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9月末に茶藝師、12月末に評茶員が国家資格から外れる

近年進んでいる国家資格制度の見直しを受け、遂に茶藝師と評茶員が国家資格から外されることになったようです。
少し長いのですがQ&A形式になっている記事がありましたので、ご紹介します。

 

ここ数日、茶業界で最も話題になっているのは茶藝師と評茶員が国家職業資格から外れることについてです。7月10日、人力資源社会保障部の事務所は、『業務水準評価型の技能スタッフ資格の退出リストに関する準備の進め方の公示に伴う公告』を発表しました。この公告の内容によると、茶業界の職業資格(職種)である茶藝師、評茶員にも該当します。これによって、既に国家資格リストから外れていた茶園園芸工、茶葉加工工に加え、2020年末までに元々茶業界にあった四大職業(職種)の職業資格証書は全て国家職業資格リストから消えることになります。

4000年あまりの茶文化の歴史を持つ中国について話すことは、きっと誇らしいことですが、近年、我が国の茶業界の成長の現状はまさに伝統的な農村社会から現代工業社会へ邁進していて、両者の間では本質的な区分があります。前者の本質は不足で、後者の本質は過剰です。これに見るように、我が国の茶業は全体の産業能力としては過剰に属します。もう一つの面として、累積されたオンライン販売のデータの分析によると、電子商取引による茶葉の販売量は平均すると8.6%を占めているに過ぎず、茶業界の末端の消費市場は未だに数十万軒の実店舗です。これらのことから言えることは、茶藝師は責任重大な仕事になっているのです!茶藝師はお茶の愛好家の目からは芸術的な茶道を追究する人に見えるかもしれませんが、それだけではなく、消費者と対面し茶葉を販売する”大師”なのです。

茶業界の成長に際し、標準化というのは必ず通らなければならない道筋で、茶業界は標準化のシステムを作り上げなければならず、必ず専門の人材によって適したランクを設定しなければなりませんが、どうやってランク付けを行うのでしょうか?どうやって標準化するのでしょうか?このようなことをするためには評茶師が必要です。ここでの評茶師は私たちと普段一緒に集まってお茶を飲み、その味わいを簡単に評価するというだけではなくて、評茶師は本当に理論や知識を理解し、専門の技術を掌握して、特に茶の生産全体と販売過程において、評茶の技術を用い、製品の品質の標準化をもたらすものとして評茶員は大変重要です。

茶藝師、評茶員が国家職業資格から外れることの問題を解読する

今回の政策の変更について、一部の人々は心の中に不安が起こり、様々なことを考えてしまうかもしれません。国家がなぜ茶藝師、評茶師のような職種を取り消すのか?今後茶藝師と評茶員はなくなってしまうのか?それならば今までに取得した証書は今後無駄になってしまうのか?などです。

Q.国はなぜ茶藝師、評茶師のような職種を取り消すのですか?
国務院は、近年、7回に分けて相次いで70%以上の職業資格証書を取り消し、茶藝師、評茶師はこの70%の中に入っています。なぜこのような職業資格を取り消すのかというと、国務院は政府の関与をできるだけ減らして権力を放棄し、就業を促進するという原則があるからです。実際、2016年末には茶藝師は一度取り消されたことがありますが、全国の茶人たちの共同した努力により、職業資格の中に復活したということがあります。

Q.今後、茶藝師と評茶員はなくなってしまうのですか?
この種の質問をされるお茶の愛好家は、おそらく文字を注意してみた方が良いです。リストから外れるのであって、取り消しではありません。国家は茶藝師、評茶員を職業資格リストから外しますが、職業の取り消しではありませんし、職業標準の取り消しでもなく、さらには技能スタッフの評価を取り消すのではなくて、ただ”職業資格評価”を”職業技能等級認定”に改めるだけです。なぜこのような改定を行うかというと、茶藝師、評茶員には、かつて国家職業資格の名前をつけていたため、資格が無いと職業に就けないという誤解を生じていたためです。

