四川省でも春茶のシーズンが始まっているのですが、既にかなりの量が収穫されているようです。
今年の価格動向を調べた記事がありましたのでご紹介します。
2月22日、峨眉山市の大西南茶業市場に入ってみると、淡いお茶の香りが鼻をくすぐりました。販売ブースの前には地元の茶葉販売業者が箱を開けて新しく摘まれた茶葉を展示し、バイヤーが価格を尋ねて来るのを待っていました。ここは全国でもっとも早く開かれる茶葉の交易市場で、春節前の旧暦12月26日(訳注:2月7日)から、地元の茶商が続々とやって来ました。
今はまさに春茶の発売のシーズンで、昨年の感染症流行の影響を受けて、四川省内各地の今年の茶葉市場の取引状況はどうでしょうか?製品茶の加工には何か新しい変化があったのでしょうか?楽山市、瀘州市、宜賓市、雅安市、成都市の5つの街で取材をしてみました。
市場を取材:新鮮な茶葉の量も価格も上昇
2月23日の夕方、雅安市名山区新店鎮の茶葉生葉交易市場では、依然として人の声が沸き立っていました。新店鎮新星村の茶農家である李淑桂さんはまだ市場に入っていませんでしたが、背中の籠には摘んだばかりの芽茶が入っていて、茶商に声を掛けられて下ろしました。はかりで計量し、計算して、支払いを済ませ、僅か5分間で、芽茶は全部売れてしまいました。
名山区中峰鎮の甘河村で栽培される茶樹品種は、もっとも早く摘まれる春茶です。「今年の品質の良い独芽茶は、生葉でも1斤90元あまりで売ることができ、普通の生葉の価格も1斤60~80元の間で動いています」甘河村の村主任の韓熙さんの見立てによれば、今年はここ数年の中で茶農家の収益が最高となる一年になりそうだとのことです。
各地の茶葉市場を取材してみると、2月24日迄に、楽山、成都、瀘州などの茶園の単芽の買い上げ価格は昨年よりも平均して、1斤あたり20元前後上がっているようです。成都蒲茗坊茶葉有限公司の総経理である任栄貴さんによると、「2018年から、生葉の価格は毎年上がっています」といいます。
「市場には在庫が無く、そのため今年は春になったら、みな市場で買い付けに走るので、生葉の価格は自然と水面が上がれば船が浮かぶように高くなるのです」と夾江茶葉協会会長の方義開さんは言います。感染症流行が原因で昨年の生葉の収穫と買い上げが限られたため、茶商たちの在庫の消耗が大きく、みな急いで生葉を購入しなければならないのです。
そして生葉の品質が上がっていること、買い上げ市場がより規範化されてきていることも主要な原因です。「今年は霜や雪が来るのが早く、茶葉の虫害も少ないです。そして多数の茶園では化学農薬をもはや使わなくなっています」近年、夾江県では農業資材会社の販売する残留農薬が残りやすい農薬の取り締まり力を入れていて、販売元から農薬残留が起こりやすい農薬を取り締まっています。
今年、瀘州市は納渓区の生葉仲買人に試験を行い、証書を持って仕事をするように要求しようとしています。宜賓市高県では、早茶の生葉の取引を規範化するために、1000㎡あまりの面積を占める県級生葉臨時交易市場を2月8日から正式運用しました。現在、20社近くの茶葉買い上げ業者が入居し、高県の40%の生葉は交易市場で販売されています。
茶商を訪ねる:革新とブランドでコスト上昇に対応します
生葉の価格が上がる中で、茶商はどのようにしてコストの上昇に対応しようとしているのでしょうか?取材中、多くの地域の茶商は同じような観点を表明していました。技術革新とブランドの構築こそが、価格競争力の重要な道だということです。
茶葉の加工生産工程は煩雑で、労働コストも高く、生産加工段階の自動化、スマート化が鍵になっています。たとえば、伝統的なドラム型の殺青加工の方法は、人手によるゆっくりとした原料の投入や、温度の把握とコントロールに頼らざるを得ず、労働強度とエネルギーの消耗も高くなりがちです。多くの地域の茶商は、現在は蒸気による熱風、マイクロ波などの先進的な殺青方式で、速度もより早くなり、さらに萎凋不足、脱水と降機不足などの問題も解決でき、製品茶の品質は大きく高めることができます、と話します。
