中国茶ファンのためのデータベース&ニュース

  1. 産地情報
  2. 1269 view

貴州省銅仁市は如何にして”中国抹茶之都”になったのか

11月26日に、貴州省の銅仁市で梵浄山抹茶大会というイベントが開かれ、抹茶産業の現状についての報告が行われたようです。
これに関連して、各メディアが銅仁市の抹茶産業の状況を報じています。

”ダブルイレブン(訳注:中国の独身の日商戦)の買う物リスト”に入るなど、ファッショナブルな抹茶は若い人たちの味覚を”攻略”し、若者の消費者層を捉えて、国内の緑茶市場に新しい風穴を開けました。
2018年には、貴州省銅仁市は”中国抹茶之都”と”中国高品質抹茶生産基地”の2つの看板を一挙に獲得しました。名声高まる中、熱い議論が絶えないのですが、どのようにして”中国抹茶之都”となり得たのでしょうか?

2018年、中国国際茶文化研究会は銅仁市を”中国抹茶之都”に認定した

今では、梵浄山のふもとには、茶樹が植えられている中にある貴州銅仁貴茶産業園には、単体で世界最大となる抹茶の精製工場があり、年間4000トン近い高品質の抹茶生産能力を有しています。この質問へ彼らが回答します。

独特の恵まれた資源と優れた生態環境

北緯30度に沿って衛星写真を回して見てみると、貴州省銅仁市のあたりは一面のオアシスになっています。夏には酷暑がなく、冬には厳しい寒さもなくて、緑に覆われた山が連なり、あるいは雲霧がたなびいていたり、あるいは霧雨が降り続いていて、茶樹はここで勢いよく成長します。

石阡高坪茶場

武陵山脈の主峰である梵浄山は、動植物の豊富な遺伝子庫を備えており、国連が発表した世界自然保護遺産地の1つで、森林カバー率は98%にも達し、マイナスイオンの含有量は1立方センチメートルに12万~18万個に達します。
”高海抜、低緯度、多くの雲霧、日照の少なさ”の4項目を全て備えているのです。

銅仁市が備える高品質な抹茶を生産するための茶葉品種と生態環境のメリット

国の農業農村部と市の品質検査機関の調査によると、銅仁市内で生産されている茶葉製品の水浸出物の含量は、38%~47.8%、茶ポリフェノールの含有量は16.7%~31.5%、アミノ酸の含有量は3.1%~10.6%に達していて、それぞれの理化学指標と衛生指標はいずれも国家基準と貴州省の地方基準よりも優れています。銅仁市には高品質な抹茶を産出することのできる茶葉品種が備わっており、さらに抹茶産業を発展させる上で、この上ない天然の生態環境というメリットもあるのです。

より高いレベルの地方基準

高品質な発展は”基準”を見ることで、業界での発言権も基準が”しっかりと運用”されているという状況から来るものです。

貴州省が発表した全国初の抹茶の地方基準

2018年10月、貴州省は『貴州抹茶』地方基準を頒布し、その中心となる指標はEU基準に比肩するものです。
生産技術:貴州抹茶基準は、被覆栽培、蒸気殺青、揉捻を経由せず、輻射熱による方法で乾燥させるなど鍵となる工程を明確にし、抹茶の品質を確保するとともに、”緑茶粉”のような”まがいもの”の出現を回避しています。
等級分類:貴州抹茶基準は国家基準に元々あった一級と二級のベースの上に、官能指標とテアニンの総量に基づいて特級の抹茶基準を設けており、貴州省特有の生態環境のメリットの元で抹茶がさらに高品質になることを明確に示しています。
安全指標:貴州抹茶の残留農薬基準では、イミダクロプリド、グリホサート、クロルフェナピル、アセタミプリド、ビフェントリン、インドキサカルブなど6つの項目は国家基準よりも厳格になっており、貴州省の茶産業が、生態、環境保護、安全、高品質の成長方向を志向していることを体現しています。

 

貴州省はEU基準の抹茶を生産

基準を厳守し、高品質な抹茶の生産の夢を追うために、銅仁市は1つ1つの国際”通行許可証”の取得に苦労を重ねてきました。すなわち、RA(レインフォレストアライアンス)、ISO9001、ISO22000、AIBなどの国際認証を取得したのです。”MADE IN TONGREN(銅仁市産)”の一連の茶製品の”覇気”は欧米の市場に陳列され、国際的な消費者と食品小売業から広い認可を受けるようになってきています。

市場における欠乏と抹茶の将来性

データによると、世界の抹茶の需要量は約1.2万トン以上であるとされていますが、世界の抹茶の生産総量は5千トン前後にしか過ぎません。市場で7千トン近いものが欠乏しているという大きな状況がある中で、市場には明るい未来が広がっています。

抹茶製品は消費市場で人気が上昇中

複雑な生産工程があることが、抹茶の製造技術の障壁を高めています。栽培から管理に至るまで、1つ1つの工程は、消費者が味わう際の味に直接影響します。
貴州抹茶の生産者は、優れた緑茶を選んで育てるところから、被覆、茶摘み、粉砕、蒸気殺青、乾燥、茎と葉の分離、急速乾燥、殺菌、研磨など10あまりの工程において”国際一流ラベル”を得ています。

茶樹に囲まれた貴州銅仁貴茶産業園内に世界最大の抹茶精製工場を建設

340畝あまりの面積を有した、世界最大の単体の抹茶精製工場が銅仁市に建設され、貴州省十大千億級工業産業リストに入選した生態特色食品龍頭企業が入居し、貴州抹茶の生産は”標準化、規模化、スマート化、ブランド化、グローバル化”にさまざまな工夫を施しています。ハードウェアの施設とソフトウェアの管理はいずれもEU基準を採用し、日本の標準的な抹茶技術と全自動化生産ラインを導入し、貴州抹茶製品に”安全””清潔””無添加”の素晴らしいラベルを貼り付けています。

清潔な貴州茶はすくすくと成長、抹茶産業の発展に、貴州省の勢いは虹の如し

貴州省の部門では、江口、徳江、思南、印江、沿河などであたらに抹茶の原料産地3.76万畝を建設し、抹茶原料産地への改造を1.6万畝行い、4.93万畝の面積を管理し、高品質な抹茶生産を10.29万畝建設しています。統計データによると、銅仁市は既に抹茶の年かんっさんりょうは1200トンあまりとなり、年間の産出額は3.2億元です。
発展目標は緑茶からさらに遠くまで伸びており、貴州省の抹茶産業を発展させるという決心は、まさに虹のような勢いになっています。

 

銅仁市だけで、既に1200トンの抹茶を生産しているそうです。
日本の碾茶生産量は令和元年度で3464トンとのことですので、1つの市だけで既に日本の3分の1の生産量があることになります。
生産設備は日本メーカーのものが入ったりしていますので、とんでもない強敵が猛烈な勢いで成長していることが分かるのではないでしょうか。
生産量などで抜かれるのはもはや時間の問題(2~3年のうちに、中国全体で日本の抹茶生産量を超えると思います)なので、そうなった場合の生き残り策を考えておかないと、日本の抹茶生産者も苦境に陥ることでしょう。

産地情報の最近記事

  1. 四川省沐川県の”窨花紅茶”が注目を集める

  2. 貴州省思南県、紅烏龍茶を初出荷

  3. 福建省南平市建陽区、駿眉中国・茶産業園プロジェクト調印式を開催

  4. 日除けを被る西湖龍井

  5. 横州市のジャスミン収穫が最盛期に

関連記事

PAGE TOP