2021年を迎え、今年の茶葉市場の動向を占う上での要素について述べられている記事がありましたので、紹介します。
2020年に入り、国内市場の需要が、我が国の茶産業の発展を牽引するようになってきていて、今後10年は、茶産業の発展はより国内の消費によってもたらされ、国内の茶葉消費の重点は、飲料としての需要と同時に、茶葉を他の用途に用いる需要量など多様性が求められています。
2021年はまもなく始まりますが、2021年はどのような要素が茶葉の消費に影響を与えるのでしょうか?東方茶界商学院が分析したものをシェアしますので、一緒に見てみましょう。
みなさんご存じのように、国内の茶葉消費の需要に影響する要素は、茶葉の数量と製品の構造を含みます。茶葉の消費に影響する要素は多くて、その中でも最も密接に関連する要素は経済発展水準、住民の収入水準、消費習慣、茶葉商品がどれだけ消費者の需要に適合しているかと、人口の数によります。
(1)経済発展水準
茶葉は国家の経済と人民の生活に関わる製品ではありません。経済発展水準がまだ低い段階では、政府と社会は茶産業の発展と茶葉消費に重点を置こうとはせず、茶葉の生産と消費に関して奨励する政策はとても少なく、茶葉の消費は必然的に抑制されました。我が国の経済発展水準が高くなってきて、特に小康社会に入ってからは、住民の需要構造に明らかな変化が現れ、茶葉の需要は急速に成長を見せるようになり、政府も茶葉産業に対してのサポートを強化しています。改革開放からの、我が国の茶葉消費量の変化はこの点から説明がつきます。
(2)住民の収入水準
やや高級な農産品ということに関して言えば、我が国の低収入消費層の数量的な需要は弾性があり、市場の余地は大きく残されています。一部の少数民族を除けば、茶葉は住民の生活必需品では無く、一種の嗜好品であり、生活必需品と贅沢品の間に位置しています。収入が低いときは、住民の収入水準は直接的に茶葉の購買力に関係し、茶葉の需要には大きな弾性を生むことになります。しかし、収入水準が高くなるにつれて、茶葉の需要の弾性は減少し、弾性が無くなっていきます。
住民の収入水準と茶葉消費は以下の3つの観点から考えることができます。
第一に、時間の経過から見ると、我が国の一人当たり茶葉消費量は1978年にはわずか187gでしたが、2009年には750gに達しています。茶葉の消費と住民の収入の間には線形の関係性を有するのではありません。1990年の住民の収入は1978年に比べて3.5倍に伸びていますが、茶葉の消費量は1.9倍の伸びです。2000年の住民の収入は1990年に比べて3.4倍に伸びていますが、茶葉の消費量の伸びは34%です。2008年の住民の収入は2000年に比べると1.3倍に増加していますが、茶葉の消費量は1.1倍の伸びになっています。
第二に、地域分布から見ると、北京、上海、広東、山東などの経済発達地域は一人当たりの消費量が発展途上地域よりも高く、都市住民の一人当たり消費量は農村の一人当たり消費量よりも高くなっています。
第三に、異なる収入の家庭と茶葉消費の間の相関性を見ると、『中国統計年鑑』のデータによれば、2006年、高収入家庭の消費量は低収入家庭よりも2.2倍高くなっています。
(3)消費習慣と習俗
茶葉は一種の飲料であり、市場には多くの代替製品があります。なぜある人はお茶を愛飲し、ある人はコーヒー、コーラなどを愛飲するのかは、それぞれの人の消費習慣と関連があります。異なる地域、異なる民族、異なる年齢と異なる社会特性の住民の消費習慣は異なり、飲茶人口の比率と一人当たりの消費量には大きな違いが存在します。チベット、新疆、内モンゴル、青海、寧夏などの少数民族地域の住民は、茶葉を生活必需品と捉えています。これらの地域の住民は収入が高くはありませんが、一人当たりの消費量は国内で最も高い地域です。
消費習慣と習俗は長期の生活環境の中で徐々に形成されるもので、一人の消費習慣を変えることは、消費層全体の消費習俗を変えるためのゆっくりとした過程なのです。長期的に見ると、茶文化と飲茶が健康に有益であるという宣伝活動を行うことは、人々の飲茶習慣を育てるためには有益で、茶葉の消費を促進する重要な作用があります。茶葉の消費を拡大するということは、茶葉企業が茶葉の代替品との競争を行うということを意味します。消費者の心の中での茶葉のイメージ。茶葉企業のブランド影響力とマーケティング能力は、より多くの飲茶習慣をもたらせるかどうかに関係してきます。
(4)茶葉製品の消費者の需要に対する適合度
近年、住民の収入水準が高くなり、茶葉のマーケティング戦略が実施されるようになるにつれ、多くの住民には飲茶の欲望が生まれています。しかし、現在の茶葉製品の味、機能が彼らの要求を満たせないのであれば、これは潜在的な消費者を本当の茶葉消費者に変えるということができません。このほか、一部の飲茶習慣のある顧客は自らの身体的な状況の変化により、現行の茶葉製品を飲むことができなくなり、しかしそれに適合した代替の茶葉製品が無かったとしたら、彼らはやむを得ず、消費市場から退出をせざるを得ません。たとえば、睡眠がよくとれない消費者はお茶を飲むことが睡眠に影響することを心配するでしょう。しかし、現在の市場には品質の良い低カフェイン茶がなければ、彼らはお茶を飲むことを控えるか、お茶を飲まないということしかできません。このように茶葉企業は市場の調査研究を真剣に行い、新しい製品の開発に力を入れ、より多くの新製品を生み出し、茶葉製品を消費者の多元化した需要を満足させられるようにしなければなりません。
(5)人口
人口は茶葉の消費を決定づける重要な要素の一つです。一人当たり消費量が変わらない状況であれば、人口が増えるほど、茶葉の消費規模は大きくなります。このほか、人口の性別、年齢構造、職業、教育水準なども茶葉の消費に影響を与えます。
同時に、将来消費が沈滞し、消費者が若年化することもも一種の趨勢としてあります。2021年、茶葉市場はどんどん良くなると思いますが、以上のような観点を認識されているでしょうか?
経済の専門家の観点からの意見なので、やややこしく感じるかもしれませんが、至極当たり前のことを指摘しています。
「昔は良かった」という話は良く聞くのですが、その当時の状況がどのようなものであり、どのような点が受けたのかをキチンと分析すること。
その上で、それらの環境が現在や将来の状況とどう異なり、その場合に適合した商品、販路、宣伝戦略などを打つというのが、本来あるべき姿です。
新年という機会だからこそ、こういったことを見つめ直すのも良いのかもしれません。