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数年で進化した四川省の茶産地

四川省の茶産地の様子と産業化への改革や取り組みを紹介した記事がありましたので、ご紹介します。
中国の茶産地の取り組みが良く分かる記事だと思います。

 

春は生気が満ち、今はまさに春茶の茶摘みシーズンで、四川省の各地の茶樹は鮮やかな緑になり、茶葉は吹き出すように新芽を出し、茶園のあちこちでは”茶摘み人”が働いている姿を見ることが出来ます。

改革によって成長がもたらされ、豊かになる道が拓かれる

楽山市夾江県新場鎮欣悟村の千畝茶園を通り抜けると、笠をかぶり、エプロンを着けて、茶の籠を背負った茶農家が両手を柔らかい葉の間で舞い踊らせています。摘まれた生葉は生産ルームに送られ、萎凋、殺青、揉捻、理条、烘乾などの工程で処理されます。

しかし、数年前はこのような盛り上がっている風景ではありませんでした。村の中に植えられている茶葉品種は同じでは無く、茶摘みと製造も規範的では無く、茶農家は販路にもっとも頭を悩ませていました。「辛い一年を過ごしてさらに損失まで被るので、出稼ぎに行って稼いだ方が実のところ良かったのです」と村民の曾亜芳さんは言います。しかし現在は違います。家の茶園からは毎年少なくとも五万元の収入をもたらしてくれます。

これは夾江県が改革を推進したことで得られたものです。土壌の改良、茶樹の改植、管理の改善、産業構造の調整、高水準茶園の新設などです。現在、夾江県の茶園面積は約30万畝で、そのうち輸出茶の品質安全模範区は23万畝で、茶園の規模は四川省内でも上位にあります。

欣悟村は緑山針茶葉公司を誘致し、”会社+組合+農家”の経営管理モデルを目指し、茶産業の発展によって、貧困を脱し豊かになるための道を切り開きました。現在、村には高標準茶園が1200畝建設され、1,000戸あまりの茶農家が茶葉を栽培するようになりました。

茶園の中には多くのチュウゴクイチイやモクセイなどが植えられていることに気づきます。この会社の責任者の朱廷雲さんの解説によると、「これは”林下栽培”です。元々の生態系にあった樹木を植えて、植物の陰を作ることで、早っ氏の間から漏れる光によって茶園の小気候を改善することが出来ます。茶樹は温暖で湿気があるところを好み、日陰にも耐えうるという特性に合致したもので、良い生態系のある茶園こそが良いお茶を栽培できるのです」とのことです。

「無公害の高品質な有機茶の生産を守り、大元の品質の管理を厳格に行います」と夾江県農業農村局の副局長である李秀林さんは言います。2020年、夾江県の茶葉総産量は4.3万トンで、輸出額は15億元を突破しました。感染症流行時期には、地元は周辺の市と協力し、10万名近い茶摘み人を集め、明前茶を茶摘みしました。

 

政府が”舞台をつくり”、茶農家が”よく演じます”

良い茶園は良いお茶を生みます。四川省ではより多くの茶農家たちが茶を育てることだけに没頭せず、彼らは頭を上げて”道”を見ます。それは良いブランドをつくり、販路を広げることです。

峨眉山市は四川省の重要な茶産地で、栽培面積は23万畝あまりに達します。双福鎮合江村は既にほとんどの家が茶の栽培家茶の加工を行っていて、既に貧困を脱した村民の祝守煒さんは、「以前はただ生葉を売るだけでした。よその土地からやって来た茶商は、そのラベルを貼り替えるだけで何倍もの価格を手にしていたのです。本当に勿体ないことをしました!」と言います。

全ての段階における”峨眉山茶”の地域ブランドを形作るために、峨眉山市は厳格に市場への参入を管理する仕組みを作り、品質安全トレーサビリティーシステムをつくり、緑茶を中心としながら紅茶、花茶、黒茶、白茶を支えとする、”一核多元”の製品ラインナップをうちだし、21項目のサポート政策を出して、企業の商標の登録、ブランドの向上に対して奨励を行い、”竹葉青””峨眉雪芽”などの龍頭ブランドを作り上げました。

