めて出現しました。

2007年12月、農業部は『農産品管理弁法』を公布施行し、標志は我が国の政府が初めて”農産品”という文字を使い、国内の地域農産品保護を実施するものでした。この弁法を根拠として、農産品地理標志の登録申請人は、具体的な条件を確定させた農民農業専門合作経済組織、業界協会などの組織から申し出を受けた、県級以上の人民政府が担当することになりました。

2008年、農業部は農産品地理標志の登録、管理作業を開始しました。同年、湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州の鶴峰県茶葉産業協会が書類を送付した鶴峰茶と湖北省黄岡市麻城市福白菊産業協会が書類を送付した麻城福白菊が初めての”農産品地理標志”を獲得しました。

2021年末までに、全国の農産品地理標志の数は3510件で、そのうち、茶葉類の標志の認証数は239件です。

なぜ”3つの標志を1つにまとめる”必要があるのか?

我が国は1999年から地理標志保護を開始し、元・質検総局、元・工商総局(元・質検総局、元・工商総局の地理標志関連の職能は既に国家知識産権局に分割された)、元・農業部(現在の農業農村部)の3つのシステムで天下を三分する形成になっていました。それぞれに対応する地理標志の区別は、国家地理標志保護産品(PGI)、地理標志商標(GI)、農産品地理標志(AGI)です。

3つの標志の比較表

国家の行政機構の変更により、元・国家質量監督検験検疫総局の原産地地理標志管理の職能は国家知識産権局に合併されました。2019年12月3日、国家知識産権局は正式に中華人民共和国地理標志専用標志を発表し、これは中国が地理標志専用標志の使用の規範化をさらに進める重要な措置でした。

中国地理標志専用標志は国家知識産権局が設立した公式の標志で、これを使用することは、その専用標志の製品の地理標志が既に国家知識産権局の登録が認可されていることを表明することになります。『中華人民共和国商標法』『中華人民共和国特許法』等の関連する規定を根拠に、国家知識産権局が地理標志専用標志についての登録プランを準備し、公的な標志の保護を受けられるというものです。

2020年4月、国家知識産権局は『地理標志専用標志使用管理弁法(試行)』を公布し、これは我が国の地理標志専用標志の統一を実現擂ることを意味し、我が国が統一の地理標志認定制度の下での保護モデルを打ち出す重要な基礎となりました。

2021年1月1日から、国は全く新しい国家地理標志専用標志の使用を開始し、元々あった3つの標志は全て廃止されました。

国家地理標志専用標志

ここに至るまでに、”三標併存”の時代は既に歴史となりました。国家知識産権局が国家地理標志専用標志の使用管理要求の統一的な制定の責任を負うことになり、国家地理標志専用標志監督管理体制を組織しました。地方の知識産権管理部門が国家地理標志専用標志の使用の日常的な監督管理の責任を負うこととなりました。

2021年2月、国家知識産権局弁公室は『国家地理標志産品保護模範区建設管理弁法(試行)』を発表しました。

現在までに、国家地理標志産品は2245件あり、そのうち茶葉は300件近い数を占めています。

 

国家地理標志を有することは、茶葉にとってどのような意義がありますか?

国家地理標志は、茶葉にとって最も良い身分証明であると言うことができます。

茶葉の生産者について言うと、国家地理標志を使うためには必ず保護区域内で生産された茶葉でなければなりません。生産者は厳格な生産ルールを遵守し、産出した茶葉の品質は政府部門の審査を受け、国家地理標志製品の標準に達していることが必要になります。これによって、生産者は国家地理標志の相対的な知名度を享受することができ、茶葉の国内市場における影響力と経済付加価値を高め、さらには茶葉の国際市場での競争力も高めることができます。

茶産地の政府について言うと、国家地理標志産品保護制度を実施することは、地方の特色ある産業の発展を促し、農村の振興を促進する上で重要な役割を果たします。これは茶産地の政府に国家地理標志茶葉のそれぞれの生産環境に厳格な監督を実施することが要求され、茶産地の政府が茶葉の生産と市場の状況をまず把握し、地元の政府と生産者の間で密接な連携を強化することになります。

消費者はより安心してお茶を購入できる

消費者についていえば、国家地理標志は茶葉の評判と価値を意味します。

そしてさらに重要なことは、国家地理標志保護を受けた製品は将来国家の推薦を受けることで、その他の国家あるいは地区の地理的表示産品の相互認証を行うことで、国際市場に打って出るのが有利になることです。2021年3月に発行した中欧地理標志協定で、中国は全部で59の茶葉の地理標志産品が協定の保護を受けることになりました。

 

中国の地理的表示制度の統一の流れが良く分かる記事だったかと思います。
地理的表示については、日本では未だに軽視する方がいるのですが、EUなどでは農産品の保護政策の基本になっています。
知的財産権の分野の話なので、少し難解な面はあるのですが、これが理解できるのと理解できないのでは、将来的に大きな差が生まれると思われます。

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