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雲南大葉種の特徴をみる

雲南省の茶葉品種である雲南大葉種についてまとめている記事がありましたので、ご紹介します。

 

雲南大葉種茶

中国の著名な優良茶樹品種で、雲南省の大葉類茶樹品種の総称。主に勐庫大葉種(別名、大黒茶)、鳳慶大葉種と勐海大葉種などを含みます。原産地は雲南省南西部と南部瀾滄江流域で、主に雲南省の双江、瀾滄、勐海、鳳慶、昌寧、雲県、保山、元江などの県(市)に分布しています。

普洱茶

成長すると喬木型になり、樹冠は高くて大きく、自然に生長した樹高は5~6m、最高では20m以上に達します。樹の姿は半分開いているか、一部開いているか、やや直立で、分枝する部位は高く、分枝はややまばらです。葉片は特大葉類に属し、葉の長さは平均13cm、葉の広さは5cmで、最大葉面は26.0×10.5㎠にもなります。葉の形は長楕円形、楕円あるいは倒披針形に近くなります。葉片の多くは水平状に付き、葉の先端は徐々に尖っていき、葉の色は濃緑あるいは黄緑で、光沢性があり、葉面は隆起あるいは顕著な隆起で、葉肉は厚いものの柔らかさがあり、側脈がハッキリしています。多くは10対以上で、葉の縁は巻いていて、鋸歯はやや深くてあまり整っておらず、芽葉は太くしっかりとしています。産毛も特に多いです。葉片の柵状組織は1層で、柵状組織と海綿組織の比率は約1:3です。発芽期は早く、成長期は長く、育芽力は強くて、1年に5~6回萌芽し、新梢の持嫰性は強いです。花の多くは単生で、一部は叢生や偽総状花序を呈します。花冠の短い径は25mm、長い径は45mm、花弁は6~7片で、花萼は5つあります。抗寒性は弱く、-5℃以下になると深刻な凍害に遭います。紅茶の製造に適しています。生葉中の茶ポリフェノールとカテキンの含有量が豊富です。

有性繁殖系品種

勐庫大葉種:別名を双江勐庫種といい、有性繁殖系の品種です。喬木型で、樹の姿は開いており、樹勢が強く、分枝する部位は高いです。葉は長楕円形で、葉の先端はやや長くて鈍角で、葉基は卵円形で、葉の色は濃い緑。葉肉は厚くて柔らかく、葉面は顕著に隆起しており、葉縁は微かに巻いており、鋸葉は大きいが浅く、主脈はハッキリとしていて、芽は大降りで太く、芽は黄緑色で、産毛に覆われていて、萌芽力は強いです。新梢は1年に5回萌芽し、1年で28回茶摘みが出来ます。一芽二葉の平均の重さは0.62gで、産量は地元の品種よりも37~65%高く、六年目の茶樹の畝あたりの生葉産量は330kgです。色沢は烏黒褐潤で、味は強烈で、水色は濃艶、香気は高鋭で、製品茶の条索は太く、白毫がハッキリしています。一芽二葉の蒸青サンプルには茶ポリフェノールが33.76%、カフェイン4.06%、アミノ酸1.66%、カテキン総量は182.16mg/gで、水浸出物は48%です。原産地は双江県勐庫区冰島郷で、主に双江、臨滄、鎮康、永徳などの県に分布しています。1984年に国家級良種に認定されました。

なぜ普洱茶を作るのに雲南大葉種を用いなければならないか

雲南大葉種は現在、主に以下のいくつかのものを含みます。勐庫大葉種、鳳慶大葉種、勐海大葉種、景東大葉茶、景谷大白茶などで、これらはいずれも普洱茶を作るのに適した原料です。大葉種と小葉種には非常に大きな違いがあり、これが普洱茶の品質をある程度決定づけます。
まず、煎の効きやすさという点から話すと、大葉種の海綿組織の細胞は比較的小さくて、大葉種は小葉種茶に比べて煎が効きます。どうして普洱茶が十数煎も効くのかというと、製法を除いて元も重要なのはその原料で、雲南大葉種を採用していることです。他の小葉種で作った緑茶などと比較すると、明らかなメリットがあります。

次に、化学成分が違います。大葉種に含まれる茶ポリフェノール、カフェインなどの有効物質は比較的多く、製造したお茶の味わいは濃烈になります。小葉種は比較するとやや少なくて、味わいはもっと淡く薄くなります。しかし小葉種にもメリットはあって、その香りはより高くなります。このように成分の違いがあるので、どのような製法で加工するかにもよりますが、私たちは雲南大葉種茶が製造に最も適しているのは普洱茶と紅茶であると言わざるを得ないでしょう。

最後に特殊な地理環境が雲南大葉種茶、そして普洱茶を形作っています。普洱茶には渥堆という特殊な工程があります。大きな葉っぱの中にある豊富な滋味と香気は、普洱茶の後発酵の工程における香気転化の基礎となり、とりわけ口当たりの点で言えば、大葉種は小葉種茶から作られたお茶よりも味わいが濃烈で、味わいの層が多く、煎も効き、小葉種茶に比べると香りも長く続き、抗酸化作用も中小葉種よりも強いのです。これが普洱茶のメリットの一つです。

 

いささか専門的な記述も多いので、記事を簡単にまとめると、

・雲南大葉種というのは1つの品種では無く、雲南省にある大葉種の総称であるということ。
・それらの大葉種の多くは有性繁殖系品種(地方ごとの在来種)であり、地域によって植わっている品種が違うこと(そのため、産地によって味が違う)。
・大葉種茶は、小葉種茶と葉の構造(柵状組織、海綿組織など)が違い、茶ポリフェノールやカフェインの含有量も多いこと。
・普洱茶は、こうした大葉種の特性が必要不可欠であるため、雲南大葉種の使用を義務づけていること。

ということになります。
日本でも「国産プーアル茶」と称するお茶が出回っていますが、それらが本場の味と同様にならないのは製法ももちろんですが、品種の違いが非常に大きいですね。

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