普洱茶は、長期熟成などを前提とするため原材料の生葉に求められる資質が緑茶とは異なります。
プーアル茶を作るのに適した生葉の成熟度について述べている文章がありましたので、ご紹介します。
我が国では、緑茶の考え方が、茶業界全体の認識に長期にわたり影響を与えていて、生葉の等級は成熟度の度合いによって価格が決まり、これが業界の事実上の基準となっていて、各企業もこの基準をみな使用しています。十数年あまり、普洱茶の古樹や山頭茶が出現し、勃興してきたことにより、これらの品質基準と価値がようやく少し捨て去ることが出来るようになってきました。これは一種の良い方向への修正が始まったきっかけで、極めて大きな時代の進歩性があると言わざるを得ません。
異なる生葉の等級、成熟度では、それぞれの内含物質には差異があり、最終的なお茶にした際の味わいにも差が生まれます。大ざっぱに言えば、柔らかさの度合いが高い茶葉はカテキン、茶ポリフェノール、アミノ酸などの含有量が比較的多く、糖分の含有量は少なく、製茶をした際には気韻が良く、茶水が繊細で滑らかであり、柔らかさの度合いが低い茶葉はカテキン、茶ポリフェノール、アミノ酸などの含有量が相対的に低く、糖分の含有量が多くて、口当たりは甘く、茶湯の質感には厚みがあります。これをただ比較して言うと、原料が成熟しすぎればしすぎるほど、その内質はより弱くなります。中程度のランクの成熟度が適切な茶葉は、内含物質が最も豊富で、製品茶の味わいはバランスがとれていて、滋味が濃く強さもあり、茶湯に厚みがあって、芳香物質、内含浸出物などが最も良いのです。中程度のランクで、成熟度の適切な生葉こそが寝かせれば寝かせるほど良くなる高品質なプーアル茶を作るのに最適なのです。
お茶の愛好家の皆さんに特にお伝えしたいのは、あまりにも若すぎる生葉で製造したプーアル茶は、味が淡くて茶湯も薄く、プーアル茶の後の陳化に大変不利なので、市場にある芽だけを用いて作ったプーアル茶には収蔵する価値は無く、寝かせれば寝かせるほど淡くなり、新しいうちに飲んだ方が良いのです。芽で作ったプーアル茶で、古樹茶を称するものは、いずyれもお茶の愛好家を欺くもので、古樹茶は芽だけを摘んで製造することはあり得ません。さらに、古樹の一芽二葉で製造したと称するものも、非常におかしな話で、古樹茶葉茶摘みが難しく、各地の農民の間ではこのような茶摘みをする習慣はなく、古樹茶は成長したときの長さや成熟度は多くは不均一なので、一芽二葉を基準として茶摘みをすることは不可能です。台地茶であれば、一芽二葉の基準で茶摘みをすることは容易に実現できます。古樹茶で一芽二葉に厳格に従って茶摘みをするというのは、素人が言っているだけのことで、やたらと無駄にしていることになります。
プーアル茶の製造に適した生葉の等級は、大ざっぱに言えば3種類あり、1つは中壮成熟ランクで、私たちが言うところの成熟度が適切なもの。2つ目に、相対的に成熟した粗老葉(対挟葉など。私たちはこれを多くは老帕卡と呼びます)。黒くて条索は太く、葉質は厚くて、枯れて黄ばんではいません。三つ目は、黄片(つまり朴片)で、色は枯れて黄色くなり、葉っぱは開いていて、葉質は薄いです。
1.成熟度が適切なものは、最も優れたプーアル茶の原料で、あまりに柔らかすぎるものは味が淡く、茶湯も薄くて、内質に乏しく、長く保存するには向きません。老葉になりすぎるものも硬葉の味が出て木質化しており、気韻荷掛、味わう価値はありません。雲南古樹茶は、根が深く、葉が茂っており、柔らかさが持続する程度が高いので、一芽三葉が開ききったものから一芽四、五葉の開きかけまで、適切な柔らかさが持続します。成熟度が適切で、柔らかすぎず、そして老葉過ぎないのをどのように判定するかは、上で述べた”生葉の品質評価”を参考にしてください。総じて言えば、細い芽があり、色沢は鮮緑で枯れて黄色くなっておらず、葉質が柔らかくて硬くなっておらず、茎は柔らかく木質化していないものです。
2.成熟粗老葉(対開葉老帕卡など)は、相対的に少し老葉化した成熟葉で、一定の柔らかさを有し、製品を作るのに適したもので、老葉は保存が利きますが、相対的に味わいには気韻に欠ける傾向があります。長く保存した後は煮出して淹れると、香りも味わいも厚みがあって良いです。
3.黄片(または朴片といいます)は、ナツメの香りを呈し、その内質には欠け、老葉の風味があり、味はやや渋く、味わい的には低くて、気韻もないのですが、製品にすることは出来ます。長く保存したものは煮出して飲むと香りがあって甘いのですが、茶湯はやや薄く、味わって飲む価値はあまりありません。ほんの少しだけ飲むのが良いでしょう。
お茶の等級は基本的に、茶葉の小ささ(芽のみ、芽と一枚の葉っぱなど)で決定されます。
緑茶などはそれが品質にストレートに反映されますが、烏龍茶やプーアル茶などでは、発酵や熟成など別の要素が絡んでくるので、必ずしも等級の高いものが美味しいわけではありません。
一般の人は誤解してしまいがちですが、茶葉の等級というものは、味とはあまり関係が無いということを押さえておく必要があると思います。
一時期流行った宮廷プーアル茶などは、まさにその典型だと思います。