国際標準化機構(ISO)がお茶の分類に関する国際規格を正式に発表しました。
この策定作業に携わった安徽農業大学のお膝元である安徽省の地元紙がこれについて紹介しています。
今はまさに新茶の香りが漂う時期ですが、4月18日の午前、安徽農業大学から素晴らしいニュースが届きました。
この学校の茶樹生物学と資源利用国家重点実験室主任の宛暁春教授が制定に携わっていた、国際規格ISO20715:2023『茶葉分類(訳注:正確には『茶ー茶の種類の分類』)』が正式に公布されました。これは我が国の六大茶類の分類システムが正式に国際的な共通認識となったことを示していて、また我が国の茶葉規格の国際化という面でもマイルストーンとなる成果です。
規格とは重要な技術規範の一種であり、国際規格の制定において主導権を握ることは、技術面での支配力を高めることができ、競争での優位を獲得することができます。
中国は茶の発祥地であり、茶葉の栽培、生産、加工、消費で世界トップの地位を占めていて、それぞれの茶類製品、特に緑茶製品の輸出貿易では主導的地位を占めています。しかし、長らく我が国は茶葉の国際規格の確立においては遅れていました。
早くも1979年には、我が国の茶学の高等教育の創始者の一人でもある、安徽農業大学の陳椽教授が、『茶葉分類の理論と実際』という文書の中で、正式に六大茶類の茶葉分類方法を提案し、茶葉を緑茶、黄茶、黒茶、青茶(俗称烏龍茶)、白茶と紅茶に分類しました。
この分類方法は現代の茶葉化学分類の基礎を定め、広く認識されて適用されましたが、規格の形式で規範化されることはまだありませんでした。
2008年、我が国が全国茶葉標準化技術委員会を設立して以来、宛暁春教授は中国の茶葉専門家チームの主要な責任者となり、専門家チームと共に国際標準化機構食品技術委員会茶葉分科委員会において、積極的に国際茶葉規格の制定権を締めるようになりました。
我が国のGB/T30766-2014『茶葉分類』、GB/T35825-2018『茶葉化学分類方法』をベースとし、インド、イギリス、ドイツ、日本、ケニア、ハンガリー、スリランカなどの31名の茶葉技術専門家と協力し、ISO規格の制定ルールに則って共同して制定し、中国の六大茶類の分類システムがISO国際規格になるようにしました。
この国際標準は茶葉の加工技法と品質特性により、茶葉を紅茶(オーソドックスティー、ブロークンティー、工夫紅茶、小種紅茶)、緑茶(炒青、烘青、晒青、蒸青、ブロークンティー、抹茶)、黄茶(芽型、芽葉型)、白茶(芽型、芽葉型)、黒茶(プーアル熟茶、その他の黒茶)の六大種類に分けています。
同時に茶葉の鍵となる加工工程の名詞や用語を規定しており、做形、悶黄、渥堆などの極めて中国の特色のある鍵となる工程の名詞です。
取材によると、宛暁春教授のチームは六大茶類の化学品質成分が加工によってどのように変化するかの分析をベースとし、六大茶類のサンプルのビッグデータによる分析と化学的計量法を結びつけ、GB/T35825-2018『茶葉化学分類方法』を制定し公布しました。現在、ISO国際規格『茶葉化学分類方法』も制定中とのことです。
このプロジェクトはISO20715:2023『茶葉分類』国際規格にとって有益な補完となることでしょう。
この国際規格の公布は、我が国の茶葉標準化作業における国際的な影響力と発言権を高め、公平な国際茶葉貿易と消費者の権益に規範を与え促進するもので、我が国の茶葉輸出、とりわけ中国特有の白茶、黄茶と黒茶の輸出の促進にも重要な意義を持ちます。
これまで六大分類というのは中国のお茶だけのローカルな分類、という扱いをされてきました。
しかし、白茶や烏龍茶の生産が各国に広がるなど、茶葉の生産はグローバル化しています。
六大分類もまたこれを契機にグローバル化したと言えるので、今後は六大分類をきちんと学ぶことがお茶の基礎を学ぶことに繋がっていくことでしょう。