白茶の名産地として知られる福建省寧徳市の福鼎市ですが、当然、その中にも著名な産地というものがあります。
点頭鎮などが有名ですが、あまり名前を聞かない磻渓鎮について紹介している記事がありました。
白茶の話をするのであれば、どうしても福鼎を採りあげざるを得ません。白茶の発祥の地であり主要産地であり、福鼎白茶は産地によっても細かく分かれ、福鼎の産地は主要な四大産地に分かれます。磻渓鎮、管陽鎮、秦屿鎮(訳注:太姥山鎮)、点頭鎮です。
茶とワインは同じように、異なる産地で産出される製品の品質は異なります。今日はみなさんに四大核心産地である磻渓鎮のお茶についてお話ししたいと思います。
磻渓鎮は、白茶を飲むことが好きな方であれば知っているかもしれません。
磻渓鎮はかつては交通条件が悪く、市内から離れています。そのため、どんなに良いものであっても宣伝をするのは難しく、市内に近い点頭鎮の方が名前が売れています。
以前は磻渓鎮の茶葉は他の茶山の名前を冠せられて市場で流通されることを余儀なくされていました。しかし白茶のファンの心の中では、磻渓鎮のお茶はより良いものです。
地理的な位置
福鼎の地域内の地勢は、東北、西北、西南から中部と東南の沿岸に波のように傾斜しています。港湾地区にある沖積した小さな平原を除けば、みな山々が起伏した丘陵地になっています。
磻渓鎮は福鼎市に属し、福鼎市で最も大きな鎮で、福鼎市南西部にあり、総面積は220.21㎢、福鼎市の陸地総面積の約7分の1を占めています。
福建省の省級生態鎮であり、磻渓鎮は95%の地域が高山地区に属し、平均海抜は500m以上、森林カバー率は88%以上、緑化率は96%以上に達します。
磻渓鎮は山を除けば花と草と樹木であるとも言え、そのため福鼎人から見ると、磻渓鎮は福鼎市の”肺”なのです。
このようなことから、福鼎でも生態環境が屈指の白茶産地なのです。私たちが皆知っているように”高山の雲霧は良いお茶を産する”ので、茶葉の品質に与える影響はかなり大きいと思われます。
海抜が100m高くなると、気温は0.6℃下がり、高山の上の気温は低く湿度は高くなります。この温度湿度は、見えない形で白茶の体内でのさまざまな生物代謝(窒素の代謝を促し、炭素の代謝を抑える)を調整するのです。
加えて、昼夜の温度差も大きく、白茶の生長と養分の蓄積には非常に有利なので、甘く戻りの甘さがあるという品質を形成します。
地理環境
磻渓鎮の地域内では、茶園の大多数は深い山の中にあり、福鼎市西部の最高峰である海抜1141.3mの青龍山は磻渓鎮の産地内にあり、さらに7座の1000m以上の高山を擁しています。鶏母尖、目海尖、大尖頂、牛桐坡、葫蘆門岡頭、流米仔などで、”福鼎の背骨”ともいわれ、比較的明確な高山雲霧の特性を有しています。
ここから見られるように、管陽と磻渓は福鼎白茶の高山茶の代表として同じように見られますが、磻渓の山の方がより深くて原始的です。
我々は衛星写真を見ると、それをよりはっきりと見ることができ、磻渓地域の緑色は管陽よりもより深くなっています。
茶の栽培の歴史
実際は磻渓の茶葉栽培の歴史は、1279年に既に見られます。ここでは山が高く遠くにあるので、茶園の多数は地元の住民の祖先たちが植えたものです。
交通が不便であったため、茶葉は輸送された他の地域での茶葉原料となっていたので、茶あの歴史は実際にはとても長いのですが、その名声はそれに応じたものではありません。
しかし、交通が改善され、宣伝とプロモーションが行われるようになるにつれ、磻渓鎮の白茶は段々より多くの人たちに知られるようになってきました。
磻渓鎮は製茶の歴史も古く、伝統技術も深みと厚みがあります。
天然の環境と位置は、磻渓の優質な高山白茶を作る上での非常に良好な基礎となっています。この白茶を飲むと、私たちは純粋さを飲むことができます。
茶樹の生長環境
茶樹は日陰を好み、強い直射日光を嫌います。山の谷の間で、散乱光が多く、湿気が大きいというのが、優良な茶葉が生長する気候条件です。
我々がしきりに追いかける武夷岩茶の三坑両澗のように、小気候条件というのはまさに複製ができないものなのです。
茶葉について言えば、本当に”山であるほど良い”のです。実はある言われ方があって、”点頭は潜山系、管陽は高山系、磻渓は深山渓”と言われます。
磻渓鎮は、場所が辺鄙な山の中にあり、人煙が極めて少なく、環境が勝っていて原生態とも言えます。山の上には常に雲霧がたなびいています。
陸羽は『茶経』で”爛石に生ずるものが上、礫壌に生ずるものが中、黄土に生ずるものが下”と書いています。
福鼎地域の土壌は酸性によった紅黄壌が主で、この土の質は茶樹の生長に十分に適したものです。そして磻渓鎮は福鼎白茶の深山産地で、植物の繁茂が盛んで、生態環境の保存度は良好で、かつて過大な開発や破壊が行われたことがないので、土壌に含まれる栄養物質はより豊富です。
加えて、磻渓の地勢は高く、土石の風化程度も比較的高いので、土壌の中には爛石などが含まれており、有機質とミネラルも十分豊富で、茶樹の生長には有利です。陸羽の”上者”の茶にとても良く適合すると理解できます。
空気、水の条件は国家一級基準に達しています。土壌は黄紅礫壌が主で、有機物質とミネラルの含量が高いのです。
これら全てが、高山の雲霧が良いお茶を生み出すことの良い証拠となっています。
ここの海抜は十分高くて、茶葉は豊富なミネラルと有機物質などの栄養成分を有効に蓄積し、茶葉は厚みを持ったものに生長します。
ここは深い山の中であり、茶園の多くは地元の住民の祖先たちが植えたものですが、その後の管理が疎かになっており、茶樹の年齢も古く、人手がは要るよ地が少なくなっていて、それが却って意図しないうちに、高品質な原料茶を生み出しているのです!
山が深いということは磻渓白茶の優良な品質の上での、備えなければならない条件となっています。
大変わかり易く、科学的な視点からもちゃんと論理的に整理された記事だと思います。
同じ福鼎産の白茶といっても、産地の環境が大分違うので、地域によって全く違う風合いを持つものがあります。
台湾の高山茶などは、かなり詳細な地名などが出てくることが多く、解像感(情報の精緻さ)が高い印象ですが、他の産地でもこのような産地の違いがあります。
私たちが知っているお茶の知識は決して解像感が高いものばかりでは無いので、こうした情報を補って、徐々に解像感を高めていく必要があるように感じます。
それを積み上げていくことで、お茶がより分かるようになるでしょうし、解像感の高い情報を加工することで、よりスッキリとした低解像度の情報が提示できるようにも思います。