峨眉山市双福鎮の鎮長である李艋さんによると、竹葉青などの龍頭企業の影響を受け、今年、大西南茶業市場の中高級の販売には顕著な変化があったといいます。「例年と比べて、中高級の販売は40~50%拡大しています」李艋さんによれば、産量と規模を拡大することは現実的でなく、より多くの茶葉企業が製品の品質と付加価値を高めることを決定しており、高級路線に走っています。任栄貴さんもまた、より大きく強いブランドを作ることに注力し、これによって利潤を拡大していく、と話しています。
早いものがチャンスを掴みます。安徽省の茶商の許昌進さんは、四川省の春茶の発売は早く、新茶の雰囲気が作られていることも他の地域の茶商を引きつける鍵となるとみています。「私たちお茶を飲む人たちは、早く飲めることを好みます。私はもう10年連続で、ここにお茶を買いに来ています」。農業農村庁の園芸普及総所の主席茶業師で、四川省産業ブランド促進会会長の段新友さんも、「最近、四川省各地の茶葉産地へ来て茶葉を買い付ける他の省の茶商は2万人近くいます。彼らはまさに四川省のお茶の”早いこと”と品質を見ています」と話しています。
販路を見る:オンラインでのマーケティングを開拓し販売を助ける
インターネット経済と電子商取引が活発になるに従い、茶葉のマーケティングモデルと販売チャネルも変化が生じています。より多くの地元の茶葉会社が主体的に動き、オンライン上での販売チャネルを開拓し、もはや他の地域の茶商が来るのを”座って待つ”わけではありません。百佳茗茶の主人の彭師さんは、全国各地の取引先を通じて、多くの人脈を蓄積しています。「以前、私も代理店の人に店に来てもらって茶葉を見せていました。彼らは蒙頂山茶の評価がとても高く、信用がありました。今年の春茶が発売されると、私たちは毎日、朋友圏(訳注:WeChatのフォロワー)に新製品を更新し、顧客から直接ネット上で注文を受け、外に外出することなく、茶葉を売ることができます」・
「私たちは10あまりのライブコマースを開き、オンラインで茶葉を10万元あまり売りました」四川鳳嶺茶業有限責任公司の董事長である周世慶さんは、自分のオフィスをお茶を味わう部屋とライブ配信部屋に変えました。周世慶さんがライブ配信を行うのは既に普通のことになっています。彼によると、自分ともう一人の女性スタッフがライブコマースの商品担当をしていて、自分で商品を持ち込んで行う1回あたりのライブ配信の収入は、1時間あまりで約8000元ぐらいになります。「私たちは現在、オンラインの販売とオフラインの販売の比率は1:9になっています」
大西南茶業市場では、この比率はもっと高くなっています。「今年のオンラインモールとミニムービーのプラットフォームでのオンライン販売は全体量の30~40%を占めます」李艋さんは、感染症の流行が皆の消費スタイルを変えてしまったと言います。雅安市名山区では、蒙頂山生葉交易ネットプラットフォームをリリースしており、無料で茶葉の供給者と買い付け人のために売買の需要情報などを配信しており、双方がネットのプラットフォームを通じて連絡をすることができ、茶農家たちは家を出ることがなく、買い手を正確に探すことすらできるのです。
四川省の状況でした。
昨年の買い付け量が少なかったため、値上がりの傾向にどうもあるようです。
また昨年と比較しても、かなりオンラインでの取引が常態化し、手慣れてきている印象です。
写真は雅安市名山区の取引市場の様子とのことですが、このような取引スタイルは今後少なくなっていくのかもしれません。