中国茶ファンのためのデータベース&ニュース

  1. 歴史と文化
  2. 1691 view

中国でお茶を学べる大学

中国ではお茶は学問になっており、茶学部(中国語では「茶学系」)を設けている大学(学院=Collage、単科大学のこと)が全国にあります。
雲南省の地方紙が全国の主要な茶を学べる大学から20校を選んで紹介している記事がありました。

 

現在国内には茶学を専門にしている大学が沢山あります。茶学を教える大学の一部を紹介してみましょう。

1.雲南農業大学茶学系

昆明市郊外の黒龍潭にあり、雲南農業大学茶学系は1972年に設立され、当初は3年制でしたが、1984年に4年の本科制に改められました。2006年にが企業との提携により”龍潤普洱茶学院”が設立され、茶学と茶藝茶道の2つの方向が設けられていて、”雲南普洱茶研究院”と”国家普洱茶認証センター”を擁していて、普洱茶の科学研究と文化の伝播を特色とした学院(単科大学)です。
この学院は、普洱、西双版納、臨滄などの国内外に著名な普洱茶の産地に多くの校外実践教育施設を有しています。

2.安徽農業大学茶学系

安徽省合肥市にあり、その前身は复旦大学茶葉専修科で、1952年全国大学調整時に复旦大学茶葉専修科が安徽大学農学院に組み入れられました。1954年に独立して、1956年に茶葉専修科は茶業系に改められ、学制も2年から4年に改められました。茶業系は茶葉と機械製茶の2つの四年制本科と2年制の茶葉貿易専修科からなり、1981年から修士号課程の募集を開始し、茶樹栽培学、茶樹育種学などの課程を開設しています。

3.浙江大学茶学系

浙江大学”農業と生物技術学院茶学系”は1952年に設立されました。前身は浙江農学院専修科で、1956年に4年制の本科に改められ、1960年に中国農業科学院茶葉研究所と合併し、1966年に学部と研究所が分かれました。1978年に修士課程の募集を開始し、1986年に博士課程を立ち上げ、1987年から募集を開始しました。
1989年、茶学専攻が茶学学科で唯一の初めての国家重点学科に選ばれました。茶樹育種学、茶樹栽培学などの課程があり、”浙農12号、21号、25号、113号”の国家級茶樹新品種を育成しました。

4.四川農業大学茶学系

四川省雅安市にあり、1976年に設立され、初期は2年制の専修科でしたが、1977年に4年本科の学制に改められました。製茶教学研究室、茶樹栽培、茶葉鑑定などの専門実験室や付属の実験茶園、製茶工房なども設置しています。茶樹栽培学、茶樹育種学、製茶学、茶葉生物化学、茶葉審評と検査などの課程があります。

5.西南大学茶学系

重慶市北碚区にあり、前身は西南貿易専科学校茶葉専修科で、1952年の全国大学調整時に西南農学院園芸系に編入されました。1983年に農産品貯蔵加工専攻と食品系を組み合わせて新設され、1985年に現在の名称に変更されました。本科の学制は4年です。
1987年に修士課程の募集を開始し、茶樹栽培育種、製茶教学研究室と製茶研究室を設置し、付属の製茶実習工場を設けています。茶樹栽培学、茶樹育種学、製茶学などの重点課程があります。

6.湖南農業大学茶学系

湖南省長沙市内にあり、1956年に農学専攻の茶作組が発展して設立され、学制は4年です。1978年に修士課程の募集を開始s、1993年には茶学博士課程を立ち上げ、1994年から募集を開始しました。茶樹栽培学、茶樹育種学と茶樹病害虫などの重点課程があります。

7.華南農業大学茶学系

広東省広州市の石牌にあり、1977年に設立され、前身は広州中山大学農学院茶庶専攻です。1972年に茶葉専攻が設置され、1991年から修士課程の募集が始まり、茶樹栽培、茶樹育種、茶樹病虫害、茶葉生物化学などの教育研究チームがあります。茶樹育種学、茶葉製造学などの課程が設置され、『茶樹病虫害』、『茶葉栽培』などの教材を編纂しています。苦丁茶の開発と利用、茶ポリフェノールの研究製造など多くの科学研究プロジェクトの成果があります。

