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閩南の茶席で鉄瓶が流行

台湾の茶人の間で流行し、それが大陸の茶人の間に広まった鉄瓶ブーム。
現在では一般のお茶の愛好家にまで裾野が広がっているようです。
福建省南部の地元紙の記事をご紹介します。

闽南掀起茶席复古风潮 铁壶泡茶受关注

古人云:“器为茶之父,水为茶之母。”

今人说:“水为茶之母,铁壶增喉蕴。”——仅因铁壶烧出的水,可改善水质、提升茶的香气滋味、补充人体微量元素……

本篇文章来源于第一茶叶网 原文链接:http://news.t0001.com/2015/0123/article_176938.html

昔の人は言いました:「器は茶の父、水は茶の母」

今の人はこう言います:「水は茶の母、鉄瓶は喉ごしを良くします」
-なぜなら、鉄瓶でお湯を沸かすと水質が改善し、茶の香りや味を高め、人体に必要な微量元素を補うのです・・・

閩南地区では、多くの家で紫砂や磁器を使ってお茶を淹れます。しかし今では、鉄瓶の復古ブームが盛り上がっていて、鉄瓶でお茶を淹れたり、鉄瓶で水を入れたり、鉄瓶に直接お茶を淹れる・・・ということが行われています。鉄瓶には、一体どのような利用価値と鑑賞価値があるのでしょうか?
私たちと一緒にこの美しい品物の神秘的な面を見てみましょう!

 

白茶を淹れ、鉄観音も淹れる
鉄瓶は茶葉店で入手

一般的に言えば、閩南人は白磁の蓋碗や紫砂壺を用いてお茶を淹れる習慣があります。最近、茶に美学を唱える多くの茶人たちが、茶席における復古ブームを巻き起こしており、このため鉄瓶はその頭角を現すようになり、閩南人のお茶のテーブルに登るようになりました。

理想好茶の泉州雲鹿店に取材に行ってみると、店内には100元から数千元になるような鉄瓶が色々展示されていました。この店のマネージャーの蔡軍虹さんの話によると、鉄瓶は最近入荷したばかりとのことです。なぜなら今年の4月に理想好茶は老白茶の製品を売り出し、透明なガラスのポットで白茶を淹れる方法が多くの顧客の人気の的となりました。「理由の1つは目新しさで、もう1つは淹れた白茶がより滑らかで香りが高いためです。鉄瓶は中国でお湯を沸かし、お茶を淹れる最も古い道具で、今から数千年の歴史があります。ここ2年ほど鉄瓶の復古ブームが起きていて、北京、上海などの地域では古い鉄瓶のコレクションブームも起こっています。閩南人はお茶を飲むことにこだわるので、鉄瓶も店に入れるようにしたのです」と蔡マネージャーは言います。

八馬茶業でも、鉄瓶の姿を見ることができました。よくご存じの紫砂壺の大きさの鉄瓶があり、これは直接お茶を淹れることのできる道具ですが、よく見かける大きい鉄瓶もありました。店の茶藝師の話によると、「鉄瓶は去年から販売を始めたもので、100元ぐらいの小さな鉄瓶の販売が好調で、多くのお客さんは小さな鉄瓶が精巧で可愛らしく、実用的だと好んでいます。八馬茶業の厦門にある店では、鉄瓶だけを使ってお茶を淹れています。大きな鉄瓶を買う人もおり、直接、濃香鉄観音や陳年鉄観音を淹れるのに使ったりするようです。また、プーアル茶を直接淹れたり、お湯を沸かすのに使う人もいます」
鉄瓶でお茶を淹れるとより甘くなる
軽発酵のお茶は鉄瓶で淹れるべきでは無い

陸羽の「茶経」の言葉に”水は茶の母、器は茶の父”という言葉があります。ある人は鉄瓶を”お茶淹れの便利な道具”だとか”水のためにあるもの”と言います。これには理由があります。茶藝師の唐さんの話によると、鉄瓶でお湯を沸かすと沸点の温度がより高くなり、これは一般のステンレスのポットに比べると2~3℃高いそうです。さらに保温時間がより長いので、高温のお湯でお茶を淹れることができるため、茶の香りを引き出し高めることができるのです。このほか、鋳鉄の鉄瓶でお湯を沸かすと、水の中の塩素を取り除くことができて、人体に吸収されやすい二価鉄が放出されるので健康にもよく、貧血の防止にもなります。また水質を軟化させるので、水はより柔らかくなり、甘くなります。

それならば、どんなお茶でも淹れることができるのでしょうか?お茶の愛好家の暁寒軽氏は鉄瓶の忠実な愛好者でもありますが、彼は自分の経験からこのように結論づけています。「発酵の重いお茶や陳年茶が鉄瓶で淹れるのには向いています。老茶頭、紅茶、陳年鉄観音、老プーアル茶、陳年岩茶などです。洗茶をしたあとに冷たい水からお茶を煮出すと、よりお茶を美味しく淹れることができます。しかし、鉄観音や緑茶などの発酵の軽い茶葉は、お湯を沸かすだけにする方が良いでしょう。お茶を煮出してしまうと、茶葉が黒く変色し、お湯が紫になり、変な味を感じてしまい飲みにくくなります」

昔の人は一般に鉄瓶を炭火の上に置きましたが、今ではほとんどの人が炭火を使っておらず、電磁調理器でも大丈夫です。寒い旧暦の師走の時期には、沸騰する鉄瓶から立ちのぼる蒸気を見ながら、熱気が空気中に伝わっていくと、茶の香りもより良いにおいがして立ちこめていきます。熱いお茶を飲むときは、温かな感覚を全身で感じることも一緒に楽しめるのです。

 

鉄瓶の手入れはこだわりがあります
周知のように、日本の鉄瓶の技術は巧みで、台湾のものがそれに続きます。しかし国内の鉄瓶製造業も、ここ2年ほどで大分進歩しており、主要な産地は浙江地区に集中しており、外観は日本の風格を残しながら、量産化を行っています。

鉄瓶は小さいとは言え、こだわるところはたくさんあります。1つの鉄瓶を鑑賞するだけでも、フォルムや落款、文字、デザイン、注ぎ口、口、取っ手、蓋など15カ所もこだわって研究することができ、本当に鉄瓶は小さいけれどもこだわりが詰まっていて、難解な鋳鉄の鉄瓶は愛好家のお気に入りとなっています。

このように美しい鉄瓶ですが、メンテナンスにはたくさんの決まり事があります。たとえば、手で直接鉄瓶の内部を触ってはいけなくて、洗剤などを使うこともできず、強い力でこすってもいけませんし、空焚きをしてはいけませんし、茶水を鉄瓶の中に残したまま一晩おいてもいけませんし、電子レンジを使うのもいけません。しかし、もっともお茶の愛好家たちの頭痛の種は、鉄瓶に発生するサビの問題です。

暁寒軽さんは、「鉄だからサビは発生します。サビが発生しないのはステンレスです!」と言います。サビを防ぐのは難しくありませんが、もし鉄瓶にサビが出てしまったら、どのようにして取り除けば良いのでしょうか?鉄瓶の中や注ぎ口に発生した場合は、スチールウールとヘチマで取り除くことができます。使う際には鉄観音か緑茶を何回か煮出せば大丈夫です。鉄瓶本体と底に発生したサビは、植物油を適量塗布すれば、ある程度サビを取ることができます。

 

ブームになったという話から大分経ちましたが、既に中国国内で大量生産を始めているようです。
品質の問題はさておき、このへんのスピード感や昔から我が国にあった文化、と言い切ってしまうところはさすが中国だと思います。

 

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