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”鉄瓶を使うと水質が柔らかくなる”は本当か?

中国人に人気の日本の鉄瓶ですが、コレクター向けのメディアが、その非科学的なもてはやし方について断じていましたので、ご紹介します。

日本老铁壶,中国茶界的最大忽悠?

很多行业都流行炒作,茶行业是个中翘楚。近年来越来越热的一项炒作是“老铁壶”——一把烧水的铁壶,几万算是平常,几十万也不罕见,在某拍卖中,甚至出现了近百万的天价。

本篇文章来源于第一茶叶网 原文链接:http://news.t0001.com/a/201608/00005121.html

多くの業界ではどこも派手な宣伝が流行っていますが、茶業界はその中でも得に優秀なものです。ここ数年、特に派手に宣伝されているのは”古い鉄瓶”で、お湯を沸かす鉄瓶が1つ数万元というのは普通で、数十万元というのも珍しくはなく、あるオークションでは、100万元近い法外な値段のものも現れました。

本来、”古い鉄瓶”は工芸品や或いは骨董品として見られます。”文化的な価値”があることから、どのような価格で売り出すかは、それぞれの事情があります。しかし、派手に売り出すためには“特殊な効能”や”健康効果”も捏造するのですが、これらについては、かなり怪しいものです。

古い鉄瓶を紹介する中では、たいていこのような特別な点が挙げられます。1.高い水温を保てること。蓄熱力が強いため。2.水質を柔らかくし、二価の鉄イオンを放出するので、山泉のような効果を作り出せる。3.鉄瓶は熱を受けると大量の二価鉄を放出するので、茶の中のタンニン酸、茶ポリフェノールに作用し、人体に必要な鉄元素を補充できる。

しかし、この3つの”特別な点”はいずれも不確かなものです。

まず、お湯を沸かすことで到達する温度は、その土地の水の沸点までです。水の沸点はその土地の大気圧によって決定され、どのような材質の湯沸かしを使うかは関係がありません。熱力学の中では、水の中に大量の溶解成分があれば、沸点を高くすることもできますが、しかし鉄瓶から水の中に移る鉄というのはほとんど無視できる程度のもので、水の沸点に影響を与えるほどのものとは数千万里の距離があります。通常言われる、鉄瓶が自動温度調節の電熱による湯沸かし器よりも到達温度が高いというのは、自動温度コントロールのスイッチをオフにする温度設定が沸点よりも低いからで、このため水が実際にはまだ沸騰していないから、ということもありそうです。どのような材質の湯沸かしを使用したとしても、火の上に掛けさえすれば、水の沸騰する温度はどれも一緒です。

”蓄熱能力”については、その湯沸かしの伝熱係数と厚みによります。ガラスや陶磁器などの材料と比べると、鉄の伝熱係数はさらに大きくなります。つまり、もし湯沸かしの厚みが、同様の厚さであれば、鉄瓶はガラスの湯沸かしや陶磁器の湯沸かしよりもずっと早く熱を逃がしてしまいます。いわゆる”蓄熱能力が強い”というのは、一種の心理的な感覚に過ぎません。まして、もし”蓄熱能力”を比べるのに、このような温度の下がりやすい湯沸かしと保温ができるよう設計された電熱湯沸かしを比べるのであれば、それは言うに及びません。

それぞれのお茶には、それぞれに適した温度で淹れることが必要で、温度が高ければ高いほど、味が良くなる訳ではありません。例えば緑茶は、沸騰した温度よりも遙かに低い水温で淹れる必要があります。伝説の中では、古い鉄瓶は高温が必要であるプーアル茶や紅茶などに”合う”とされていますが、しかしこれらの種類は”古い鉄瓶”の聖地である日本では、主流ではありません。日本人の発明した”水温を高める”という鉄瓶について言うのならば、あまり高温が必要では無いお茶のためであるというのが、実際のところではないでしょうか。

次に、”水質を軟化させる”、”二価の鉄イオンを放出し、山泉と同じような効果がある”という点についてです。鉄瓶が多少、鉄イオンを放出しないとは言えませんが、その放出される量はほんの僅かな量で、この2つの作用を起こせるほどではありません。水が柔らかいか硬いかは、その中に含まれるカルシウムとマグネシウムのイオンによって決まります。もし水を柔らかくするのであれば、カルシウムとマグネシウムのイオンを除去しなければいけません。しかし鉄イオンが入っても、それらを減少させる助けにはほとんどならなくて、そのため”水質を軟化させる”ことはあり得ません。いわゆる”山泉の効能”というのは、よく分からない概念です。ミネラルウォーターには国の基準があり、”リチウム、ストロンチウム、亜鉛、セレン、臭化物、ヨウ化物、メタケイ酸、遊離二酸化炭素と溶解性の総固体のうち、1つ或いは複数が最低基準を超えているもの”と定義されています。そして、鉄はこの中には無いのです。つまり、二価鉄イオンが放出されるかどうかにかかわらず、ミネラルウォーターを上回るとは言えないのです。

3つめに、愛好者の人がもっとも力を入れるのが、”熱を受けた後に大量の二価鉄を放出する”、”人体に必要な鉄元素を補う”という点です。人体は確かにある程度の鉄を必要とし、大多数の人は確かに鉄の欠乏状態にあります。もし、何らかの飲み物で鉄を補うことが出来れば、これは”機能飲料”と言えるでしょう。しかし、”熱を受けると大量の二価鉄イオンを放出する”の”大量”というのはどれくらいかはさておくとしても、もし放出できたとしても、それを人体が吸収するのはとても難しいです。複合物の中では、二価鉄は酸化されて三価鉄になります。それはそのものが吸収されないだけではなく、ポリフェノール化合物を生じます。本来、通常言われるとことの”茶の活性成分”は、主にポリフェノール化合物の抗酸化作用を指します。もし鉄瓶が本当に”大量の二価鉄”を放出するのであれば、その結果は、”鉄が吸収されないだけではなく、本来の活性成分まで捕まえて逃がしてしまう”ということになり、簡単かつ率直に言えば、”鶏を盗んだら米をついばむことができない”と形容できるでしょう。

当然、鉄瓶でお湯を沸かせば、僅かな鉄イオンは水に移るでしょう。この鉄イオンは、お茶に対して一定の影響を与えることもあります。たとえば、それ自体はポリフェノール化合物の酸化を促進し、その色や味わいを変えることができます。このお茶が良いか悪いかは、個人の主観によって決まるものであって、科学の基準では判断が出来ません。個人が好きなのであれば、過度に批難するべきものでもありません。お茶を淹れるときには、一般には軟水を使い、水中のミネラルイオンが茶に与える影響を極力少なくします。もし、鉄瓶で沸かしたお湯がもたらす鉄イオンが茶の外観、風味と味わいを高めるのであれば、”軟水でお茶を淹れる”という道に反しても、構わないでしょう。
日本でも水素水などが流行っていますので、あまり中国のことをとやかく言えないのですが、こと水に関しては、どこの国でもオカルト的な疑似科学が流行るものです。雰囲気なら雰囲気でも構わないので、正当化のために無理筋な理屈をつけるのは控えたいものです。

 

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