プーアル茶は煎が効くと言われますが、その理由について科学的に簡単に説明した記事がありましたので、ご紹介します。
お茶の煎が効くと言う場合、通常は2つの要素があります。
1.茶葉に含まれるポリフェノール類物質の含有量が高いこと
葉の成熟度が異なれば、茶葉に含まれる味を呈する物質の含有量も異なり、通常の変化のルールはこのようなものです。
嫰芽(高アミノ酸、低茶ポリフェノール)→ 二葉~三葉(アミノ酸が下がり、茶ポリフェノールの含有量が最も高い) → 四葉以降(アミノ酸、茶ポリフェノールともに低くなる)
茶樹が2,3葉の時は茶ポリフェノールの含有量が最高であるとも言え、そのために2~3葉の原料を用いて作るプーアル茶は、嫰芽あるいは老葉で作ったお茶よりも遥かに煎が効き、嫰芽で作る緑茶と比較しても煎が効くというのは、このような道理なのです。
2.茶葉に含まれる水浸出物の含有量が高い
プーアル茶は大葉種茶樹を採用しており、大葉種茶樹の葉は二層構造(つまり上表層は柵状組織で、下層は海綿状組織)で、中葉種あるいは小葉種の茶樹は三層構造です(上下の表層は柵状組織で、中間層が海綿状組織)。
茶葉に含まれる味を呈する物質(茶ポリフェノール、カフェインなど)は主に海綿状組織の中に存在するので、このため海綿状組織が厚くなればなるほど、茶に含まれる味を呈する物質の量は豊富になり、茶葉は煎が効くことになります。
通常、同じ茶摘み基準で摘んだ大葉種茶樹の海綿状組織の厚みは中小葉種に比べて20%前後厚く、そのため、プーアル茶は中小葉種で作った緑茶、紅茶あるいは烏龍茶よりも遥かに煎が効くのです。
以上の2つの要素が組み合わさって、プーアル茶は中小葉種茶樹から作る緑茶、紅茶などよりも、煎がずっと効くようになるのです。
最後に説明しておくべきこととしては、煎が効くというのは茶葉の専門の審査用語ではなく、多くの茶葉の審査基準の中には”煎が効く”という言葉は無くて、通常は”濃”、”厚”の2つの言葉で表現され、これらはそれぞれ「1」と「2」の要素に対応しています。
煎が効くという現象面は語られることが多いのですが、その理由について科学的に説明されることは割と少ないようです。
大葉種と中小葉種の葉の構造の違いや成熟度による成分の違いということになるのですが、茶を理解しようと思えば、茶の植物としての理解が欠かせません。