多くのお茶で生産量減少などを引き起こすチャノミドリヒメヨコバイ。
通称、ウンカと呼ばれるこの昆虫のゲノム研究が行われており、薬剤耐性のメカニズムなどが明らかになったそうです。
チャノミドリヒメヨコバイはウンカとも呼ばれ、茶樹がその害をひどく受けると茶芽が枯死して脱落し、茶樹の冠頂部がやけどしたような状態になります。ウンカは異なる気候や環境条件に迅速に適応し、個体数を急速に拡大し、かつ強い抗薬剤耐性を持つので、このために茶園でもっとも防除がしにくく、もっとも主要な害虫の一つになっています。しかし今、この害虫の緑色防除に向けて新しい道筋が見つかるかもしれません。
7月25日福建農林大学への取材によると、同大学の憂民生教授の研究チームが完成させたウンカの最初の染色体レベルの参照ゲノムを、アメリカの国立生物情報センターと中国の国立ゲノム科学データセンターに最近、同時に掲載したとのことです。研究チームは、 このゲノムをもとに、ウンカの異なる茶樹品種や生息環境への適応メカニズムや、体内での薬剤耐性のメカニズムを明らかにしました。
茶樹は、中国の重要な経済作物です。 統計によると、中国の長江中下流域の茶産地では、毎年、茶産量に15~50%程度の損失を与えていて、重篤な年には茶葉の収穫が途絶えることもあるそうです。現在、この虫への防除手段は、依然として化学的な大量の殺虫剤に依存している状況です。これは茶葉の品質を低下させるだけで無く、人類の健康にも脅威をもたらし、かつウンカに強い抗薬剤耐性を与えることになり、多くの茶産地で農薬の使用量が増加し、虫害がどんどん深刻になるという悪循環に陥っています。
研究者によると、今回公開されたウンカのゲノムは、現在、半翅目の昆虫のゲノム構造の中で、連続性と完全性の点でもっとも良いゲノムだそうです。研究者らは、ウンカの体内の嗅覚受容体であるCSP遺伝子群が明らかに増殖し、さらに染色体上で優位に増幅され、クラスター上に配置されていることを発見しました。これとウンカの識別、茶樹の位置特定には密接な関係があります。このほか、ウンカ体内のP450遺伝子群の中のCYP3とCYP4群が県長に増幅されており、これらの2つの群は昆虫の体内で重要な解毒ゲノム群であり、ウンカの抗薬剤耐性の発現と関連していることが分かりました。
専門家は、今回のゲノムの解読は、害虫の地理的起源、進化の歴史と異変のメカニズムに関しての理論的な根拠となり、害虫の緑色防除、農薬使用量の減少と茶葉の安全な生産において、重要な意義があると考えています。
中国では化学農薬を使わない、緑色防除への取り組みを行っているのですが、その対策にこの研究成果は役立つようです。