六大茶類の基本的な香りのパターンについて整理している記事がありましたので、ご紹介します。
六大茶類はそれぞれの香りがあり、その香気は優美で儚く、捉えることが難しいのですが、それゆえに心に残ります。
茶の香りは簡単では無く、初心者にとっては、茶は良く香ることは知っていますが、どのような香りと表現して良いか分からないかもしれません。
それぞれのお茶には異なる香りがありますが、六大茶類の基本的な香りのパターンを知っておけば、茶の香りをより学びやすくなると思います。
紅茶:花、果物、蜜のような
紅茶は全発酵茶で、蜜香が主ですが、飲む前に嗅ぐだけで蜜のような甘い香りがあり、さらに花や果物の香りが伴っていることに気づきます。
花香:発酵程度が比較的軽い紅茶はフレッシュな花の香りがあり、清らかで上品に香ります。英紅九号のように明らかな花香のあるものもあります。
果香:花香よりもやや濃郁な果物の香りに似た甘い香りです。祁門紅茶などです。
蜜香:蜂蜜のような甘い香りは紅茶に一般的に見られます。滇紅にあるものは最も明確です。
松煙香:松の木で燻して製造するものには松の香味がつきます。正山小種などです。
烏龍茶:花果香と火香の共演
烏龍茶は半発酵茶で、香気はさらに豊富で変化します。
烏龍茶と紅茶には花果香がありますが、それらは全く違うもので、普通の人でも容易に判別ができます。
花香:発酵程度の比較的軽い烏龍茶にあります。清香型の鉄観音には蘭花香があり、単叢茶には桂花香、姜花香などがあります。
果香:成熟した果物の香りで、適度に発酵させた鉄観音、高山烏龍、単叢、岩茶などに一般的に見られます。
蜜香:発酵程度が高い烏龍茶には紅茶の蜜香に似たものがあります。東方美人などです。
火香:適度に焙煎を行うことで形成される焙煎香、炭火の味です。足火の大紅袍などです。しかし、焙煎をやり過ぎると焦げた苦みが生じます。
カラメル香:適度に焙煎したお茶は、明確なカラメル香を生じることがあり、通常は茶杯の残り香や茶器の蓋などに見られます。
ミルク香:一部の品種の茶樹から作られた茶にはミルクのような香気があります。金萱、一部の単叢などです。
緑茶:春風のように爽やか
緑茶は不発酵茶で、原料が一般的に柔らかいものが多く、このために香りは爽やかで淡く優雅で、私たちは心を静めて繊細に味わう必要があります。
清香:爽やかで淡く優雅な香りで、香りを聞くと爽やかでスッキリした気分になります。大多数の緑茶は清香と表現することができます。
毫香:茶の産毛から生まれる独特の香気で、産毛の多い緑茶で最もよく見られます。碧螺春などです。
嫰香:柔らかい原料と硬い原料で製造した茶には明らかな香気上の違いがあり、柔らかいほど、茶の柔らかな香りはより明確になります。
板栗香:炒青緑茶の炒製過程で生じた炒めた栗に似た香気で、炒った豆の香りなどと形容されることもあります。龍井茶などです。
焙じ香:烘青緑茶の乾燥工程で生じる焼いた食べ物の火香に似たものです。六安瓜片などです。
蘭花香:高級緑茶にある蘭の花に似た繊細な香りで、非常に上品です。最高級の西湖龍井などです。
白茶:フレッシュな香り、産毛の香りと陳香
白茶の種類は多くなく、原料の柔らかさによって、産毛の多い芽のみで作る白毫銀針、芽と葉のある白牡丹があります。
葉がやや硬いものは寿眉(貢眉とも言います。現在、2つの言葉はほぼ同じです)で、柔らかいものはフレッシュで、硬いものは古びたものと、だいぶ異なる風格を持っています。
嫰香:原料が柔らかく新鮮なものはフレッシュな香気を有していて、緑茶の味に似たところがあります。白毫銀針などです。
毫香:産毛の多い茶には特殊な毫香があり、一般的に言うと、原料が柔らかければ柔らかいほど茶の産毛は多くなり、白毫銀針の毫香は白牡丹より明確で、寿眉には毫香は全く感じられません。
棗香、薬香:白茶を寝かせて老白茶にした後に形成される濃厚な香気で、紅ナツメ、漢方薬、古木のような古びた香りです。
日晒し香:白茶を日光に晒すことで、太陽の光を吸収して形成される風味で、日晒しの白茶の中には何とも言いがたいこの風味を感じることがあります。
花果香:白茶は微発酵茶で、柔らかいかどうかに関わらず僅かな花果香を有しています。しかし、花果香というのは一種の総称であり、紅茶、烏龍茶の花果香とは同じものではありません。
黒茶:濃郁さと熟成した芳醇な香り
黒茶も非常に簡単に識別できます。なぜなら後発酵の製法のため、生まれる香気がその他の茶類とは全く違うからで、一般には陳香、醇香と形容されます。
陳醇香:黒茶に特有の後発酵の製法によって形成される濃く厚みのある香気で、さまざまな黒茶の中で一般的に見られます。長期保存を経た黒茶の陳香は保存が長いほどより明確になります。
木香:黒茶の原料はやや硬く、木質化の程度が高いので、このために木質の風味を帯びることがあります。
菌花香:”金花”の黒茶に特有の香気で、六堡茶などです。
これまでご紹介した5種類の茶の他に、さらにマイナーな黄茶もあります。
黄茶の香気は緑茶と同じように、爽やかです。
しかし、より甘みに寄ったり、おこげのような香りや柔らかいとうもろこしのような香りのものもあります。代表的な茶には君山銀針、霍山黄芽などがあります。
以上、紹介したさまざまな香りは、どれも良いお茶にこそある香りの特質です。
もし、これに出会ったら、味わいもまた十分に口に合うことでしょう。この機会を逃さずに、沢山飲んで、沢山味わうことで、あなたのお茶を味わう能力はきっとより早く高まることでしょう。
あなたが飲んだお茶の中で、どのお茶の香気が最も魅力的でしたか?その原因は何でしょうか?
全発酵茶、不発酵茶のような表現を用いるところは、少しどうかと思いますが、おおむね良くまとまっている記事だと思います。
同じ花果香という表現でも、茶類ごとに微妙にニュアンスが異なるので、このあたりは少し感覚を掴むまでは戸惑うポイントかもしれません。
これはあくまで、基本の香りではあるので、より細かな表現ができるようであれば、それに越したことは無いと思います。