プーアル茶は賞味期限が無いとか長期保存ができると言われます。
とりわけ、生茶と呼ばれる渥堆発酵をしていないものは珍重されるのですが、その変化について分かりやすくまとめている記事がありましたので、ご紹介します。
多くの人は普洱茶には、厚みのある味わいのお茶であり好みであることに加え、その養生効果もとても良く、特に中高年の人が飲むのに適しています。しかし、多くの人が比較的興味を持っているのは、普洱茶は飲み物でありながらも、なぜ賞味期限が無く、なぜ味が悪くならないのか、ということでは無いでしょうか?
なぜ、普洱茶に賞味期限が無いのか?その答えはとても簡単で、”古くなればなるほど香りが良くなる”からです。一般的には、”年代が古ければ、味わいはより薫り高くなる”と理解されています。普洱茶はなぜ古くなれば古くなるほど香りが良くなるのでしょうか?普洱茶の”陳化”の原理は、茶葉に含まれる化学成分が非酵素的な自動酸化が促され、酸化、分解、転化が起こり、褐色の物質が生成されて香りや味も変わっていく過程を引き起こすからです。
茶葉を保存しているうちに、エステルなどの化合物が酸化し、揮発成分である2,4-ヘプタジナエールなどの陳年茶の味の特性のある成分を生成します。ポリフェノール類、アミノ酸、糖類なども自動酸化され、テアブラウニンと黄褐色の重合体を生成します。これによって普洱茶は古びた香りがし、色沢も褐色になり、茶湯の水色も紅褐色になり、苦みや渋みの物質が減少し、味わいは段々と穏やかになっていきます。
もし普洱茶の水色を比較してみれば、その明らかな変化をはっきりと見ることが出来るでしょう。これが見て分かる転化です。なぜ多くのコレクターが普洱茶を収蔵するのかは、この点によるものです。古い生茶は本当に美味しくて、茶の性質も温和になり、口当たりも柔らかくなって、味わいも香りが良く、厚みがあり、甘みがあって、潤いがあり、滑らかな方向へ変わっていくのです。まさに古い生茶の味わいが、熟茶を作り上げたのです。人々が古い生茶の味わいが好きで無ければ、生茶の自然発酵の方法を模倣して、熟茶を作り上げようなどとは誰も思わなかったに違いありません。
普洱茶は古くなればなるほど香りが良くなるので、老生茶は収蔵価値があるだけでは無く、新茶の飲用価値をも高くするのです。ある人は、生茶は古くなればなるほど価値があると言います。これは嘘ではありません。新茶としてつくられたら、以後は毎年値段が上がっていき、数百から数千、さらには数万元になっていくのです。
<プーアル茶の転化の過程>
1.新茶期(1~3年)
茶湯の色は黄緑あるいは黄色で、香りには青みがやや多くあり、甘い香りがあって、口当たりは苦みや渋みがやや強いです。乾燥茶の色は墨緑色で、経験のある茶人は、どこの茶区のお茶かを見出すことができます。味わいにそれぞれの山韻を濃厚に感じることができます。
2.転化前期(3~10年)
茶湯は黄紅色で、香りの中にある青みはやや弱くなり、蜜甜香が出て来始めます。味わいでは苦みと渋みの角が取れてきます。乾燥茶の色は黒緑色で、淹れた後の茶殻は黄色になります。
3.転化中期(10~20年)
茶湯は紅色で、香りの中には青みが既に無くなっており、蜜甜香に混じって陳香があり、味わいは苦さや渋さが少なくなり、口に入れると苦みや渋みはすぐに心地よいものになり、茶湯は少し濃くなって重湯(米汤)のようになります。乾燥茶は黒くて艶があり、淹れた後の茶殻は褐色を帯びた黄色です。
4.転化後期(20~40年)
茶湯は深い紅色で、香りはクスノキの香りが強くあり、味わいには苦みや渋みが無く、茶湯は重湯のようになります。乾燥茶は黒褐色で艶があり、淹れた後の茶殻は浅い褐色で、どこの茶区のお茶かを判別することが難しくなり、口に入れたときの化韵はより明確になります。
5.陳茶期(40~60年)
茶湯はワインレッドで、香りはクスノキの香りに薬の香りが混じったものになり、味わいには苦みや渋みが無く、口に入れると重湯のようなトロッとした茶湯になります。乾燥茶は黒褐色で、淹れた後の茶殻は褐紅色で、口に入れたときの化韵は十分に楽しめるものになります。
6.老茶期(60~100年)
淹れたばかりの茶湯は艶のあるワインレッドで、香りは薬の香りが濃厚で、味わいには苦みや渋みが無く、口に入れるとすぐに変化し、茶湯は重湯と同じような重みになります。乾燥茶は黒褐色で、淹れた後の茶殻は褐色で、口に入れるとすぐに変化して、陳香がたなびき、歳月の経過が凝縮したような老韵があります。
7.古茶期(100年以上)
茶湯は艶のあるワインレッドで、透き通って綺麗で、薬の香りが濃厚で、口に入れるとすぐに変化し、茶湯は重湯のような重みがあります。乾燥茶は黒褐色で、淹れた後の茶殻は褐色で、古びた韵があり、口の中に香りが残ります。
説明しておかなければならないのは、現在、老茶期以上については、一つの推測に過ぎません。さすがに、本当の普洱老茶は本当に稀で、偽物が市場に溢れており、それぞれの人が自分のものこそ本物だと言い張り、真偽を判断するのは難しく、相応の時間を経た経験が必要です。
普洱茶は、賞味期限が無いだけでは無く、さらに”古ければ古いほど香りが良くなる”という美称があるのですが、それは当然、あなたがキチンとした保存が出来るという条件があってのものです。ある人は、伝統的な意味で茶葉には賞味期限は無く、ただ、茶葉は湿気を吸いやすく、さらに香りも吸いやすいのです。そのため、茶葉の内容物質の変化が引き起こされ、茶の味わい、品質が変わることがあり、これによって変質してしまうのです。
ここに書かれている陳化の経過については、あくまで一例です。
実際には香りのパターンや育つスピードについては、産地ごとの品種の微妙な違いであったり、保存環境(特に温度や湿度)によっても左右されるため、一概には言えません。
とはいえ、この内容は多く引用されているものなので、一つの目安にはなると思います。