国連食糧農業機関(FAO)が創設した、世界重要農業遺産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems・GIAHS。略称・世界農業遺産)の中国側の登録準備リストに、雲南省双江ラフ族ワ族プーラン族タイ族自治県の勐庫古茶園と茶文化システムが登録されたようです。
先日、農業農村部事務所は第2回中国世界重要農業文化遺産準備リストを発表し、雲南双江勐庫古茶園と茶文化システムの名前がありました。
双江勐庫古茶園と茶文化システムは茶樹品種資源と生物多様性の活きる遺伝子バンクです。双江勐庫大雪山野生古茶樹群落は現在1.27万畝が現存しており、海抜2200mから2750mの間にある原始森林の中に分布しています。中国農業科学院茶葉研究所の専門家の考証を経て、これらは国内外で既に発見されている中では海抜が最も高く、密度が最大で、原始的な植生によって保存された最も完璧な古茶樹群落であるとされ、珍しい茶樹品種の資源の宝庫で、旅行と探検には素晴らしい聖地です。システムの中には百年以上の栽培型古茶園も2万畝あり、6つの郷(鎮)34の行政村に分布しています。珍しい古茶樹資源と周辺地域はともに茶樹の起源と変化、人類の発見利用、馴化栽培の完璧なチェーンを構成しており、きわめて重要な科学研究と保護価値を有しており、さらには非常に多くの農家に生計を立てる糧を与え続けています。
双江県の各族の人々は茶を植えるだけでは無く、茶を飲み、薬として利用し、料理にもお茶を用いていました。長い生産と生活の過程で、光輝く茶文化を創造してきました。統計によれば、双江自治県の2018年の茶園面積は23万畝で、栽培に携わる農家は32500戸で、県内の総農家数の80%を占め、そのうち摘採面積は153394畝で、県内の茶葉総産量は13038.7トンで、茶葉による農業産出額は75063.6万元を実現しており、茶農家の一人あたりの平均収入は5774元です。
近年、双江自治県委員会、県人民政府は茶業を双江県の”一県一業”の主導的な産業とすることを定めてきていて、雲南勐庫古茶園と茶文化システムの保護、伝承と利用を高度に重視しており、「発掘の中での保護、利用の中での伝承」を基本方針として堅持し、さらにより保護の力を強めるために、完璧な『保護と発展計画』を作り、双江勐庫古茶園と茶文化システムを、双江県の茶葉産業が持続可能な発展と農村の生態文明建設の度合いを強め、当地の農民の就業と収入の増加をもたらし、農村の振興を行うことで、地元の経済と社会の発展を行う上での重要産業とすることを企図しています。
取材によると、今回、農業農村部は認定した全国36の伝統農業システムが第2回中国世界重要農業文化遺産準備リストに登録されましたが、これは『重要農業文化遺産管理方法』(農業部公告2283号)に基づいて選定されたもので、雲南省、臨滄市農業農村行政主管部門の推薦によって選抜され、農業農村部世界重要農業文化遺産専門家委員会が審査を行いました。今回の審査では農業文明の発掘保護と伝承を強め、生態文明建設と文化建設を早め、農村の振興戦略の実施を促進するという旨が述べられています。
なお、今回の第2回リストには、お茶関連では以下の6つの農業システムが登録されています。
- 福建安渓鉄観音茶文化システム
- 福建福鼎白茶文化システム
- 湖北恩施玉露茶文化システム
- 湖北赤壁羊楼洞磚茶文化システム
- 貴州花渓古茶樹と茶文化システム
- 雲南双江勐庫古茶園と茶文化システム