Q.国家”職業資格”と”職業技能”にはどのような違いがありますか?
国家職業資格は特定の職業に設定され、国家安全、公共安全、生態環境安全、人の健康、生命財産の安全などに関わるもので、たとえば、医師、弁護士、教師、公認会計士などの職業で、これらの職業はみな”資格を持って職に就く”ことが必要です。職業技能は、従業員の技量水準の高低を測るもので、たとえば茶藝師、評茶師、バーテンダーなどで、これらの職業には”資格を持って職に就く”必要はありません。証書は単に証書を持っている人がその業界で働く上で有利になるという、一つの評価に過ぎません。

Q.茶藝師、評茶師はどのようにして事業主や第三者機関などで認定されますか?
茶藝師、評茶師は職業資格から外れた後は、元々の信用を備えていた国家機関から事業主や第三者機関に変更されます。認証主体が政府から事業主などに変更されることで、”誰が雇用し、誰が評価し、誰が証書を発行し、誰が責任を負うか”ということが実現できます。この評価システムはまさに西側の先進国が一般的に採用している人材評価システムで、このシステムの良いところは市場により広い自主的な空間を与えることが出来ることで、事業主の主体的な作用と社会組織の作用を発揮することができ、政府は主に職業標準を開発し、評価機関に対しての管理監督サービスを行うことで、茶業界の発展という観点から見れば、極めて良くなります。

Q.元々の『国家職業資格証書』と将来の『職業技能等級証書』には違いがありますか?
『国家職業資格証書』と『職業技能等級証書』は茶藝師、評茶師についていうと、両者の間で本質は変わっておらず、いずれも人材評価の一つの方法です。違うところは、『国家職業資格証書』は国家の信用がバックにありますが、『職業技能等級証書』は業界の信用がバックになります。

Q.これまで取得した茶藝師、評茶師の証書は有効ですか?
はい。これまでの証書は依然有効で、国が明確に表明したことがあります。職種がなくなる前に取得した職業資格証書は、有効であるという法律の根拠もあります。リストから外れた後も、資格証書は人材評価の有効な証明書としての権威性を備えています。

Q.この政策の改定で今後は良くなるのでしょうか、それとも悪くなるのでしょうか?
業界の認知という角度から言うと、この改定は良いことで、取材によると、今後の『職業技能等級証書』の試験範囲はさらに広くなり、各テーマの難易度も増す予定で、まさに”大浪で砂が細かくなる”ということです。言い換えるならば、今後は茶藝師、評茶師の職業技能等級証書を有する人材は、必ず茶業界の極めて優秀な人であるはずです。

 

国家資格から外れるというと、大変ショックを受ける方もいると思います。
が、今回の変更は、中国の職業資格制度の大改革に伴うものです。
日本などと同様に”資格を持っていないと就業できない職業”だけを国家資格として残し、他は削減するという方針に沿ったものです。

中国の職業制度は、かつては資格を取らないと職に就けないというシステムでした。
たとえば、普通のお店であっても、接客をする人は接客の資格、会計をする人は会計の資格を持っていないと仕事をしてはいけない、というシステムだったのです(買い物をしようとして、店員さんにお金を渡そうとすると、収銀台に行け、と回された経験を持つ方もいるでしょう)。
が、これでは就業機会が減ってしまいますし、人材の機動的な運用が出来ないことから、中国特有のシステムであった職業資格制度自体を大きく見直す、というわけです。

今回、削減される国家資格の中には、面点師なども含まれます。
「そんな仕事も国家資格にあるのか」という国家資格は基本的に無くなるという方針なので、茶藝師、評茶員が国家資格から外れるのは当然かと思います。

今後は民間の認定機関の資格ということになりそうですが、そのあたりの詳細はまだ判然としません。
いずれにしても、国家資格を受験しようと思っていた方は、少し情報を集めてからの方が良さそうです。

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