中国では政府の方針として、夏秋茶の有効活用を掲げています。
これに関して、四川省宜賓市の屏山県の当局が、夏秋茶がどのくらいの収入になるのか、を宣伝する記事を出していましたので、ご紹介します。
先日、屏山県屏山鎮缸坪村の茶園では、茶農家たちが晴れた良い天気を利用して、腰に竹かごを付けて、腰の高さぐらいまでになった茶樹の間を両手をひらひらさせるように回しながら移動し、熟練した手つきで茶葉を摘んでいました。
「私たちの秋茶はまもなく摘み終えるところです。1斤の生葉は4元で売ることができ、一日に一人が40斤前後摘むことができるので、百五、六十元の収入になります」と村民の鄧剛燕さんは言います。今はまさに夏秋茶の茶摘みの最盛期で、今年最後の茶葉の収穫です。
地元の茶葉工場の生産ルームでは茶葉の香りが鼻をくすぐり、整然と並んだ茶葉の加工機械も順調に運転しています。
新しい生葉が入ってくると、殺青、揉捻、理条、篩選、風選、色選などの工程を経て、清らかで甘い大衆茶に変わって、市場に売られていきます。
「私たちが現在主に生産しているのは直条毛峰で、毛峰は2つの級に分かれ、一級と二級です。現在、一級の毛峰の価格は1斤40~50元で売れ、二級毛峰の価格は20元前後です」とこの茶葉の生産責任者である雷毅さんは言います。春茶の生産はフレッシュさを追求しますが、夏秋茶の生産は量を追求します。
「今は夏秋茶の最後の生産の時期で、毎日平均3000斤のお茶を加工していて、今年の夏秋茶の総生産量は50万斤に達する見込みで、総産出額は1500万元前後になるでしょう」
県の農業技術スタッフの方の話によると、夏秋茶は成長スピードが速く、茶摘みの周期が長く、茶摘みできる量が多いので、経済的な効益は春茶を摘むだけよりも高いと言います。そして、夏秋茶を摘むことによって、来年の春茶の品質も良くなるとされ、ことわざにも「今年摘まなければ、来年芽が出ない」とも言われます。
さらに、地元の政府は茶園に対しての精細化した技術指導を行い、積極的に茶葉企業や茶農家を指導し、夏秋茶を摘んで生産し、茶園の利用率を高め、茶葉の産業チェーンを延長し、生態茶産業が持続的に”利益”を得られるようにし、茶葉産業の総合価値を高め続けています。
統計によると、2024年の屏山県の生葉産量は12.38万トン、荒茶産量は約2.75万トン、産出額は19.79億元に達すると見られており、昨年比で6.28%増加しています。
そのうち、夏秋茶の生葉の産量は7.17万トンで、荒茶産量は1.59万トン、産出額は4.2億元となり、昨年比で9.33%増加しています。年間の茶葉産出額の21.22%を占めています。
夏秋茶は一般的に「大衆茶」と呼ばれるジャンルに入ります。
価格は1斤数十元ほどと手頃であり、いわゆる日常茶はこのようなお茶が占めていて、生産量も圧倒的に多いのです。
しかし、価格は名優茶が中心となる春茶よりも低いため、農家や茶葉企業があまり前向きではないことも多く、地元政府が何とかハッパをかけて夏秋茶の生産を加速させようとしている構図が見えます。