プーアル茶の品質について、その産地の環境や茶樹品種などから優秀さを解説している記事がありましたので、ご紹介します。
プーアル茶は長きにわたってその品質の優秀さで内外に名前を馳せていますが、独特な製造方法の他にも茶樹品種、自然地理環境も密接な関係があります。
地貌の影響
プーアル茶の産地は、滇西南縦谷区の東南部にあり、哀牢山、無量山、怒山の南側の山脈など三大山脈と紅河、瀾滄江、怒江の三大水系の間に並んで構成されており、北は狭く、南は広い箒(ほうき)状の山地になっています。地勢は北が高く南は低くて、垂直差異も顕著で、太平洋とインド洋の温かく湿った空気が深く入り込んで、豊富な降水をもたらします。海抜2500m以下の亜熱帯山地はどこも茶樹の生長が見られ、海抜2000m以下の酸性土壌は茶樹の栽培に適した地域で、海抜800~1600mの地帯は茶樹の生長が旺盛です(茶区の80%の面積は900~2000mの山地にあります)。
気候の影響
プーアル茶の産地はいずれも、低緯度、季節風、垂直気候の特徴を備えています。東北にある高山が冷たい空気の侵入を阻み、南に向かって広がる広い谷状の山地は太平洋とインド洋からの温かく湿った空気が深く流入するのに有利であり、低緯度高海抜という地理的な位置が、南亜熱帯が主の独特な気候を形成します。夏と秋は雨が多く、冬と春は霧が多く、夏と秋には酷暑も無く、冬と春の温度は比較的高くて、相対湿度は80%前後あり、年間の日照時間数は1873.9~2206.3時間で、積温は6000℃以上です。茶のことわざの中には、”高山雲霧出名茶(高山の雲霧は名茶を出だす)”と呼ばれますが、プーアル茶の産地の地貌と気候の特徴は、まさに”出名茶”の条件を備えています。
土壌の影響
プーアル茶産地の地質母岩は複雑で多様であり、大多数は茶樹の生長に適した母岩です。高温多雨の熱帯亜熱帯生物気候条件の下、土壌の母質は高度に風化しており、原生鉱物が分解され、粘土含有量が増し、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの惠金は失われ、ケイ素は遷移し、鉄アルミニウムはあつまり、脱ケイ素富アルミニウム化の過程が強烈で、土壌は深くて厚い酸性紅壌を形成します。様々な植生に良好にカバーされ、生物の成長累積量が大きくなると、有機質と養分の豊富な腐植質の表層が形成され、土壌のph値は一般には5.0前後で、茶樹の生長に最適な土壌となります。
植生の影響
プーアル茶の産地は森林カバー率が高く、様々な熱帯亜熱帯の原生植生が保たれており、生物資源も豊富で、”植物王国”の呼称もあり、絶えず珍しく貴重な種が発見されていて、雲南大葉種茶の在来品系の発祥地の一つになっています。プーアル茶の産地は地形が複雑で、それぞれが小さな範囲での生態システムを形成しており、それぞれの生態システムの中で万遍なく植えられた茶樹が自然雑交、自然選択と人工選択を通じて、独特の植物学的特性を有した地方群体品種を形成しており、すぐに良種として普及されるために選ばれるものもありますし、さらに一段選育した良種の資源となるものもあります。茶園はおしなべて、豊富な植生によってカバーされた良好な緑の海の中にあり、工業汚染などが無い自然生態環境の中にあって、品種と自然条件の統一不可分性から、我が国の茶学界の専門家は、「大葉種の品種導入地区は、原産地区には敵わない」という結論を出しています。
優良な茶樹品種
プーアル茶大葉種は雲南の特有種で、優良茶樹品種に属し、葉肉は厚くてしっかりしていて、芽は太くて大きく、発芽は早く、白毫も多く、育芽力も強くて、成長期が長く、内含物質も豊富です。科学測定によると、雲南大葉種は小葉種よりも優れていて、低緯度の地区で生長した大葉種茶葉、高緯度地区で生長したものよりも優れているとのことです。プーアル茶産地で栽培されている雲南大葉種は1年に5~6回発芽し、年間の生長期は300日以上です。茶樹の新梢は長く、芽葉は重みがありしっかりしています。雲南大葉茶の葉緑体のラメラは200層に及び、中小葉種と比較すると倍で、高産量で優秀な品質の構造を持っています。雲南省茶葉科学研究所の測定によると、同じ条件のもとで、茶葉品質の主要な指標である”水浸出物”を測ってみると、大葉種は小葉種に比べて3~5%高く、茶ポリフェノールは5~7%高く、カテキンは30~60mg/g多いのです。とりわけ、プーアル茶の主産地である普洱、西双版納茶区(北緯21度~24度)では、一般に水浸出物は47~48%、茶ポリフェノールは33~36%で、カテキンは170~190mg/gです。
ここからも見られるように、優れた自然地理環境と優良な茶樹品種の資源が、プーアル茶の優良な品質の基礎を形成しているのです。
少し専門的な用語が用いられていますが、土壌や気候などの生育環境と品種の優秀さがプーアル茶の特徴を形作っているとのことです。