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  1. 科学と機能性
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緑茶の鮮爽な味わいはどのように形成されるか

高品質な緑茶に見られる「鮮爽」の味わいについて、考察した記事がありました。

 

味わいは茶葉の品質を決定づける鍵となる要因の一つで、鮮爽な味わいは名優茶の製品の等級を評価するための重要な参考指標であるだけではなく、消費者が緑茶製品を選ぶ時の重要な根拠です。

1.緑茶の味わいの分類

それぞれの茶類には、それぞれの味わいの特性があります。緑茶について家場、味わいのタイプは概ね6種類です。濃烈型、濃厚型、濃醇型、醇厚型、鮮爽型と清鮮型です。そのうち、鮮味(訳注:うまみ)は緑茶の茶湯がその他の茶類と区別される特徴的な味わいで、”鮮爽”は優質な緑茶の重要な評価指標です。たとえば、太平猴魁、顧渚紫笋、黄山毛峰と安吉白茶などです。

 

2.鮮爽の味わいの物質の構成

鮮爽の味わいは実際には茶湯の中に含まれる味わいを呈する物質の比率が協調して栗の中で、一種の新鮮で爽やかで、楽しい感覚を産み出すモノです。茶湯の中のうまみの物質は、昔の人々は茶湯の中のうまみの原因はアミノ酸類の物質であると大ざっぱに考えていました。研究によると、茶湯のうまみは主に遊離アミノ酸、テアフラビン、没食子酸、テオガリンなどです。テアニンにはカラメルのような香りとうまみ調味料に似たうまみがあり、これは緑茶のうまみの重要な要素ですが、グルタミン酸、テアニン、セリン、アラニン、プロリン、メチオニンなどのアミノ酸もまた緑茶の鮮爽味の特徴的な成分です。コハク酸、没食子酸は緑茶の中のうまみを増強させる化合物で、緑茶のうまみの強さを高めるかもしれません。このほか、鮮爽の味わいの特性と茶湯のポリフェノールとアミノ酸の比率には密接な関係があり、ポリフェノールとアミノ酸の比率が適当な緑茶の味わいはバランスがとれていて、味わいもさらにうまみが強く厚みがあって美味しく感じます。研究によると、茶湯の中の茶ポリフェノールの量は20~25%がもっとも良く、このベースがあった上で、アミノ酸の含有量を高めると、茶湯のうまみと厚みの度合いを高めることができて、よりよい鮮爽の味わいの品質を形成することができます。

3.鮮爽の味わいを形成する構造

緑茶の中の味を呈する物質は茶湯の中の含有量、比率が異なることによって、味わいの特性が異なり、これによって緑茶独特の鮮爽の味わいを形成します。緑茶の加工工程では、味わいを呈する物質は湿熱の条件の下で、一連の変化が生じます。たとえば、エステル型カテキンは湿熱の条件の下で水解し、遊離型カテキンと没食子酸を形成します。そして後者の苦渋味はエステル型カテキンと比較するとやや弱いので、ゆえに茶湯の苦渋味は低下します。高温で湿熱の作用を受けると、一部のタンパク質は水解してアミノ酸になり、うまみのあるアミノ酸の増加は茶湯のうまみと厚みの度合いを高めます。同時に、湿熱の条件の下では、一部のデンプンが水解して可溶性糖になり、茶湯の渋みを低下させて、味わいの厚みが増します。緑茶の実際の生産工程中では、さまざまな物質の増減の程度は技法によってそれぞれ異なり、加工が合理的になされているかどうかは、緑茶の味わいに比較的大きな影響を与えます。

 4.製造技術が緑茶の鮮爽の味わいに与える影響

緑茶の製造の基本技術は、攤青、殺青、揉捻、乾燥などの工程です。そのうち、攤青と殺青は緑茶の鮮爽な味わいに影響を与える鍵となる工程です。

生葉を攤放している過程で、カテキン類は呼吸によって消耗し、酵素によって酸化が促され、含有量が徐々に減少します。これらは茶葉の主要な苦渋味を呈する物質で、攤放後にその含有量が適度に減少すれば、茶湯の苦渋味を低下させることができ、茶湯の味わいのまろやかさを増すことができます。同時に、攤放の工程で、タンパク質の水解あるいは生物の合成による遊離アミノ酸の含有量は明らかに上昇し、茶湯の鮮爽度を高めることができます。研究によると、自然な攤放に比べて低温攤放処理は大幅に攤放の時間を延長することができるので、これをベースとして、緑茶の製品の味わいの品質を高め、鮮爽度を増すことができます。

殺青は緑茶の品質を形成する重要な工程です。殺青の時間が短すぎると、多糖類、タンパク質と茶ポリフェノールなどの物質の水解と転化が不十分で、可溶性糖、遊離アミノ酸などの味わいの物質の転化が少なくなってしまい、茶湯の鮮爽の味わいを形成するのには不利になります。現在、大量生産されているものには主に、マイクロ波殺青、ドラム殺青、蒸気殺青と熱風殺青などがあります。研究によると、ドラム式の作業による電磁内熱殺青は、新たな段階的な処理を用いることによって、前半にまず高温で素早く酵素を壊して、生葉内の酵素による酸化作用酵素の働きを止め、その後に徐々にドラムの温度を低くすると、アミノ酸、可溶性糖、芳香物質などの色、香味成分の形成に有利となって、これによって作られた緑茶の色は緑でツヤがあって、香りは清らかで高く、味わいは鮮爽になるとのことです。

鮮爽というのは、うまみと爽やかさを兼ね備えた味わいの表現のことです。
かなり細かく味わいに与える成分の特定が進んできているので、より科学的に製法を考えることが増えてきているようです。

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