雲南省臨滄市で開かれた「2023紅茶大会」の席上で、『世界と中国紅茶産業の成長状況』についてのレポートが行われたそうです。
その内容が利川市の茶産業協会で紹介されていましたので、ご紹介します。
紅茶は世界で最も広く生産消費されている茶類で、世界の茶葉貿易の中で主導的な茶類でもあります。
中国茶葉流通協会の姚静波副会長は2023紅茶大会の席上で、『世界と中国紅茶産業の成長状況』についての研討を行った際の内容を簡単にレポートします。
現在の世界と中国の紅茶の成長状況は、3つの部分に分けて詳しく述べていきます。1.世界の紅茶の成長状況 2.中国の紅茶の成長状況 3.中国の紅茶の成長への提案 です。
一.世界の紅茶の成長状況
1.世界の紅茶の生産状況
紅茶は世界で最も大きな茶類で、世界で最も広く生産消費されている茶類で、世界の茶葉貿易の中で主導的な茶類でもあります。
2016~2021年、世界の紅茶の生産量は313.6万トンから356万トンに伸び、その伸び幅は13.5%です。
紅茶の生産量は世界の茶葉の生産量の55%を占め、アジアの紅茶の生産量が世界の紅茶の生産量に占める割合は75%で、2021年のアジアの紅茶の生産量は268万トンです。アジア、とりわけ中国の紅茶の生産量の増大は、世界の紅茶の生産量が安定している中で上昇をもたらす強い原動力となっています。
2.各国の紅茶の成長状況
世界の紅茶の生産構造は基本的には安定しています。
2016~2021年の生産量のトップ10の国家はおおよそインド、ケニア、中国、スリランカ、トルコ、インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、ウガンダとアルゼンチンです。
中国の紅茶生産量は2016年の世界生産量第5位から2021年には世界生産量第3位に上昇しました。
インドは依然として世界で最大の紅茶生産国で、2021年の紅茶の生産量は132万トンで、紅茶の生産量はインド全体の茶葉産量の98%以上を占めます。CTC紅茶がインドの茶葉の主要な製品であり、CTC紅茶の核心産地はインド北部の州にあります。
近年の市場の緩やかな変化により、インドも徐々に伝統的な茶の生産量が上昇し始め、紅茶のリーフティーの生産にも取りかかっているところです。
ウガンダは世界の紅茶取引市場において、有力な新興勢力となっており、ウガンダ政府は地元の紅茶産業の成長を大いにサポートし、企業には優遇政策を与えることで、近年、世界の紅茶生産量の伸び幅が最大の国家となりました。
2021年の紅茶生産量は8.2万トンで、2016年と比較すると46.4%の伸びとなっています。
二.中国の紅茶の成長状況
1.中国の紅茶の生産状況
中国は茶葉の生産と消費で世界一の大国です。
中国の紅茶生産量は2009年~22年まで13年連続で伸びており、2022年の紅茶の生産量は48.20万トンに達しています。
紅茶の生産量トップ5の省は、貴州省、雲南省、福建省、湖南省、広西チワン族自治区です。伸び率が20%を越える省は、山東省、広西チワン族自治区、陝西省、甘粛省、四川省です。
中国の紅茶生産地域は、三大産区に分けることが出来ます。伝統産区、新興産区、復興産区です。
伝統産区:歴史は古く、製品や産業構造、標準システムなどが整っていて、ブランド知名度や市場認知度が高く、製品の付加価値も大きい地域です。
新興産区:政策のサポートや市場のブームなどで地域ブランドが既に形作られているものの知名度はまだ伸びしろが有、産業規模が急速に拡大し、製品のタイプも市場の需要によって淘汰されることの多い地域です。
復興産区:歴史の原因により、技法が失われたり産業が凋落してしまっており、ブランドストーリーなどは豊富ですが発掘整理を待つ必要があり、産業規模は全体的に小さく、市場認知度もまだそれほどでも無い地域です。
2.国内での販売状況
2022年、中国の紅茶の国内販売は38.13万トンで、12.54%伸びており、総販売量の15.90%を紅茶が占めるに到っており、中国の茶葉少尉構造の中での地位は上昇し、市場の認可を得ています。
消費される地域の特徴から見ると、多くの茶葉会社の販売の5割は華中、華東、華南の三大地区に集中しています。華北、東北、西北の3つの北方の地域は茶葉会社の売上マップの中では最下層にあり、東北地区の市場開発はその中でも最も不足しています。
製品の構造、価格とタイプの視点から見ると、一、二線都市の高級製品は75~150g、単価は1000~2500元の間にあります。普段使いの製品は100~250gの簡易パッケージに集中しており、単価は200~400元の間です。
三、四線都市はさらに価格を重視しており、単価は300~500元の間です。
3.輸出状況
2022年の中国の紅茶輸出量は3.32万トンで、前年比12.16%の伸びとなっています。輸出額は3.41億米ドルで、前年比17.83%の減少となっています。
輸出地域の調整があったことから、紅茶の輸出価格は下がっていますが、それでも茶葉の平均輸出価格よりは高くなっています。
三.中国の紅茶の成長への提案
伝統紅茶産区:地域公共ブランドの独特のメリットを活かしながら、より革新的な方向を模索して、イノベーションを行い、市場をより深く開拓していく必要がある。
新興紅茶産区:茶産地のブランドポジショニングとマーケットポジショニングを整理し、目標とするターゲット層に合わせ、製品を上手く合わせるように開発し、さらに地域ブランドイメージの建設をより良く行う必要がある。
復興紅茶産区:ブランドイメージを新たに形作り、歴史に立ち戻りながらも同時に歴史を作り上げていき、新しい時代の意義を付与して、伝統と現代を結びつけたブランドの色調を打ち立てていくべきである。
世界の紅茶市場との比較によって、中国の紅茶市場の独特さがより目立つようにも感じます。
コスト競争力の点から、やはり国内市場へ向けたイノベーション・・・という方向になりそうではありますが。