主に烏龍茶の製造などに使われる揺青機はドラム型のものが主流でしたが、いくつかの欠点を有していました。
そのような欠点を無くした、新しいタイプの揺青機が開発されたそうです。
伝統的なドラム式揺青機には、生葉量を多く投入した時に揺青の不均一、走水の悪さ、摩擦不十分、発行のコントロールが難しいなどの弊害があり、これらを克服するために茶と食品学院茶学教師チームと校外の講師が共同で360度球型揺青機を開発しました。
この設備は内軸と外軸の二つの軸があり、ウォームギアで内軸と外軸が繋がっていて、モーターが動作すると、内外軸が動き始め、球型の外殻が360度旋回する運動をするようになります。同時に送風管の中に仕込まれた導流板によって、球体内部の様々な測定点で実測した最高温度と最低温度の偏差は2Kに収まり、空気の流れも均等で、揺青もまた均等になるようになっています。
長年の試験を経て、360度球型揺青機は武夷岩茶の重要な工程である做青の段階で顕著な効果を発揮することが証明されました。
官能審査、揮発性メタボロミクス分析、カテキン成分測定、アミノ酸成分測定の結果によれば、手作業の做青とドラムの作成よりも品質は優れており、武夷岩茶の品質向上と効率化における確実な技術面でのサポートになるとしています。
伝統的な烏龍茶総合做青機と比べると、360度球型揺青機は内軸と外軸の連動した制御を実現でき、球体を360度旋回運動させることができることで、生葉が受ける力をより均等にし、生葉が押しつぶされたときに出来てしまう”死青”の問題を避けることが出来ます。
また、手作業による笳歷を用いた做青と比較すると、360度球型揺青機は1回で100斤を越える生葉を投入することが可能です。
この機器は総合做青機による做青の不均一と、手作業による笳歷を用いた做青の産量が少ない、人件費のコストが高いといった武夷岩茶の”肝心要の”問題を解決できます。
茶葉の官能審査専門家チームは、同じ生葉の”水仙”と”肉桂”(萎凋程度は一致)を異なる做青方法(手作業による做青、総合做青機揺青機と360度球型揺青機)で製造した製品茶に対し、複数回の官能審査を行いました。
その結果によれば、360度球型揺青機で製造した武夷水仙と肉桂は、香気、滋味と葉底などの面で、手作業と総合做青機よりも優れており、総合評価は最も高くなったそうです。
さらに研究チームは、3つの作成方法の異なる武夷水仙の製品茶に対して、メタボロミクス分析を実施しました。
その結果、球型揺青機で生産した武夷水仙には合計24種類の揮発性物質が同定され、総合做青機と手作業による做青で生産した武夷水仙(Foldchange > 1.3、P < 0.05)よりも有意に多かったことが示され、一部の物質は心地よい花香、果香、木質香などであることが確認されています。
明確なフルーツの風味を持つエチル(E)-ヘキサ-3-エノエート、リナリル イソバレレートなど。心地よい花香の物質のβ-エチルフェニルアセテートなど。木質やスパイシーな香りを持つイソカンフェニルギ酸、ゲラネンD、10-ウンデセン酸aなどです。
カテキン成分の測定結果からは、球型揺青機で製造したもののGC、EGC、EC、EGCG*3Meの含有量は、ドラムや手作りの武夷水仙に比べて有意に高いことが示されました。
23種のアミノ酸成分の測定結果からは、球型揺青機の武夷水仙のグルタミン酸とテアニンの含有量は、ドラムや手作りの武夷水仙よりも有意に高かったことが示されました。
以上の物質が多量に蓄積されることは、武夷岩茶の優れた品質の重要な要素です。
さらに、注目に値するのは、EGCG*3Meの保健効果が優れていることで、一部の試験結果ではEGCGよりも保健効果が優れていることが示されています。
この360度球型揺青機は既に実用新案特許を取得しています(一種360度茶葉揺青装置 認可広告番号:CN 210184396 U)。
360度球型揺青機の研究開発の成功は、茶農家の収入を高め、武夷岩茶の高品質な発展を推進し、武夷岩茶の新たな質の生産力の発展を助ける上で、重要な意義を持っています。
円筒型ではなく、球型の揺青機が、いよいよ実用化されていきそうな流れです。
烏龍茶産地の工場の風景がそのうち変わっていくかもしれません。