8.華中農業大学茶学系

湖北省武漢市にあり、1996年11月に農業部によって認可され、華中農業大学は正式に茶学本科専攻を設置し、全国から学生を募集しています。社会の人材の要求に応え、基礎をしっかりと身につけ、総合的な資質が高く、幅広い高度なお茶の学問と農業の工業と貿易の複合型人材の育成を目指しています。学制は4年です。
華中農業大学は教育部直属で、国家”211プロジェクト”によって建設された全国重点大学で、茶学系は園芸農林学学院に属し、主要な研究領域は、園芸植物生化学と資源利用、茶樹生理生化学、茶葉総合利用、茶葉加工、茶馬経済と文化などで、博士、修士学位の授与権も有しています。

9.西北農林科技大学茶学系

陝西省咸陽市の楊陵区にあり、西北農林科技大学茶学学科は、陝西省の重点学科で、博士、修士の学位授与権を有し、2004年に設立され、15年あまりの蓄積があり、”本科-修士-博士”を一体化した多層的な人材の育成システムを形成しており、講師の力量が十分あります。2019年に本科を増設して学生を募集します。

10.山東農業大学茶学系

山東省泰安市にあり、山東農業大学茶学専攻は2001年に設立され、園芸科学と工程学院に属しています。この学校の茶学専攻は、茶学修士と博士を委託しています。山東省の茶葉産業の特徴と存在する問題点を組み合わせ、重点的に茶樹の抗寒抗旱魃品種の選抜育成、茶樹施設栽培理論と技術、茶葉新製品の研究製造と開発などの方面で科学研究を展開しています。

11.福建農林大学茶学系

福建省福州市にあり、前身は蘇皖専科学校茶葉専修科で、後に福建勝率農学院に編入され、一旦途絶えていました。1975年に福建農学院が2年制の茶葉専攻として再興され、1978年に4年本科の学制に改められ、1994年に現在の名称となりました。1993年には修士課程の学生を募集開始し、茶学、果茶の2つの教育研究室と6つの実験室を設けています。
科学研究の成果には茶樹花薬培養誘導体単倍体植株、烏龍茶做青技術と設備研究などがあります。

12.南京農業大学茶学系

江蘇省南京市にあり、南京農業大学は江蘇省唯一の茶学本科、修士、博士、博士後期課程の人材育成システムがある大学です。
茶学系は園芸学院に属し、2004年に茶学修士、博士学位の授与権を得るとともにポストドクターの研究チームを設置しました。2014年に教育部の認可を受け、茶学本科専攻を設立しました。2015年に茶学系を設置し、同年9月より学生を募集開始しました。

13.河南農業大学茶学系

河南省鄭州市にあり、2010年に設立され、茶学専攻は主に農業生物学の基礎、茶樹の良種栽培育成と栽培管理、茶葉の加工技術と製品マーケティング、茶葉企業の経営管理などの方面の技術と知識を学びます。
農業生物化学、食品科学と経営管理学などの方面の基本理論、基本知識と基本技能を兼ね備え、農業、工業、商業貿易などの領域や部門で茶学に関連した経営と管理、生産と販売、技術と開発、教育と科学研究などに従事する高度な複合型人材の育成を趣旨としています。
主な課程には、茶葉生物化学、茶樹育種学、茶樹栽培学、茶樹病虫害防除、製茶工程学、茶葉審評と検査、茶業経営管理学などがあります。

14.武夷学院茶学系

福建省武夷山市にあり、武夷学院茶学専攻は、1938年に設立された”福建省農業改進処崇安茶葉改良場”をルーツに持ちます。張天福と呉覚農の二人の茶学”泰斗”と、蒋蕓生、王澤農、荘晩芳、呉振鐸などの著名な茶学専門家が相次いでここで仕事をしていました。
学校は2009年に茶学(茶文化経済方向)専攻を開設し、現在は茶と食品学院に属しています。茶学実験教育学習センターが1つ、茶文化センターが一つ、校内茶学実践教学基地の武夷茶学科学教育園が1つあります。

