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ジャスミン茶がよくわかる、7つのQ&A

ジャスミン茶に関する疑問について、簡潔で分かりやすく紹介されている記事がありました。

 

ジャスミン茶は我が国特有の再加工茶類で、多くは緑茶を原料茶とし、ジャスミンの生花で香り付けして作られ、香りは馥郁として、味わいは爽やかでうまみがあります。我が国のジャスミン茶産業の歴史は古く、技法は独特で、生産販売量も多く、幅広く消費されており、文化の蓄積も豊富などの特色があり、その清らかで優雅な花の香りと爽やかで厚みのある味わいによって消費者の好評を博しています。

上等な茉莉花茶を作ろうとするならば、花は非常に重要です。ジャスミン茶は産地の違いにより、その製造技術と品質もまた異なるのです。それでは、どこ産のジャスミン茶が美味しいのでしょうか?各産地のジャスミン茶にはどのような違いがあるのでしょうか?

広西チワン族自治区横州市(2021年7月、横県は県を廃止し、市となった)、四川省犍為県、雲南省元江県と福建省福州市は我が国のジャスミンの四大主要産地です。このコラムではみなさんと一緒に四大ジャスミン産地を巡り、それぞれの特色を持ったジャスミン茶を見ていきましょう。

 1.なぜジャスミン茶には花があるもの、花が無いものがあるの?

ジャスミン茶はフレッシュなジャスミンと緑茶の原料茶を混ぜ合わせることによって香り付けして作られるお茶の種類で、一般に直接花を浸して飲むような花茶とは異なり、香り付けした後に花を取り除いた後でも茶には香りが残ります。いわゆる”窨製”とは、すなわち香り付けのことです。ジャスミンと茶葉を一緒に積み重ね、混ぜ合わせて、茶葉が十分に花の香りを吸うようにします。このために、製品のジャスミン茶に花が無かったとしても、茶の中にはジャスミンの香りがあるのです。一般的に言えば、廉価版のジャスミン茶は香り付けが3回以内で、高級な製品は5回以上の香り付けが必要です。

通常の話で行くと、福建省福州の高級ジャスミン茶は、一般に茶と花を分離するので、製品の中に花が見つからないことも多いです。広西チワン族横州のジャスミン茶の大部分も花を見つけることはできません。しかし、雲南省元江ノジャスミン茶は通常製品の中に後からジャスミンの乾燥花を入れます。四川省犍為のジャスミン茶も少量のジャスミンの花びらを見つけることができます。

参考写真

 2.香り付けが終わったら、なぜジャスミンの花を篩分けして取り除かなければならないのですか?

これはジャスミンの生花には、水分が含まれており、原料茶は乾燥していて、乾燥した原料茶が湿気を吸って変質するためです。もし花びらを分離して取り出さなければ、残った花びらが籠もったような味を産み出してしまい、茶湯の口当たりや味わいに影響を与えてしまいます。等級の低いジャスミン茶の中には、多くの黄色くなった乾燥した花を見つけることができます。

 3.乾燥した花の入っているジャスミン茶葉、品質が低いのですか?

一概には言えません。ジャスミン茶の中に乾燥した花があるかどうかは、各地の製茶の習慣や好み、それからジャスミン茶の等級とも関係があります。たとえば、四川や重慶で流行している碧潭飄雪は、基準では少量のジャスミンの乾燥花を入れることになっています。

 4.私たちが飲むジャスミン茶はどこ産のものが多いのですか?

よく、”世界に10粒のジャスミン茶があれば、その6粒は広西横州産だ”といわれます。生産量から見ると、市場の大部分のジャスミン茶は広西横州産です。

横州市は、広西チワン族自治区の県級市で、南寧市の管轄下にあります。

我が国のジャスミンの産地といえば、生産量のトップはまさに広西横州市です。聞くところによると、横州市のジャスミンの栽培面積は既に12万畝を超え、年間の生花の生産量は9.5万トンにおよび、ジャスミン(茶)の産業年間総合産出額は125億元です。ジャスミンの産量とジャスミン茶の産量シェアでは全国の80%以上を占め、世界の60%以上を占めます。総合ブランド価値は206.85億元で、蝉聯は広西チワン族で最も価値のある農産品ブランドで、名実ともに世界最大のジャスミンとジャスミン茶の生産加工基地になっています。

横州のジャスミン園

 

 5.どこのジャスミン茶の価格が高めですか?

