今年は1月・2月の低温で早春の早生茶の産地で茶摘みの遅れが発生しました。
その一方で3月には気温が上昇し、主力産地は平年並みのスケジュールで推移しています。
これに加えて、新型コロナウイルスの中国国内での流行もあり、人手不足の影響が出始めているようです。
台地に春がやって来て、新茶が緑を吹き出します。今はまさに春茶の茶摘みの最盛期で、浙江省各地の茶農家はこのタイミングを逃すまいと、新茶をどんどん摘んでいます。しかし、取材をしてみると、茶摘み人の不足という現象が今の春茶の生産に少なからず影響を与えているようです。
「私たちは600畝の烏牛早を植えていて、現在m舞地に3000kg前後の生葉を摘んでいます。しかし、最近は茶葉の成長が早すぎて、摘むのが追いつかず、紅茶にするしかありません」と温州市永嘉県烏牛早茶飲料有限公司のマネージャーである蒋妙群氏はぼやきます。
茶葉は「朝は宝で、夜は草」と言われるように、タイミング良く茶摘みが出来ないことは、お金を山に捨てているようなものです。「今年の春茶の茶摘みでの人手不足は、天候と感染症の流行という主に2つの要因によって引き起こされたものです」と浙江省農業農村庁の茶葉首席専門家の羅列万氏は取材に答えます。
「今年の初め頃の気温の上昇はゆっくりで、さらにその後冷たい空気がやって来て、たいへん多くの地域で霜害に見舞われ、これえが春茶の生長速度を落としたため、春茶の茶摘みが遅くなってしまったのです」と羅列万氏は言います。もっとも3月9日以降は、気温が急速に上昇してこれが茶葉の生長を促し、茶葉の茶摘み時期の間隔が短くなってしまったため、春茶の生産量が大幅に上昇するとともに時期が集中してしまい、茶摘みや加工にかなりの負荷がかかってしまいました。
このほか、現在の感染症の流行状況から、茶摘み人がすぐに仕事に就くことが出来なかったり、募集の難易度が増していることも、現在の茶摘み人の不足の状況をさらに難しくしています。杭州市西湖区西湖街道の梅家塢村では、茶農家の孫啓龍さんの持つ10畝の茶畑は本来であれば18名の茶摘み人が必要ですが、今年は9名しか募集できませんでした。三和萃茶葉科技有限公司の総経理である石碧鵬氏は今年の春茶の茶摘み人不足は深刻で、「感染症の流行の影響を受けて、よその地域からの茶摘み人は来ることがなかなか出来ず、例年であれば75名のスタッフを集められるのですが、今年は10名しか来ていません」と言います。
付近の西湖茶区の村も同じような問題に直面しています。茶農家の楊志良さんによると、村で茶を栽培している家は基本的にどこも茶摘み人不足で、近くにいる”跑茶”と呼ばれる臨時工を探すしか無くて、”跑茶”の工賃はより高くて、さらに雇用主が食費と毎日の往復の交通費を負担しなければならず、人件費のコストは大幅に増加してしまいます。
茶葉を適切なタイミングで茶摘みできないという問題に対し、茶の生産者は茶摘みの基準を高めたり、生産する茶類を変更するなどの方法で、この問題がもたらす影響を可能な限り小さくしようとしています。
永嘉県農業農村局の農芸師である張伯平氏は、現在、永嘉県では茶農家に茶摘みと製造基準を高めることで、茶摘み人の数を減らし、茶葉の価値を高めようとしていると言います。「続いて、会社には主に”針形茶”の茶摘みと製造をすることもできるでしょう。このお茶は茶葉の芽の部分だけを摘み取り、一畝の茶園でも僅かに十数斤しか作ることの出来ない茶葉で、非常に稀少なものなので、よく作られた”針形茶”は1kgあたり6000元でも売れるのです!」と永嘉県烏牛早茶飲料有限公司の責任者は言います。生産方法を変えることで、ある程度茶摘み人の不足が春茶の生産に与える打撃を減らすことができ、さらには今までとは違う茶葉の生産という経営の道をも探そうとしています。
茶摘み人が不足しているので、思い切って高級茶にシフトしたり、あるいは大きくなった茶葉からも作ることのできる紅茶の生産に切り替えるという話題も出て来ているようです。
どうも価格が安くなるような原因は一切出て来ないですね・・・