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普洱茶の世界から”私房茶”が少なくなった理由

中国のお茶業界で少し前から流行り始めたものとして、”私房茶”や”私人訂製”という概念があります。
それぞれ、”ハウスティー”と”個人オーダーメイド”程度の意味合いで、大手の茶業者などのブランド力のある茶葉ではなく、原材料などにこだわったお茶を選ぶというもので、茶人の世界では、流行した概念です。
しかし、今、普洱茶の世界においては、こうしたお茶は少なくなったといいます。その理由について考察した記事をご紹介します。

 

2013年に古樹茶の大ブームが起き、さらに名山古寨の”個人オーダーメイド”もヒットしました。××寨茶王樹、××寨古樹単株といった類いの製品が大いにもてはやされました。ここ数年という時間の中では、これらの”私房茶”はお茶の愛好家の家でよく見かけられましたが、ここ1,2年では、これらの”私房茶”の数量は大幅に少なくなっており、市場の寵児から捨て子になってしまったかのようです。

もし品質の観点から”私房茶”を見ると、お茶を作る人がインチキをしなければ、これらのお茶の品質は非常に良いものです。緊圧することの出来るほとんどの名山古寨の製品は、貴重であるだけの品質の裏付けがあり、値段が高いのには値段が高いなりの理由があるのです。しかし、投資の角度から”私房茶”を見ると、極端に言えば、これらは広く流行している普段飲みのお茶にも及ばないのです。

普洱茶のファンは大まかに3つのタイプに分かれます。1つめのタイプはお茶を飲むために飲んでいる人たち。2つめのタイプはお茶を育てようとする人たち。最後の3つめのタイプは、お茶を貯蔵することを投資の手段とする人たちで、純粋に”儲かる”という文字に付いていく人です。

1つめのタイプの人たちは、かなり以前から私房茶を作りはじめていて、私が大白菜班章が誕生したことを知ったころには、山にグループで出かけていって、お茶を緊圧している愛好家がいました。彼らがお茶を緊圧する目的はただ1つで、味わって飲むためだけです。業界が良いかどうかには関心を持たず、ただ茶葉の品質の高低のみを聞きます。彼らの輪はとても閉鎖的で、彼らのお茶が市場に出現することはまずありません。

2つめと3つめのタイプの人たちについては、彼らはさらに私房茶の現金化の能力にも注意を払います。理論上では品質に優れた普洱茶には、みな投資の価値がありますが、これには一つの大前提があり、製品の良し悪しを見極める力が高くなければなりません。私房茶について見てみると、ほとんどの私房茶にはブランドが無く、基本的には簡易な包装であって、そこに毛筆で産地と生産年度を書いてある程度です。このような製品は偽物を作るのは非常に容易すぎるものであり、一旦誰かが模造品を作りはじめれば、全体のシステムの信用度は台無しになります。お茶を育てようとする人たちについて言えば、製品の現金化が出来なくなった時点で止めてしまいます。お茶で金儲けをしようと考えている人にとっては、製品が現金化できないことは大損を意味します。

本当に良いお茶にお金を惜しまないお茶の愛好家は絶対的に少数で、残りの2つのタイプの人たちがお茶の消費者層の中堅的な力を持っています。”私房茶”が現金化には向いていないと分かってからは、自然と彼らはこれを横に押しのけてしまいました。そのため、”私房茶”が香らないのは市場の要因によるもので、茶そのものとは大きな関係が無いのです。

 

非常に重要な指摘だと思うのですが、本当に良いお茶にお金を惜しまないほどの愛好家というのはごく僅かであり、お茶を育てようとする人(若いお茶を安値で買い、しばらく手元に置いて高値の時に売り出すことを狙う人)と投機的にプーアル茶を買う人たちの方が購入額や量も大きいので、市場を左右しているということです。
とことん良いものを突き詰めるだけではダメで、市場全体を見る視点が必要ですね。

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