良いブランドには無形の吸引力があります。双福鎮の青年である王敏さんは故郷に戻り茶業組合を立ち上げ、100戸あまりの茶農家が茶を植えて豊かになることをもたらしました。「私たちは良いブランドを本当に大切にしていて、ネット販売やライブ配信などの方法で、産業の裾野を広げ、販路を拡大しています」と言います。

政府が”舞台をつくり”、茶農家が”よく演じます”。峨眉山市は毎年多くの茶葉会社、茶農家が国内外の茶葉博覧会などに参加して商機を見つけられるようにしており、さらに”オフライン+オンライン”の取引プラットフォームを積極的に構築しようとしていて、有名なネットモールなどと提携し、特色館や直営店などを設置しています。村級のネット販売業者は、茶葉を20あまりの国家や地域に販売しています。

 

茶旅の融合的な発展で、貧困脱出の効果を確実なものにします

今年、中央一号文件で”農村の一次二次三次産業の融合的な発展模範区の建設を推進する”という政策が提出され、四川省も”千億茶産業強省の建設”という政策を提出しました。そして一つの新しい道である、茶旅を融合した発展の道に取り組むことにしています。

雅安市名山区は”全国農村一二三産業融合発展先導区”の立ち上げリストに選出され、全域で蒙頂山国家茶葉公園を建設し、優質な茶園面積は35万畝以上に達しており、”蒙頂山茶”は”中国十大茶葉地域公共ブランド”に選出されています。

3月20日、雅安市名山区百丈鎮月亮湖茶旅融合景区で観光する旅行客

名山区茶葉現代農業園区は四川省で初めて選ばれた五星級の現代農業園区で、百丈鎮解放村からは遮るものの無い茶樹が山の起伏に沿って綿々と続いているさまが見られ、木楼やカラフルなサイクリングロードと茶園が非常に映えていて、ネットユーザーの人気スポットになっています(訳注:いわゆる”映え”スポット)。

37歳の村民の趙学坤さんは農家レストランで忙しそうに客の呼び込みをしています。成都で木彫りを商売としていた彼がなぜ、実家に帰って来たのでしょうか?趙学坤さんは、「茶業の成長がとても良く見えたからです。村は今は4A級の旅行景区になっていて、お客さんは我が家の茶園で茶摘みを行い、茶葉の製造を学ぶことが出来、蒙頂甘露を味わって、茶文化を体験することもできます。商売はどんどん良くなっていますよ」と言います。

茶旅の融合は農村旅行に新たな活力を注入しています。漁宿文化旅游発展(成都)有限公司の責任者である肖屹さんは、月亮湖にある5つの遊覧船のような形の建造物を指さして言います。「あれはテスト営業している5部屋の水上民宿です。私たちは、民宿、レストラン、茶文化体験などを一体化した農業と旅行の融合プロジェクトを作り上げようとしています」

3月20日、名山区の茶園で茶摘み、茶文化体験をする旅行客

名山区は、”茶区景区一体化”の茶旅の融合的な発展という考え方を堅持し、蒙頂山文化旅游節を既に連続して16回開催しており、旅行客に”来て、滞在して、さらに滞在したくなる”という茶産地の特色ある旅行新業態を作り上げています。”十三五(訳注:第13期5カ年計画)”期間中に、名山区は累計でのべ2524.1万人の旅行客を受け入れ、旅行総合収入は226.7億元になりました。

名山区茶産業推進弁の主任である羅江さんは、「名山区は茶旅の融合をさらにシフトアップして加速し、茶産業によって貧困を脱出することの効果を上げ、良い農村の振興の道を歩んでいきます」と言います。

 

中国の茶業界が伸びているのは、市場が伸びているから、という理由が大きいのですが、それだけでは上手くいきません。
農村レベルでの様々な改善であったり、レジャー需要の取込などを戦略的に行ってきた結果です。
政府が舞台を用意し、茶農家がよく演じる、というのは言い得て妙だと思います。

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