15.貴州大学茶学系

貴州省貴陽市にあり、貴州大学茶学院はかつての貴州農学院園芸系茶学教研室を起源とし、1989年に茶学成人短大として募集を開始しました。1993年、茶葉経済貿易専攻を募集開始しました。2007年、貴州大学農学院園芸専攻に茶葉コースを設立。2008年に第1回の茶葉コースの本科制の募集を開始。2012年に茶葉本科専攻の学生を募集開始しました。
学院には現在、茶葉生物学系、茶葉工程系、茶文科系の3つの学部があり、茶学本科実験教学センター、茶文化伝播センター、茶葉審評と検査センターなどの3つのセンターを付属施設として有しています。

16.信陽農林学院茶学系

信陽農林学院は1982年に茶葉(茶葉生産加工技術)専攻を開設し、2005年に茶文化専攻を開設しました。2011年に正式に茶学系を設立しました。現在、茶学(本科)および茶学(茶文化とマーケティングコース)、茶葉生産加工技術、茶文化と茶葉生産加工技術専攻(茶葉マーケティングコース)など4つの専攻(コース)を有しています。

17.浙江農林大学茶学系

浙江省杭州市にあり、浙江農林大学茶文化学院は、中国国際茶文化研究会と浙江農林大学が2006年2月に共同で設立し、文化産業管理(茶文化)専攻を設置し、これは全国で初めての本科の性質を有した茶文化専攻で、初めて本科としてのレベルで、茶文化の専門人材を育成するものです。
この学校は、茶文化学院を我が国で最高水準の国際性のある中国茶文化教育と研究機構とすることを趣旨とし、中国茶文化教育訓練センター、研究センターと国際交流と展示センターを設立しています。

18.長江大学茶学系

湖北省荊州市にあり、長坑大学茶学専攻は、園芸園林学院に属し、1987年に学生の募集を始めました。
学校には茶葉加工実験室(名優茶生産のフルセットの設備を有する)、茶葉審評と茶芸表演実験室、茶葉生物化学実験室などの専門実験室があり、茶葉生産、加工と生化学分析などのコースと研究のシステムや設備を備えています。

19.青島農業大学茶学系

山東省青島市にあり、茶学専攻は園芸学院に属し、修士課程の授与ができ、茶葉研究所、茶葉試験場と茶樹種質資源園などの科学研究模範機構を設置しています。

20.江西農業大学茶学系

江西省南昌市にあり、茶学専攻は農学院園芸系に属しています。茶学、農業生物科学と食品科学などの基本理論、基本知識と基本技能を兼ね備えた高度な科学技術人材の育成に注力しています。

茶学専攻を開設している大学は現在非常に多く、それぞれの学校にはそれぞれの独特の強みがあります。将来、より多くの茶学を学べる大学が学制のためにより多くの実践の場となり、茶学部の学生と茶業界の発展に寄与することを願っています。

 

ほとんどの人には必要の無い記事のような気もしますが、各大学の設立経緯や特色などが書かれています。
茶学部のある大学は、これでもまだ一部に過ぎず、全国各地にたくさん開設されています。
それだけ多くの学生が学び、またそれを教え、研究に励む教員・研究者がいるわけで、中国の茶業や茶の研究の体制が、予想以上に進んでいることが分かるのではないでしょうか。

歴史と文化の最近記事

  1. 大紅袍母樹の生葉の永久性標本、故宮博物院で展示

  2. プーアル茶のパッケージは、なぜ綿紙を使うのか?

  3. 1973年以前にプーアル熟茶は存在したか?

  4. 「工夫茶」と「功夫茶」の違いとは?

  5. 「2・3・4・6」の数字で解説する白茶

関連記事

PAGE TOP