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プーアル生茶と熟茶の化学成分分析比較

普洱茶の生茶と熟茶の成分の違いについて紹介した記事がありました。

 

普洱茶は雲南大葉種晒青毛茶を原料とし、特定の加工技術によって製造された、独特の品質特性を有した茶葉です。その加工技術と品質特性の違いにより、普洱茶は普洱生茶と普洱熟茶の2つのタイプに分けられます。普洱生茶は晒青毛茶を蒸圧成型し、乾燥して製造され、普洱熟茶は晒青毛茶を高温多湿と微生物が参加する条件の下に置き、渥堆後発酵をして製造されます。生茶と熟茶の品質の違いとその広大な市場の先行きを比べるために、普洱生茶と熟茶の品質の化学成分を比較してみました。

サンプルの選択:雲南地区の普洱生茶と熟茶のサンプルを全部で12種類集め、これらは雲南大益公司と雲南下関沱茶公司で買い求めたもので、雲南地区では極めて代表的な伝統名茶で、現在販売量の規模も最も大きく、広く市場をカバーしており、影響力も最大の生茶と熟茶です。表1を参照ください。

1.水色滋味の官能審査

生茶と熟茶の水色、滋味の官能審査の結果は、表1と図1を参照ください。
表1と図1から分かることは、生茶と熟茶の水色、味には違いが大きくあるということです。
生茶の水色は橙黄明亮で、琥珀色に似ていて、熟茶の水色は紅濃(褐)明亮です。生茶の滋味は醇和で、熟茶の滋味はさらに醇厚回甘になります。

普洱生茶と熟茶の品質特性の違いは、それぞれの加工技術によって引き起こされた化学成分の差によってもたらされたものです。

2.生茶と熟茶の化学成分比較分析

2.1 主要な化学成分の比率の比較分析

水浸出物は茶葉の中に含まれる熱水に溶け込む可溶性物質の総称で、茶湯の主要な味わいの物質です。表2から分かることは、生茶の水浸出物の比率は熟茶よりも顕著にた各、生茶の水浸出物は熟茶よりも6.79%高くなります。これから分かることは、生茶の水溶性内含成分はより多く、茶湯には味を呈する物質がより多いということです。

遊離アミノ酸は茶葉の品質を構成し、茶湯の滋味に関わる重要な成分で、茶葉の鮮爽な味わいを増進します。表2から分かることは、生茶の遊離アミノ酸の総量は熟茶よりも顕著に高く、生茶の遊離アミノ酸総量は熟茶よりも1.495%高くなっています。そのため、生茶の味わいは熟茶に比べるとより鮮爽なのです。熟茶のアミノ酸は渥堆発酵の特殊な温度湿度条件の下で酸化し、分解と転化がおこり、微生物によって窒素分が利用されるので、比率は低くなり、味わいはより醇厚になります。

可溶性糖は茶湯の甘みの主要な化学成分で、茶湯の苦渋味と刺激性を緩めます。生茶の可溶性糖の比率は熟茶よりもやや高いです。カフェインは茶葉に含まれる主要なプリン塩で、茶湯の重要な味わいの物質です。生茶のカフェインの比率は熟茶よりもやや低いです。しかしながら、生茶と熟茶の可溶性糖の総量とカフェインの比率の差には統計学的な意義はありませんが、これらの2つの物質とその他の化学成分が起こす作用は、普洱茶の品質に影響を与え、カフェインがタンパク質と結合しやすくなって、クリームダウンなどで茶湯の湯色に影響を与えるなどです。

2.2 茶ポリフェノール、カテキンの単体の比較分析

茶ポリフェノールは普洱茶の品質を形成する重要な活性物質で、茶湯の中では苦渋身を呈し、比較的強い刺激性があって、その比率の中で高いものには研究では、EGCG、C、EGC、GCG、ECの6種類のカテキンです。表3から分かることは、生茶の茶ポリフェノールとそれぞれのカテキンの単体の比率は熟茶よりも明らかに高く、その中でもEGCGとエステル型カテキンの違いが最も顕著です。生茶のEGCGの比率は熟茶の216.32倍、生茶のエステル型カテキンの比率は熟茶の112.17倍です。カテキンの組成では、生茶はエステル型カテキンが主で、比率では126.617mg/gで、カテキンが65.79mg/gを占めます。熟茶は非エステル型カテキンが主で、比率では2.676mg/gで、カテキンが68.72%を占めます。

エステル型カテキンの収斂性は強く、苦渋味がやや重いです。非エステル型カテキンの収斂性は弱く、苦渋味は比較的軽いです。そのため、生茶の味わいはより強烈ですが、熟茶の味わいはより醇和になります。

2.3 茶の色素の比較分析

テアフラビン、テアルビジンとテアブラウニンは普洱茶の主要な色素物質で、茶ポリフェノールの主要な水溶性酸化物です。図2から分かることは、テアルビジンとテアブラウニンの違いは生茶と熟茶の間で統計学的な意義がありますが、テアフラビンの差については統計学的な意義はありません。生茶と熟茶のテアルビジンの平均比率はそれぞれ3.978%と1.159%で、生茶は熟茶の3.432倍です。生茶と熟茶のテアブラウニンの平均比率は2.549%と9.190%で、熟茶は生茶の3.605倍です。生茶のテアフラビンの比率は熟茶よりもやや高く、その平均比率はそれぞれ0.120%と0.116%です。

テアフラビンは茶湯を”明るく”する主要な成分で、味わいの上では強烈な収斂性があり、味わいはやや辛いです。テアルビジンは赤茶色を呈し、比較的強い刺激性と収斂性がありますが、テアフラビンと比べると弱いです。テアブラウニンは茶湯が”褐色”になる主要な成分で、茶湯の味わいは淡くなります。

生茶のテアフラビンとテアルビジンの比率は熟茶よりも高く、そのため生茶の茶湯は橙黄明亮となり、滋味はより強烈になります。しかし熟茶はテアブラウニンの比率が生茶よりもきわめて高いので、そのために熟茶の湯色は紅褐で、味わいはさらに醇和となります。

 

化学成分や評茶用語が出ているので、評茶の素養が無いと少しわかりにくい記事ですが、簡単に言うと、生茶と熟茶では化学成分の組成が大分違うということです。
特に強い味わいになりがちなエステル型カテキンは、生茶により多く、これが渥堆発酵によってテアブラウニンという物質に変化することで、渋みが和らぎ、味わいがまろやかになるということです。
普洱茶の標準を読むと、生茶と熟茶のポリフェノール総量が規定されているのですが、そことも繋がる内容です。

 

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