中国緑茶の最大の輸出国はモロッコです。
そのモロッコが残留農薬基準の改訂を打ち出し、その対応に追われているようです。
先日、モロッコ国家食品安全局が発表した、G/SPS/N/MAR/62通達で、「中国から輸入される茶葉に適用する農薬残留許容量リスト」の制定を予告しました。この”許容量リスト”には茶葉に含まれる残留農薬の指標が48項目あり、このほか中国で使用がまだ許可されていない茶葉の農薬については、0.01mg/kgあるいは定量下限を実施するとしています。”許容量リスト”は2019年7月1日より施行する予定とされています。
モロッコは我が国の緑茶の最大の輸出先で、税関のデータによると、毎年6万トンあまりの茶葉を消費し、そのうち98%は中国からのもので、そのうちの90%は浙江省産です。”許容量リスト”が一旦実施されれば、その厳格さの度合いによっては浙江省の緑茶の輸出に重大な影響を及ぼすかもしれません。
企業が対策を取るためのよりよいサービスとして、浙江省標準化研究院(浙江省物品番号センター)は、5月31日に関連する業界協会、科学研究機関と企業の代表を招いて通達の評議会を実施し、モロッコの通達に対する対策を急いで行いました。
評議会は主に今回のモロッコの農薬残留基準が規則に合っているか、合理的か科学的かと我が国のモロッコへ輸出する茶葉の対応策についての評議と討論が行われました。評議を経て、最終的に通達に対する評議意見がまとまり、モロッコの茶葉農薬残留基準の制定が規則に合っていないことを指摘したほか、茶葉市場で対応する時間を確保するために、農薬残留基準の実施を行う前の過渡期を設けることを提案しました。
続いて、浙江省標準化研究院(浙江省物品番号センター)は世界貿易組織に評議意見を提出し、関連する法規の公布状況に注意を持続的に払い、積極的にモロッコ側とのすりあわせと協議を行って、最大限に我が国の茶葉輸出における貿易障壁を取り除き、予防することにしています。これと同時に、企業への指導とサポートを強め、技術的な貿易における対応措置をよく行えるようにします。
今回の評議会には、全国茶葉標準化技術委員会、中国農業科学院茶葉研究所、浙江省農推センター、杭州税関、紹興税関、福建省茶葉品質検査センター、浙江省農薬検定管理総所、浙江省農業科学院、浙江省茶葉集団股份有限公司、嵊州市瑞興茶業有限公司、浙江華大製茶有限公司などの機関の専門家が参加していました。
かなり急に決まった基準だったようで、産地にとっては寝耳に水の話だったようです。
その後、新しい農薬基準の施行は3ヶ月遅らせるとの報道もあったようですが、さすがにそれほど短期間では対応のしようもないので、移行期間を設けることの提案を行ったようです。