茶が害虫の咬害に遭った場合、独特の揮発性物質が代謝されることはよく知られており、東方美人茶や蜜香紅茶などの形で利用されているケースもあります。
実はそれだけでは無く、不揮発性の代謝物質が生じていることも研究によって判明したとのことです。
中国科学院華南植物園、広東省応用植物学重点実験室、華南農業植物分子分析と遺伝改良重点実験室の廖銀吟氏などが2019年5月28日に『Journal of Agricultural and Food Chemistry』誌で発表した、『Effect of Major Tea Insect Attack on Formation of Quality-Related Nonvolatile Specialized Metabolites in Tea (Camellia sinensis) Leaves(茶葉の品質に関係する不揮発性の特定代謝物質の形成における、主要な茶の昆虫による攻撃の効果について)』。この文章の研究結果は、主要な茶の害虫がもたらす茶の品質に関連する代謝物質への影響を確定する上で有用であり、さらに虫害に遭った茶の植物ホルモンと品質に関連する不揮発性代謝物質の関係の理解を増強する上でも助けになることでしょう。
昆虫による攻撃を受けることが、茶の中の揮発性代謝物質を多く蓄積することは既に知られています。しかし、昆虫の攻撃が茶の品質に関連する不揮発性の特殊代謝物の影響に与える影響についての情報は極めて少ないのです。この文章の要旨は、主要な茶樹の昆虫(チャノミドリヒメヨコバイとシャクトリムシ)が攻撃するとき、茶の中には特有の不揮発性物質が形成されることと、植物ホルモンが昆虫の攻撃に寄って引き起こされる代謝物の形成に関与していることが確定されました。
チャノミドリヒメヨコバイとシャクトリムシの攻撃は、いずれもジャスモン酸類とサリチル酸の含有量を増加させます。チャノミドリヒメヨコバイの攻撃のみだった場合は、アブシシン酸の含有量が増加し、これは特殊な連続した刺して吸うという傷害によるものと見られます。チャノミドリヒメヨコバイの攻撃がポリフェノールオキシダーゼの作用のもとで、カテキン類からテアフラビンの形成を誘導し、さらにシャクトリムシの攻撃はアミノ酸の含有量を増やします。外因性植物ホルモンの投与はカフェインとカテキンの含有量に影響します。
これらの結果は、主要な茶の害虫がもたらす茶の品質に関連する代謝物質への影響を確定する上で有用であり、さらに虫害に遭った茶の植物ホルモンと品質に関連する不揮発性代謝物質の関係の理解を増強する上でも助けになることでしょう。
原文については、こちらに掲載されています(英文)。