さまざまな品種の育成を行っている、福建省福安市社口鎮にある茶葉研究所が一般向けに開放されたそうです。
福安市社口鎮、この96㎢ほどの小さな街は、全国でももっとも初期の”茶樹品種王国”として、福雲6号、金観音、金牡丹、瑞香などの21の茶樹品種をここから全国に向けて育て、送り出しました。現在、国内で栽培面積が最大の、交雑によって育成された緑茶と烏龍茶の品種がここで誕生したのです。
第5回の”全国科学技術者デー”として、4月23日、福建省農業科学院が主催する”多彩な福建茶、茶樹品種王国に”科学技術開放デーのイベントが福安市社口鎮で開催されました。北京、寧夏、陝西、河南、海南、貴州など15の省からやって来たお茶の愛好家がやって来て、品種を鑑賞したり、生産の様子を見たり、お茶を味わったり、質問をしたりして茶葉の品質の世界の”新しく、優れ、特色のあるもの”に感銘を受けていました。イベントは、全国のネットユーザーに”クラウド参観”もできるようになっていて、何千キロも離れていたとしても、画面を通じて茶葉の専門家と交流ができ、”茶樹品種王国”を訪ねることができて、多くのネットユーザーも収穫が多かったと顔をほころばせます。会場では、あるお茶の愛好家が”ああ、幸せ!”と叫んでいました。
爽やかな福建、多彩な福建茶。「福建の茶業には多彩な品種、多彩な製法、多彩な製品、多彩な文化があります」と中国農業科学院茶葉研究所の元副所長で、首席科学家であり、国家茶産業科学技術イノベーション戦略連盟理事長で、二級研究員の魯成銀さんは言います。
福建省は名実ともにお茶の強国であり、烏龍茶(青茶)、緑茶、紅茶、白茶の四大茶類と再加工茶の花茶を製造しており、緑茶を除けば、いずれも福建省が初めて作ったものです。茶業は農民の収入を増やし、農業の効益を高める新しい注目点となっていて、一次二次三次産業を融合させ、農村の振興に有効な手立てとなっていて、さらに”緑水青山は金山銀山”という福建省の回答になっています。品種を育て、より良くして広めるということは、茶産業の発展過程において、見過ごすことはできない作用をもたらしています。
今回の科学技術普及イベントは、みなさんを福建省最大の”茶樹品種資源園”に連れていきました。38畝の茶園は色彩が様々で、大小と形がそれぞれ異なっていて、柔らかい黄色、青々とした緑、深い紫色があったり、指先のように小さかったり、手のひらのように大きかったりします。話によると、福建省茶樹品種資源園は1957年に建設され、これは全国でもっとも古いものだそうです。2500あまりの国内外の茶樹品種資源がここで保存されていて、そのうち烏龍茶の品種は1000あまりで、我が国で烏龍茶の種類がもっとも多く、もっとも幅広い品種を収集した品種資源園で、”中国烏龍茶品種資源の保存センター”と呼ばれています。
茶樹は多年生の木本植物の一種であり、主に資源園と原生環境の保護の2種類の方法によって茶樹の品種の保存を行っています。資源園は完璧な活体での保存ができ、鑑定評価にも便利で、滑周遊的に管理することができるので、比較に便利です。福建省農業科学院茶葉研究所は福安に実験施設、資源園、導入園、交雑園、品種選定園、鑑定園、繁殖母樹園と試験区などを一体とした国家茶樹改良センター福建サブセンターを建設しており、3000あまりの品種を蓄える容量があり、年間に2億株の茶苗を提供することができます。
品種は製品のイノベーションの源です。今回の科学技術普及イベントでは、高香型、黄化、紫化の新品種と製造の新技術によって生産された緑茶、白茶、黄茶、烏龍茶、紅茶のサンプルによる品評会が開催され、会場に来たお茶の愛好家に格別の体験をしてもらいました。
「緑茶のお茶の水色がこんなにも紫に色になるなんて思いませんでした!」と河南省から来たお茶の愛好家は今回のイベントに参加した後に言いました。これによって茶葉の認識がひっくり返るぐらい変わったとのことです。
福建省農業科学院副院長で、省の茶産業技術イノベーション連盟理事長の余文権さんは「我々は様々なスタイルの科学技術普及イベントを通じて、社会のさまざまな人々に優良品種と技術を紹介することで、現代の農業生産の中で幅広い応用をしてもらうことができます」と述べています。
現在、福建省農業科学院茶葉研究所は、既に福雲6号、福雲7号、福雲10号、黄観音、茗科1号(金観音)、黄奇、丹桂、春蘭、黄玫瑰、金牡丹、瑞香などの13の国家級品種と福雲595、朝陽、九龍袍、早春毫、福雲20号、紫玫瑰、春閨などの8つの省級品種を送り出しており、福建省の無性系茶樹品種の栽培比率では95%を超える貢献を行っています。同時に、その恩恵は華南、江南、西南茶区にまで及んでいて、茶葉の品質向上、増産、効益の増加と茶農家、茶葉会社の増収に対する科学技術のサポートを提供しています。
茶樹品種は茶葉製品の供給における戦略的な資源で、今後は福建省農業科学院茶葉研究所は、習近平総書記の指示を誠実に実践し、農業供給側の構造改革、優良な品種の普及、品質向上、ブランドの確立と標準化生産を進めて行きます。また茶文化、茶産業、茶の科学技術をまとめて、茶葉の品質交易と競争力を高め、さらに農村を振興する支柱となる産業となれるよう、茶産業の転換を進めて行きます。
新しい茶樹品種が生まれると、それは魅力的な商品開発に繋がります。
安吉白茶や最近流行の黄金茶と呼ばれる黄化品種などはまさにその典型で、品種開発を国家が後押ししていることの意味はそこにあります。
それにしても、参加できた方が実にうらやましくなるイベントです。