相対的に言うと、中国のジャスミン茶の4大産地の中では、福州地区のジャスミン茶の平均価格が最も高いです。福州茉莉花茶は香り付けの回数が最も少なくても4窨で、6窨~8窨というものも比較的よく見かけて、最高は9窨です。このため、福州茉莉花茶の製品価格は相対的に高くなります。
聞くところによると、上等な福州茉莉花茶は必ず福州の地元で栽培したものを使い、かつ”伏天(訳注:夏の一番暑い時期である三伏の時期)”に摘まれたジャスミンを使わなければなりません。
ジャスミンの花はその日に摘み、雨の日のジャスミンは使うことができません。そのため、ジャスミンの花の季節に製茶する人たちが最も祈ることは”天が雨を降らさないように”ということです。

福州市は福建省の省会都市(訳注:省都)です。

福州茉莉花茶は福建省福州市の特産で、中国国家地理標志産品です。福建省福州市は世界ジャスミン茶の発祥地で、世界に誇るジャスミン文化の裏付けがあります。2014年11月、花茶製造技術(福州茉莉花茶窨製技術)は第4回国家級無形文化遺産代表性項目リストに登録されました。

福州春倫茉莉花生態基地でジャスミンが花開く

 6.毎年どこのジャスミンがもっとも早く発売されますか?

雲南元江県のジャスミンは開花が早く、花のシーズンも長く、香りと味が濃厚だということで市場の認知を受けています。高原状にあって十分な太陽光があり、肥沃な紅土に加え、元江独特の低熱河谷気候によって、ここの花のシーズンは四大産地の中で最も早く、通常は3月下旬には花摘みが始まり、花のシーズンは他の産地に比べると2ヶ月前後早く、このために価格的なメリットがあります。

元江県は雲南省玉渓市に属します。

同時に、香りと味が濃いという特徴から、元江のジャスミンの多くは濃香型ジャスミン茶として作られます。窨製技術では、三窨の花茶が主流です。このほか、元江のジャスミンは水分が低く、炒花香などのメリットもあるので、浙江省、四川省、安徽省などの茶商がジャスミン茶加工用の茶葉を買いに来ます。現在、元江県のジャスミン栽培面積は3600畝あまりで、年間の生花の買い上げ量は4400トンあまりです。

元江県のジャスミン取引市場

 7.花のシーズンが短く、単位面積あたりの産量が低いジャスミンは良いのですか?

他のジャスミン産地と比べて、四川省犍為県のジャスミンの花のシーズンは短く、単位面積あたりの産量も低いのです。このような欠点を見ても、実のところ犍為のジャスミンにはメリットがあります。犍為のジャスミンの花の蕾は大きく、花弁が厚く、花びらの重さが重たいという優れた特性があり、これに加えて、”炒花”という加工技術があるので、犍為茉莉花茶の湯色は鮮やかで明るく、熟した香りと余韻、味わいの旨みと爽やかさの独特の魅力を有していて、省内外で高級花茶を作るのであれば、まず選びたい花になっています。

犍為県は四川省楽山市に属します。

このほか、ここの気候は四季がはっきりしており、岷江、馬辺河流域にあって土壌の有機質、セレン元素の含有量が豊富で、さらに工業汚染が無い地域にあり、これらはずべて犍為ジャスミンの品質の面で優れた生長条件になっています。四川省犍為県は全国2位のジャスミン栽培産地で、現在、花園の面積は8.5万畝あり、全国で品質最も優れたジャスミン産地の一つになっています。

四川犍為のジャスミン栽培園

 

ジャスミン茶は身近なようでいて、産地の詳細な情報があまり伝わっておらず、このような内容を聞いたのは初めて、という方も多いのではないかと思います。
身近な価格でありながら、その製法は非常に複雑で、高度な技術と大量のジャスミンの花に支えられており、追究しがいのあるお茶の一つでもあります。

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