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お茶市場に現れた変化

中国のお茶業界は、いまだ発展の途上にあります。
それだけに、毎年様々な変化が起こるわけですが、福州のとある茶葉市場では、茶商の経営スタイルに大きな動きが見られているそうです。

 

福州五里亭市场今年茶商经营出现新变化

随着气温的逐渐回升,福州五里亭茶叶批发市场的茶商们又准备开始早春茶的收购了。但是与往年不同,今年茶商们在经营上出现了一些新变化。

本篇文章来源于第一茶叶网 原文链接:http://news.t0001.com/2013/0306/article_158289.html
記事で採り上げられているのは、福州市の五里亭市場。
ここの茶商たちの経営スタイルが、今年は変わってきているというものです。
その違いというのは、以下の3点。

 

<消費者を卸売りの対象として捉え、目標とする店が増えている>

直近の消費構造を見ると、多くの消費者が既に茶葉を見分ける力を有しています。
そのため、店舗側が価格に含めている教育コストやサービスのコストは、彼らにとっては不要なものだと考えているようで、より低価格でより良い茶葉を買い求めることを希望しており、卸売市場に消費の視線を移しているようです。

あるお茶屋の責任者は、卸売市場はもはや単純に業者対業者の取引の場ではなくなっており、対象は販売店と消費者になっている、と言います。
直接対面して卸売りを行うことは、消費者がお茶を買うコストを下げるためです。
そしてこれは、おそらく消費者にとっての新しい選択肢となる可能性があって、茶商たちの次の競争の場になると思われます。

 

<販売方式の変更。ネット販売の増加>

店舗の家賃や水道・電気代などの店舗コストがずっと上がっている中で、より多くの茶商たちがネット販売に取り組む緊迫性を感じています。
「大きなお茶会社のネット販売業績がさほど良いものではないとしても、時間節約のためネットへの移行は必要に迫られており、これに出遅れてしまうとネット市場の旨みを得ることができなくなってしまう」
安渓からやってきた茶商は、昨年比較的良い業績を収めていましたが、店舗コストの絶え間ない上昇は、あまり詳しくないながらも、ネット販売の必要性と販売方式の変更を意識させています。

 

<売れ行きの重点は、紅茶から烏龍茶へ>

紅茶は短期間のうちに素早く市場が立ち上がり、少なくない企業に恩恵を与えました。
ある茶商は数年間、苦心して紅茶を扱って経営をしてきましたが、手放すことを決めたそうです。

彼によると、昨年には紅茶の販売は既に衰勢が現れており、紅茶価格の混乱と次々に登場する「新製品」は、既に一部の消費者を飽きさせました。そこで、現在は烏龍茶に目を向け始めています。
烏龍茶の市場はより大きく、かつ多くの人々が烏龍茶を選ぶと考えています。

なぜなら、福建省北部の武夷岩茶、建瓯水仙、あるいは福建省南部の鉄観音は、いずれも明確に原産地の特色を備えており、この特色は他の地方では真似がしづらいものです。
市場の受け入れ余地は高く、かつ市場の競争力もあると考えています。

 

 

卸売市場に消費者が現れ、それに茶商が積極的に合わせて行こうとしている、というのは、なかなかダイナミックな、マーケット志向の考え方ではないかと思います。

お茶というのは、非常に奥の深い商品であるため、伝統的な茶商の中には「消費者は余計なことを勉強しなくて良いから、我々プロが選んだ品物を黙って買えば良いのだ」という主張をする方もいます。

この主張に従えば、茶についての知識を有していない消費者にとっては、確かに商品選択に迷うことが少なくなり、茶商側の生産コストも最小化できるので、安価な商品を供給できるという利点があります。
規格商品の大量生産・大量消費の時代には、理に適った方式であったことでしょう。

が、画一化・ブラックボックス化された商品は、嗜好品としての魅力は当然薄れてきます。
あまりに日常化してしまったお茶は、既に嗜好品ではなく、コモディティ商品であり、そうなると行き着く先は、品質よりも価格競争に終始することになります。
そうなれば、嗜好品を求める方には魅力的に映らず、価格も下落続きで生産者の意欲も減退。
さらに品質が低下して・・・という負のスパイラルに陥りかねません。

中国の茶業界が、どの方向へ進むのか。注意深く見守っていきたいところです。

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