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伝統鉄観音の標準作りへ

安渓ではここのところ伝統的な製法の鉄観音の見直しが進んでいます。
そうした動きをさらに一歩進める取り組みとして、製茶のプロフェッショナル(製茶大師)を集めた会合が行われたようです。

安溪制茶大师聚首把脉铁观音传承与发展

传统铁观音的标准是什么、传统铁观音有什么优势、如何推广传统铁观音……昨日上午,安溪县委组织部、县农办组织第三期铁观音制茶大师沙龙,对传统铁观音的传承与发展展开讨论。

本篇文章来源于第一茶叶网 原文链接:http://news.t0001.com/2014/1121/article_175712.html

伝統鉄観音の標準はどのようなもので、伝統鉄観音にはどんな優れた点があり、どのようにして伝統鉄観音を広めていくか・・・昨日の午前、安渓県委員会組織部、県の農業部門は、第3回鉄観音製茶大師サロンを開催し、伝統鉄観音の伝承と発展に関して議論を行いました。

ここ数年、安渓鉄観音は“伝統への回帰”の風が強くなっていて、八馬茶葉の副総経理・林栄渓氏の見るところによると、”現在の茶葉は、既に20年前の味です”。しかし現在、どのようなものが”伝統鉄観音”であるのかについては、明確な基準が1つもありません。20年前の製造技法を引き継いだものが伝統的なのでしょうか?それとも、”緑葉紅鑲辺(訳注:緑の葉っぱで周囲が紅くなっている)で、7煎淹れても香りがある”茶葉が伝統茶葉なのでしょうか?製茶大師、茶農それぞれに違った見方があります。

このため、今回の”安渓鉄観音製茶大師サロン”のテーマは、”伝統鉄観音の対比と研究”になりました。今日の午前に行われたサロンでは、製茶大師は自分の作った”伝統鉄観音”を取りだし、一対一の対決をするだけではなくて、伝統鉄観音の製造体験を共有し合いました。これと同時に、彼らは伝統鉄観音の標準や伝統鉄観音の製造技法などの議題について、激しい議論を行いました。多くの製茶大師たちは、明確な”伝統鉄観音”の標準の整備が急がれると考えています。

<”伝統鉄観音”という1つの標準が必要>

”鉄観音は茶の中の貴族であり、茶の中の王妃の地位で、彼女はその個性をずっと守りたがっています”、林栄渓氏は安渓鉄観音は伝統的な製造技術を堅く守るべきであると考えていて、彼の見るところによると、安渓鉄観音の伝統への回帰の流れはすでにかなり盛り上がっていて、”現在の茶葉は、既に20年前の味がある”と話しています。もう1つ挙げるとするならば、今年5月に開催された、”中国茶の世界-安渓鉄観音文化現象の国家的意義”という国際学術シンポジウムの席上で、会に参加した専門家たちも同様に、安渓鉄観音は伝統に回帰するべきだと考え、”回帰の中に安渓鉄観音の未来を探すべきだ”と話していました。

”どのようなものが伝統なのでしょうか?伝統鉄観音には何か基準があるのでしょうか”、国家級無形文化遺産の烏龍茶製造技術伝承人の魏月徳氏が”伝統鉄観音”だと考える特性は、彼の見るところによると、伝統鉄観音は”緑葉紅鑲辺で、7煎淹れても香りがある”べきで、観音韻を備えていて、同時に桂花、蘭の花、クチナシの花などの香りを備えている必要があります。どのようにして伝統鉄観音を作るのかは、茶園の管理、茶葉の摘採や製造加工などの全体で、魏月徳氏によると製茶において18の工程をきちんと守って作り出されるものだけが、伝統鉄観音になると考えています。

もう1人の製茶大師の劉金龍氏も今回の討論に参加していて、彼の作った”伝統鉄観音”は今日の午前の品評の中で大多数の人から最も伝統的な製法に適っていると認められました。彼が品評に参加させたお茶は空調による発酵の手助けを借りていないものでした。しかし、劉金龍氏は伝統的な製法は決して近代化した製茶設備を葬り去るものではなく、伝統と近代技術は有機的に結合されるべきだと考えています。

サロンに参加した製茶大師や企業の代表たちは、”伝統鉄観音”の標準を制定するべきだという考えで一致すると共に、どのようなものが”伝統鉄観音”で、どのようにして”伝統鉄観音”を作るべきなのかについて次々と意見を表明しました。

<標準化の奨励と個性化を組み合わせる>

安渓鉄観音には何度も発酵を重ねる重発酵の伝統製造技法の他に軽発酵の清香、正炒など数種類の製造技法があります。伝統に回帰することは軽発酵の製茶技法を捨てるということを意味するのでしょうか?サロンに参加したある製茶大師は、伝統鉄観音にも良くない点はあり、軽発酵の鉄観音にも良いところがあり、安渓鉄観音を広めていくのには、”様々なものが花開く”ことが必要です、と指摘しています。

お茶を広げて行く上では同質化は避けなければなりません。”個性的な製品は大変重要で、金駿眉が出てきたことは中国紅茶の発展を促しました”と製茶大師の劉遠明氏は考えており、鉄観音を市場で広げて行く際には、個性的な製品がたくさんあった方が良くて、新しい着目点を探し、新しいブレイクスルーがあるべきです、と話しています。

安渓県委員会常任委員で、組織部部長の蘇松炎氏は、安渓鉄観音の普及は市場の動向に従うべきで、伝統であるか現代的であるかにかかわらず、最も重要なのは市場に合わせることであり、消費者の味に合わせることです、と指摘しています。同時に、彼は”安渓鉄観音の適応性をベースにして、様々なお茶を作って、茶類の壁を越え、新しい茶の製品を作る必要があります”と話しています。製茶大師や茶葉会社を励まし、標準化と個性化を組み合わせるべきです。

蘇松炎氏は、”現在、安渓の茶業はまさに転換と発展のカギを握る時期にあります。現在の安渓の茶業は、いつにも増してさらに需要を切り開く創新の力が求められています。いつにも増して、人材の支えが必要なのです”と話します。彼は製茶大師たちが現在の消費の潮流に接し、技術研究に力を入れ、完璧な伝統技法から導きだし、茶の新しい製品開発においてリーダーとして引っ張っていくことを期待しています。

 

伝統への回帰がキーワードになってきた訳ですが、決して清香型を放棄する訳では無くて、安渓鉄観音というお茶の幅を広げることにより、より広い消費者層を取り込もうというのが狙いのようですね。

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