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お茶の4つの味とその要因となる物質

お茶の味を形作っている成分について、分かりやすく解説している記事がありましたので、紹介します。

 

フレッシュで柔らかい緑茶は何故美味しいのでしょうか?紅茶は何故あのように甘く味わい深いのでしょうか?実際のところ、茶の味は様々な味の調和が取れた複合体なのです。

茶の味を呈する物質は主に茶ポリフェノール及びその酸化物(テアフラビン、テアルビジン等)、アミノ酸、カフェイン、可溶性の糖類、有機酸、水溶性タンパク質および芳香油などの物質です。それぞれの茶類で、このような物質の種類、含有量および比率が違ったり、変わったりするので、茶湯の滋味には大きな影響があるのです。

 1.茶湯の”渋”味

カテキン類、特にエステル型カテキン、およびフラボノイドなどのポリフェノール化合物。

渋みは茶湯の中で最も主体となる風味で、お茶を飲む人はよく”苦くも渋くもなければ茶ではない”といいます。
人々が茶湯の滋味を評価する際によく言う、”濃””醇””強””和”とは、主に渋みの強さとタイプを指すものです。

茶湯の中の渋みは、主にポリフェノール類の物質の中にあるカテキン類によって引き起こされると考えられており、特にエステル型カテキンです。
その組み合わせと濃度は、渋みの主体となるだけでなく、茶湯の濃淡、茶葉の品質の優劣を決めるものでもあります。

茶湯をちょっと口に入れたときに引き起こされる渋みは、主にエステル型カテキンと口の中の粘膜のタンパク質が反応して形成される不透水物質により、収斂を引き起こします。
このほか、茶ポリフェノールの含有量が高い茶湯の茶の味は濃く、茶ポリフェノールの含有量が低すぎたり、茶ポリフェノールの酸化が過度なものは茶の味が淡くなります。

渋みと苦みは本質的に違うものですが、茶湯の中では苦みと渋みは緊密な関係があります。
茶を飲むとき、私たちはこれを明確に区分することが難しく、これらの感覚を混同してしまいがちです。この2種類の感覚を厳格に区別しようとするならば、訓練が必要です。

 2.茶湯の”苦”味

カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、エステル型カテキン、アントシアニン、茶サポニンなど。

カフェインは茶湯の苦みを呈する主要な物質で、熱によって容易に揮発するので、このために茶葉を何煎も淹れていると、その含有量は明確に下がるという傾向があります。

茶湯の中には、カフェインと大量のカテキン類物質が水素結合した複合体を形成し、この複合物が単一で存在している苦みと渋みを軽減し、茶の味をまろやかにします。

乾燥した茶葉にポリフェノール類とカフェインの二大物質の含有量が極めて多いときは、茶湯は苦みと渋みが無くなりますが、その反面、茶湯はコクとうまみと収斂味があって、これは良質な茶葉であるサインです。

茶湯の中のアントシアニンは苦みの原因成分で、150mlの茶湯に15mgのアントシアニンがあると、明確な苦みがあります。夏茶は強烈な光の照射を受けるので、アントシアニンの含有量が高く、これが夏茶の多くが苦くて渋い原因の一つです。

茶サポニンは、老葉の方が柔らかい芽葉より多いので、老葉で作った茶葉には、強い青みと戻りの味に苦みを呈することが多いのです。

 

3.茶湯の中の”うま”味

アミノ酸類、たとえばテアニン、グルタミン酸など。

茶ポリフェノールが酸化した結果の生成物であるテアフラビン、テアルビジンとカフェインが結合して生成された複合物。

アミノ酸は茶葉のうまみを構成する主要な物質です。茶葉の中のアミノ酸の種類は豊富で、それぞれのアミノ酸が呈する性質はそれぞれ異なります。
茶葉のアミノ酸総量の50%を占めるのはテアニンで、これは特にうまみが高く、茶の苦渋みを軽減し、甘みを強めます。
柔らかい茶にはアミノ酸の含有量が高く、ゆえに味わいにうまみのある、春茶、名優茶、高山茶のアミノ酸含有量は高く、味わいは清らかでうまみがあり、爽やかです。
夏茶、老葉のお茶はアミノ酸含有量が低く、ゆえにうまみは落ちます。

アミノ酸と茶ポリフェノールが、茶の”鮮爽”味を一緒に形成します。そのため、酚氨比(茶ポリフェノールとアミノ酸の比率)は茶の品質を評価する際によく用いられる重要な指標になっており、茶ポリフェノールの含有量が一定だとすれば、酚氨比が低ければ低いほど、茶葉の品質は良くなるということです。

緑茶を製造するための原料にはアミノ酸の含有量が高く、茶ポリフェノールの含有量は適度に低いことが要求されるので、つまり酚氨比は小さくなり、一般には10を超えないものとされ、これにより茶の滋味は鮮爽で醇和となります。
紅茶の原料は茶ポリフェノールが高いことが要求され、酚氨比はより大きくなり、一般には8以上で、これにより茶の滋味は濃く強くなります。

このほか、カフェイン自体にはうまみはありませんが、カフェインは茶湯の中で茶ポリフェノール酸化物であるテアフラビン、テアルビジンなどと結合し、その複合物には鮮爽味を有するので、これが紅茶に特有の鮮爽醇濃の滋味を作り出す主な原因です。

 

 4.茶湯の中の”甜”味

可溶性糖、たとえば麦芽糖、果糖など。

甘みを帯びたアミノ酸、たとえばテアニン、グリシンなど。

甜味は人類が本能的に好む味で、これらは私たちに喜びをもたらしてくれるので、そのために私たちは茶の中の”甘甜”に好感を持ちます。
”甘醇””甘””回甘”という用語は全て高級な茶葉の品質を表現するときに用いられます。

茶湯の中に表現される甘みの糖類は、主に茶葉の中に含まれる単糖類や二糖類などの可溶性の糖類で、これらは茶の苦み、渋みを隠し、調整する作用があり、これらの含有量が多いと、茶の味わいはより甘くて厚みがあり、苦みや渋みが少なくなります。

一部のアミノ酸、カテキン、テアルビジンもまた茶湯の甘みに貢献します。
茶の中にある一部のアミノ酸類はうまみとして表れるほかに、甘みとしても表れます。テアニン、グルタミン酸、アスパラギン酸などで、D-フェニルアラニンも強い甘みを呈します。

紅茶やプーアル茶に含まれるテアルビジンも甘みを有することは、注目に値します。
茶の味を構成する成分には、さらにビタミンCと無機塩などの物質が有、これらは茶湯の中で酸味、塩味などとして表れます。

 

渋み、苦み、うまみ、甘みは茶湯の滋味の4つの主要なパターンです。
手にしたそれぞれのお茶には、どれもこの4種類の味が含まれています。
この4種類の味わいが異なる強さで組み合わせられることで、様々な変化やそれぞれが持つ独特な風味になるのです。
異なる味わいの背後には、製茶師たちが茶葉を製造する際に有する独自の芸術的なスキルがあります。

お茶を飲むときに必ずしもこれらの物質について理解する必要はありません。ただ、その味を味わって、自分の好きな味を見つけることで良いのです。そして、茶湯の豊かな味わいがもたらす素晴らしさに思いを馳せてください。

 

かなり分かりやすく、網羅的にまとめられている記事だと思います。
味から成分を切り分け、その成分がどのようにして発生するかを考えるのが、官能審査の基本的な流れとなります。
まずは苦みと渋みの区別をしてみるところから始めてみると良いかもしれません。

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