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雲南特有の茶樹品種・紫娟について

主に雲南省で生産されている紫色をしたお茶・紫娟(しけん)茶について、まとめた記事がありましたので、ご紹介します。

 

「紫娟」(Camellia sinensis var.assamica ‘Zijuan’)は雲南省原産の特異性のある茶樹の新品種です。
その始まりは雲南省農業科学院茶葉研究所の周鵬氏が1954年に勐海県南糯山の在来種の茶園の中から発見した芽葉が紫っぽい茶樹で、のちに王平氏が周鵬氏によって提供された手がかりを元に、南糯山から導入した在来種の茶園の中で、一株の茎が紫で、葉も紫で、芽も紫の茶樹を発見しました。初めは「紫尖」と命名されましたが、のちに「紫娟」と改名されます。
1985年に人工的に選抜育成された無性系品種となり、2005年に国の林業局の植物新品種保護弁公室から保護を受けるようになり、品種番号は20050031となりました。
挿し木での繁殖と移植した後の成活率が高く、海抜800~2000mの日照が十分で、温暖で湿潤で、土壌が肥沃で、phが4.5~5.5の環境で生育するのに向きます。

「紫娟」の生物学的特性

 

「紫娟」は小喬木、大葉類の中生種に属し、樹姿は半分開いていて、分枝する部位はやや高く、分枝の密度は中程度で、主幹の枝はやや太くて、新梢の芽葉は成長すると紫の芽、紫の葉、紫の茎をしていて、半木質化すると茎は赤紫色になり、木質化した茎は褐緑色になります。
育芽力は強く、発芽密度は中程度で、芽葉はやや太くて、産毛が多く、柔らかさの持続性が強く、葉は緑色で微かに紫になっていて、葉っぱは斜め上向きに付いていて、柳の葉の形をしており、葉の先端や葉はやや硬く、葉脈は平均して9~11対で、葉面は平たく滑らかで、葉の縁は平たく整っており、鋸葉は浅く、鋭さが無く、少ないです。
花の萼は5枚で、浅い紫色をしていて、産毛はありません。5~6の花弁は、緑がかっていて、産毛はありません。花弁の花柱は3つに裂け、雌蕊と雄蘂は高さが同じで、基の部分が繋がっています。子房には産毛が多いです。茶果は球型あるいは長い楕円形で、果皮の色は微かに紫色です。

紫娟茶の加工及び品質特性

現在、「紫娟」は雲南で既にかなりの規模で栽培されており、さらに国内の各主要茶産地に導入されて栽培されています。
製品の面では、紫娟茶を原料として六大茶類に加工する取り組みを続ける人がおり、多くの製品が作られています。しかし、紫娟普洱茶にする加工技術がもっとも成熟していて、多くの消費者に歓迎され認知されており、独特の紫娟普洱茶シリーズの製品を形作っています。

紫娟緑茶(烘青および晒青):外観の条索は太くてしっかり締まっていて、色は黒っぽい紫で、ツヤ光沢があります。淡く清々しい香りと、淡い熟した栗の香りがあたり、淡い漢方薬のような香りがあったりします。水色は熱湯の時は朝紫色で、透明感があって明るさもあり、温度が下がっていくと色はくすんでいきます。口に入れると微かに苦渋みがありますがすぐに転化し、清らかで滑らかで柔らかい味わいで、味わいには厚みがあり、戻りの甘さが長く続きます。茶殻は柔らかく、色は藍色になります。

紫娟紅茶:外観の条索はやや締まっていて、やや真っ直ぐで、微かに産毛があり、やや黒っぽいです。水色はやや紅くて少し明るさに欠け、香りはやや濃郁で蜜香があり、味わいは平板で、茶殻はやや硬くやや紅いです。

紫娟白茶:茶の条索はしっかり締まっていて、色は銀白色で、白毫がよく見えます。水色は杏黄色で明るく、産毛の香りがややハッキリとしていて、味わいは甘くて厚みがあります。

紫娟烏龍茶:外観の条索はしっかり締まっていて、色は黒っぽくてツヤがあり、香りは濃行くで、味わいは厚みがあって戻りの甘さがあります。水色は黄金色で、茶殻は黒っぽい緑で紅い縁があります。

 主要な化学成分と生理機能

紫娟茶にはアントシアン類の成分が豊富に含まれるほか、フラボノイド、カテキン類、アミノ酸、微量元素など多くの成分が含まれています。
もっとも突出した特徴はアントシアンの含有量の高さで、このために強い抗酸化活性と顕著な血圧を下げる効果があり、徐々に消費者に新しい健康飲料としての評価が高まってきています。
紫娟茶のアントシアンは、抗酸化機能を主として、菌の増殖を抑え、皮膚を美しく白く保ち、安全で、無毒な血圧を下げるなどの生理機能を持った、一種の天然の食用色素です。

最近は、多くの学者が紫娟茶の加工技術の研究に力を入れていて、それぞれの加工技術によって、製品茶の化学成分には差が生じています。
時鴻迪氏らが紫娟の生葉を原料として、烘青緑茶、晒青緑茶、紅茶、白茶及び黒茶の加工技術で5種類のお茶を作ったところ、5種類の茶の中で烘青緑茶がもっともアントシアンの含有量が多く、晒青緑茶がその次だったそうです。カテキンの含有量は発酵程度が深まるにつれて低くなっていきます。黒茶の没食子酸の含有量が最も多くて、白茶ではアミノ酸の含有量がもっとも多く、そしてカフェインは紅茶の含有量が最も高かったとのことです。
張正艶氏らが4種類の加工技術で作った紫娟茶の化学成分を測定したところ、アントシアン、水浸出物、茶ポリフェノールとカテキンなどの化学成分の含有量は紫娟緑茶と普洱生茶のものがやや高く、紫娟紅茶と普洱熟茶はやや低かったそうです。
陳保氏らが4種類の異なる加工技術で作った紫娟茶のサンプルに対して香気の分析を行ったところ、検出された香気成分は全部で146種で、晒青茶は81種、烘青茶は80種、紅茶は68種、熟茶は69種で、そのうち共通する成分は30種だったそうです。晒青茶の主要成分には、マツタケオール、2-エチルヘキサノール、ジヒドロリナロール、βーテルピネオールなどがありました。烘青茶の主要成分には、リナロール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、マツタケオールなどがありました。紅茶の主要成分には、リナロール、エポキシリナロール、cis-リナロオールオキシド、ベンジルアルコールなどがありました。熟茶の主要成分には、ピロガロールトリメチルエーテル、エポキシリナロール、cis-リナロオールオキシド、2-エチルヘキサノールなどがありました。

 

アントシアン類の含有量が多いことで知られる紫娟茶ですが、現時点では普洱茶としての利用が多いようです。
日本のサンルージュもそうですが、アントシアン類の機能面での期待は高いものの、商品化がなかなか難しいようです。
当面はアントシアン類が豊富で、その面での機能が期待できるかもしれない、色の変わった普洱茶という位置づけになりそうです。

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