浙江省衢州市開化県といえば、開化龍頂茶の産地であり、緑茶の産地だろう・・・と思いがちなのですが、近年はさまざまなお茶を作っているそうで、その評価も上々のようです。
「今年の杭州国際茶葉博覧会では、私は衢州市開化県の黒茶の新製品を味わったのですが、味は淡くて上品で、深みがありました。それで私はすぐに20万元ほどの注文を行いました」7月10日、湖南省の茶葉販売業者の陳菁氏は言いました。この黒茶は浙江雲翠茶業発展有限公司が生産したものです。同じことは他にもあって、広西チワン族自治区桂林の茶葉愛好家である、矯春風氏もこの会社から6万元近い黒茶を購入しました。
衢州産の黒茶はなぜ、この2名の他の土地の人から好評なのでしょうか?雲翠茶業公司の董事長の汪秀芳氏は、一つには開化の名優緑茶を原料として作っているので、味わいは国内の伝統的な黒茶と異なり、名優緑茶の清らかで淡く優雅な感覚があることです。もう1つは会社が研究開発した黒茶は専門家の鑑定を行い、今年の中国国際茶葉博覧会で発表してからは、業界と茶葉愛好家の注目を集めていることです、と分析しています。
しかし、この汪秀芳氏の会社は、地元の名優緑茶を原料として開発した、貢芽(緑茶)、紅茶、白茶、青茶(烏龍茶)、黄茶、黒茶を一列に並べて私たちの目の前に出したとき、開化の新商品が何故市場に受け入れられるのかにはもっと深い原因があるのではないかと感じました。まさに開化県の農業特色産業発展センター主任の胡金寿氏は、「雲翠公司の探究心は、我々、開化県の茶産業の多元化と全産業チェーンの発展探索を実践する精神を代表するものです」と話しています。
浙江省農業農村庁茶葉首席専門家で研究員の羅列万氏は、中国六大茶類の全ての製品の開発に成功し、そして全ての産業チェーンで市場を迎え撃ったことで、雲翠茶業公司は省内ひいては国内でもトップクラスです。彼は「今回のプロジェクトが開化の地元の茶資源をより良く利用することを推進する効果を持っていて、産業全体にとって啓発をする意味があります」と言います。
市場のプレッシャーと茶産業への思いから、2004年より汪秀芳氏と彼女の会社は、六大茶類の研究開発を途絶えさせたことはなく、さらに開化県有機流暢茶研究所を設立し、研究開発資金は五、六百万元を投資しています。「今年私たちは15種類の茶樹の新品種を導入し、原材料の品種改良に重点を置き、新品種によって、さらなる開発の基礎を作ろうとしています」と汪秀芳氏は言います。
「茶産業の発展は茶葉会社のことだけではありません」と胡金寿氏は言います。茶産業は開化の特色ある農業の支柱産業であり、農林牧漁業の総産出額のウチその比率は34.8%を占めます。現在、直接的に茶業に従事している人は5万人前後で、農民の収入の増加は2.75億元、茶農家一人当たりは1250元の増収となっています。
雲翠茶業公司は現在、茶葉の生産基地を4000畝あまり有し、専門組合を通じて参加している農家は3000戸を超え、年間の平均収入は大手の農家で十数万元、小さな農家でも六、七万元になります。池淮鎮星口村の姜法女さんはその一員で、彼女によると「以前は自分で植えて自分で売るので収入が不安定で、売れても大した価格になりませんでした。現在は会社と提携したので、収入が安定し、ブランドもある茶葉なので価格は倍になりました」と話します。
汪秀芳氏の話によると、今後は会社は茶類の研究を継続して開発するだけではなく、さらにその他のお茶産業のチェーン-茶旅との融合をできるように努力しており、現在既に茶の観光、茶の旅行、茶藝の訓練、百茶園の建設などのプロジェクトを計画中とのことです。
様々な種類のお茶を試験的に作ってみることは、日本でも台湾でも試みている茶業者さんが多いのですが、継続して研究開発投資を行うというのは、なかなかできることではありません。
そうした投資が徐々に結実しているということなわけで、安易に他の茶類を作ったというのとは、少し次元が違う話のようです。