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雲南白茶の特徴とメリット。福建白茶と比較すると・・・

白茶ブームの中で、存在感を高めているのが雲南省産の白茶です。
福建省産の白茶と比較すると明らかな味の違いがあるのですが、その差について、比較した記事がありましたので、ご紹介します。

 

清々しい秋、白茶はより香ります

口当たりがとても良いことから、白茶の人気は上昇の一途を辿っています。福建のものでも雲南のものでも、どちらも清らかで甘く、潤いのある味わいが特徴で、冷茶でもお湯で淹れても、あるいは花や果物を添えても十分に美味しくなるので、どのようにしてお茶を飲んだらよいか分からないという人にとっては、白茶から茶に触れ始めると、とても楽しい体験になることでしょう。

ここ数年、消費者の方も雲南白茶に対する知識がどんどん深まってきていて、歴史の長い景谷秧塔大白茶あるいは古樹原料を使って製造された白茶が、多くのお茶の愛好家の好評を博しています。それでは、雲南白茶にはどのようなメリットと特徴があるのでしょうか?ずっと白茶の愛好家の関心を集めてきたことですが、今回は茶の品種、内容物質と後期の転化(訳注:いわゆる熟成)の3つの面から見ていきたいと思います。

 

”白龍須貢”の品種特性から来るメリット

長い歴史を持つ地方品種なので、秧塔という名前を出せば、業界関係者やお茶に詳しい人であれば、条件反射的に秧塔大白茶のことを思い浮かべるでしょう。大白茶はどのように植えられたのでしょうか?史料によれば、秧塔大白茶の栽培の歴史は160年あまりで、清の道光20年(1840年)、陳家が勐庫茶山で数十粒の種を拾い、それを竹筒に入れて持ち帰って植えたところ、その中に一株の黄色い芽葉の茶苗があり、これを家の近くに植えたとのことです。この奇妙な茶苗こそが、現在の秧塔大白茶です。よって、大白茶というのは、民間による育種の成果であると言えるかもしれません。

景谷大白茶と雲南のその他の茶葉には明らかな差があります。芽葉は産毛に覆われていて、お茶にすると厚みがあってしっかりしていて、白毫が目立ち、条索は銀白色で、オリーブのような清らかな香りがあります。景谷大白茶は県内でも稀有な名茶で、1981年の雲南省の名茶鑑定会では雲南八大名茶の一つに選ばれました。1989年版の『中国農業百科全書』では、地方名茶良種に選ばれ、今までに180年あまりの栽培の歴史があります。

現在、多くの景谷の茶業者たちは長らく景谷大白茶の製品を作っていますが、それによると、景谷大白茶の原料の芽葉は産毛に覆われていて、お茶にすると厚みがあってしっかりしていて、白毫が目立ち、条索は銀白色で明るく、香りは清らかで、茶湯は透き通っていて明るく、味は厚みがあります。

 

 内質の特色が風味の特色を形作る

雲南農業大学の研究チームがかつて福鼎白茶と景谷大白茶の成分の含有量の比較を行ったことがあります(下図参照)。

これを見ると明らかなように景谷大白茶は多くの項目で、内含物質が福鼎白茶に勝っていますが、アミノ酸だけはかなり低くて、これが雲南茶のうまみが中小葉種茶には敵わない内在的な原因なのです。内質が豊富であるというメリットから、雲南の大葉種白茶の滋味は濃く、煎が効き、長期保存をする上では多くの陳化の余地が生まれます。

雲南の月光白と福建の白毫銀針における香気の組成はある程度の相似性があり、いずれも56種の香気成分があり、清香あるいは嫰香が主で、滋味は鮮醇あるいは濃醇と表現されます。さらに嫰度(訳注:芽の柔らかさ)が高ければ高いほど、湯色は浅くなり、滋味の濃度も低くなります。しかし、また違いもハッキリ出ていて、月光白茶には炭化水素の含有量が比較的高いのに対し、白毫銀針ではアルコール類化合物の量が多くなります。また月光白茶にはリナロールの含有量が高いのに対し、白毫銀針にはゲラニオールの含有量がより高くなります。

 

白茶の時間の秘密とは?

白茶は微発酵の茶類に属し、茶葉の生葉は摘み取られてから、炒めず揉まず、ただ日に晒す、陰干しする、あるいはとろ火で乾燥するのみで、茶葉の中の天然の要素を最も良く留めることができます。茶湯は口当たりの良さを感じますが、これは一般には多糖類の物質によるもので、その生長環境、日照、温度などと大きな関係があります。

年月を経た白茶は時間の美しさが蓄積しますが、原産地のものであることは、その一杯の茶の中に同様に失われるものではありません。保存をすることで、より生活を楽しくさせてくれることでしょう。技法上、白茶はまさに炒めず揉まずと言うことから、それぞれの葉の中にさまざまな酵素の活性が最大限に保たれており、内容物質もより豊富になり、後期の転化の余地が残るのです。

白茶の貯蔵期間が延びるに従って、茶ポリフェノール類は酸化し、渋みと収斂性を有したエステル型カテキンの含有量が大幅に低下するので、苦みや渋みは陳化するほどに少なくなり、その他の物質、たとえば多糖類のような物質が突出してきます。茶ポリフェノールが”消散”するにしたがって、テアフラビンが生成され始めます。テアフラビンは茶葉の中の色沢は橙紅色で、収斂性を有した一種の色素で、新茶の時の淡い黄色の茶湯はこの発生によって変化し、茶湯は深い黄色から橙紅色になります。この時、老白茶の味の厚み感も出て来ます。陳年白茶の貯蔵科亭では、ポリフェノール物質の構造に転化が生じ、フラボノイドの含有量が全体的に高くなり、新茶の白茶の約2.5倍になります。

 

 

化学的な成分にも言及し、陳年白茶のメカニズムについても分かる良記事だと思います。
雲南白茶と福建白茶を混同して紹介する向きもあるのですが、品種の違いから明確な違いがあることは、この記事でも明らかだと思います。

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