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全て芽で作ったプーアル茶をあまり見かけない理由

プーアル茶の中には宮廷プーアル茶など、芽の部分を多く使っていることを宣伝するものもあります。
どのくらいの量の芽が含まれているお茶が良いのかについて考察した記事がありましたので、紹介します。

 

調査によると、大木になった木の原料を用いた発酵させた熟茶に関していえば、芽の比率は春茶であれば、15%を超えることはありません。一般の台地茶(訳注:茶園産のお茶)の茶摘みは一芽二葉で、等級は相対的に高くなります。大木から作るお茶の茶摘みは一芽三葉、あるいは四葉になることもあって、等級は相対的に低くなり、芽の部分の比率はより少なくなります。
プーアル茶の級別の評価基準では、芽が多ければ多いほど、等級は高くなります。世間によく知られているように、一般的にいえば、芽の部分のお茶は外観が美しく、細く柔らかい芽があるためにアミノ酸が豊富に含まれているので味わいは旨みがあって爽やかです。
しかし、芽が多いことは、旨みがあって爽やかなことがメリットとなるだけで、味わいの厚みは高めることができなくて、その他の成分(ポリフェノール類など)のわりあいは葉っぱのお茶に比べて少なくなってしまいます。実際のところ飲んだときの滑らかさには内含物質によるサポートが必要なのです。芽の内含物質は一定の成熟度の茶葉と比較すると少ないと言えて、芽が占める部分があまりにも大きすぎるとその後の陳化と煎の持続性には一定の影響を受ける可能性があります。

なぜプーアル茶には全て芽のお茶がとても少ないのか?

緑茶を飲む人たちは全て芽の茶葉を飲んだことを肯定的に捉えるかもしれません。茶葉について言えば、全て芽のお茶は茶葉の原料の等級が高く、当然価格も相対的には高くなります。しかし、私たちが非常に高いプーアル茶を飲むとき、全て芽のプーアル茶を飲むことは本当に稀です。
私たちは、雲南のプーアル茶と緑茶の最大の違いは味わいと煎の持続性にあることを皆知っています。緑茶の味わいは比較的清らかで淡く、茶湯は飲んだときに旨みがあって爽やかです。異なる緑茶の味わいは少し違いがありますが、全体的に言えば、緑茶の煎の効き方はあまり良くないと言えて、三、四回でお茶の味が無くなってしまいます。
雲南のプーアル茶は、プーアル茶の後発酵がもたらす豊富な味わい以外に、茶葉の中では、プーアル茶は煎が効くことで有名で、百年古樹茶であれば十数煎から二十煎は淹れることができて、これはプーアル茶が多くの茶の中に混じってもかなり良いものです。しかし、雲南の百年以上の古樹茶はその成長の時間が非常に長く必要で、短時間では育てようがないので、そのため毎年の茶葉産量はかなり限られてしまい、とりわけ芽ばかりのものはもっと稀少になります。
まさにプーアル古樹茶の産量があまりにも稀少なため、我々は芽ばかりの茶葉を見ることがほとんど無いのです。もちろん、ほとんど無いということは絶対に無いということを否定するものでは無く、全て芽のプーアル茶もあるでしょうが、その値段は不相応に価格が高くなります。もし、全て芽で作ったプーアル茶をあなたに飲ませたいという人に出会うとしたら、それは何とか権威に取り入ろうとする人で、茶葉でごまをすっているのです。

 

全て芽で作ったものが良い、というのは緑茶の世界の価値観であって、プーアル茶ではそうではないということです。
宮廷というのは特級のさらに上にある芽の部分を使ったという意味だけで、別に宮廷に献上していたグレードというわけではないのですが、実力以上にありがたがってしまう人もいるようです。
それぞれのお茶には適した茶摘みの程度があるので、それに応じたお茶選びが必要だと思います。

 

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