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武夷岩茶の7割は水仙か肉桂

日本では詩的な文脈で語られることの多い武夷岩茶。
イメージ先行で実際のところはどうなの?という疑問を持つ方も多いと思います。
これについて、地元の生産家の方をゲストに招いて、武夷岩茶の本当のところを聞いた対談記事がありましたので、少し長いですが、ご紹介します。

武夷岩茶的水仙、肉桂 年总产量占比达七成

说起武夷山的名茶,很多人首先想到的就是大红袍。没错,大红袍的确为乌龙系列武夷岩茶的代表。但去过武夷山旅游的人会发现,山坳里一丛丛的茶树大多立着“水仙”和“肉桂”的牌子。

本篇文章来源于第一茶叶网 原文链接:http://news.t0001.com/2014/0825/article_173271.html

武夷山の名茶について話をするとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは大紅袍でしょう。間違いなく、大紅袍は烏龍茶の種類である武夷岩茶の代表です。しかし、武夷山に旅行したことのある人の多くは、山に植えられているお茶の樹には”水仙”と”肉桂”のプレートが掛けられているものを多く見たと思います。

実際のところ、お茶の中でも”水仙”と”肉桂”は閩北烏龍である武夷岩茶の中の主要な2大品種で、年間の総生産量では武夷岩茶の70%前後を占めています。”三坑両澗”で栽培されている”水仙”と”肉桂”は正岩茶と呼ばれ、その量が少ないため価格が高く、品質の良いものになると1斤数万元にもなります。
この2種類のお茶にはどのような歴史のいわれがあり、味わいや製造工程にはどのような特徴があるのでしょうか?正岩茶とその他の岩茶にはどのような区別があるのでしょうか?
お二人の業界の専門家をお招きして、詳細を解説していただきたいと思います。

ゲスト:北岩茶業山東販売総責任者 呉春秀氏 ・ 御壺香茗茶有限公司総経理 陳培坤氏

<1.味わいで水仙に並ぶものなく、香りで肉桂に並ぶものなし>

記者:水仙と肉桂とは、どのようなお茶なのでしょうか?

呉春秀氏:この2種類のお茶は武夷岩茶の主力品種です。武夷岩茶は閩北烏龍茶に属し、もっとも重要視されるのは岩韻で、次に花香です。武夷山茶区では、人々が水仙と肉桂を並べて話すときによく使うのが、”味わいで水仙に並ぶものなく、香りで肉桂に並ぶものなし(醇不过水仙,香不过肉桂)”という言い方です。
水仙には1000年あまりの歴史があり、お茶の品種としては古い方で、喬木の枝葉は比較的大きく、武夷山の水仙茶を淹れると口当たりは滑らかで甘みがあり、優雅な香りが漂います。お茶の煎ごとに味わいは違います。牛欄坑の老叢水仙は、樹からの味がとても濃く、青苔の風味があります。
肉桂は清代に出てきた品種で、香りが濃厚で馥郁としていて、鋭さがあり、桂皮に似た香りがあります。味わいは厚みがあって芳醇で、甘さと爽やかさがあり、少し刺激性があって強い気があります。このため、”男人茶”とも言われます。このほか、肉桂は発酵の過程の中で、水蜜桃やクチナシの花などの香りを作ることもできます。水仙と肉桂のような武夷岩茶は一般的には7煎淹れられると言われますが、実際には十数煎も可能です。

陳培坤氏:現在、武夷山の市場での肉桂の製品茶には、濃香型と清香型の2種類があります。濃香型はいわゆる伝統型で、重発酵で強めに火が入っており、乾茶の外観の色合いはやや深く黒っぽくて、淹れた後の茶湯は赤みを帯びた金黄色で、カラメルの様な味があり、香りは深くて長く続きます。清香型は伝統技法を少し改良したもので、肉桂の香気が突出していて、淹れた後の茶湯の色は淡い黄色で、香りは純粋で、特に濃厚で鋭さがあります。

記者:武夷岩茶にはどのくらいの種類があるのでしょうか?水仙と肉桂の産量は多いのですか?

陳培坤氏:武夷岩茶には100種類以上の品種があります。半天妖、鉄羅漢、水金亀、金牡丹、不見天、酔貴妃などです。さらに数字でもって品種を表すものもありますが、これらの品種のうちの一部は既に消失しました。大紅袍、白鶏冠、鉄羅漢と水金亀は武夷四大名叢と呼ばれます。しかし、武夷岩茶の中でも、水仙と肉桂の産量が最も多く、武夷岩茶の総生産量の70%を占めています。このほかのマイナー品種はほんの数株ほどしかなくて、産地が識別できる様に1種類にまとめられます。

記者:これらの品種はどのように命名されるのでしょうか?

呉春秀氏:過去、お茶の命名には現在のような科学的なものはありませんでした。当時このお茶を淹れた先生のインスピレーションから来るもので、おそらくは口をついて出た言葉が、命名の由来になったのではないでしょうか。ここ数年に現れた一部の品種は数字を名前にしているものもあります。

 

<2.正岩水仙、肉桂は1斤5000元以上>

記者:武夷岩茶の産地はどこなのでしょうか?

陳培坤氏:武夷岩茶の産地について話すとき、常々提示される”三坑両澗”とは、慧苑坑、牛欄坑、倒水坑、流香澗、梧源澗を指します。これらの場所は武夷山風景区の中心部分にあり、また武夷岩茶の中心産地でもあります。かつて言われていた”正岩茶”はここで生産されたものを指し、その周りで作られている岩茶はかつて”半岩茶”と呼ばれました。
”三坑両澗”は岩の谷間にあり、植物に覆われていて、日差しを遮るなど条件も良く、谷底には湧き水が細い流れを作っています。夏の日照時間は短く、昼夜の気温差が大きいのです。冬の岩の谷間は冷たい風を遮り、気温の変化も小さくなります。岩の谷間を縫うようにある茶園の土壌はどこも風化した岩石によるもので、水はけが良く、微量元素を豊富に含み、土壌の酸性度も適当で、お茶の岩韻も明確になります。言い換えるならば、”三坑両澗”で作られたお茶こそが、武夷岩茶の中でも品質が最も高いお茶なのです。
正岩茶の主な産地は天心岩、馬頭岩、慧苑、竹窠、碧石、燕子窠、九龍窠、御茶園、玉花洞、水簾洞、佛国、桃花洞、桂林、三仰峰などで、現在の国家標準では統一して名岩茶産区と呼ばれています。

記者:水仙と肉桂の価格はどのくらいなのでしょうか?

呉春秀氏:牛欄坑と馬頭岩の肉桂がよく知られていますが、牛欄坑の地元の値段で、今年の肉桂の卸値は1斤7000元でした。60年以上の正岩老叢水仙もあり、1斤1万元、その他にあるのも1斤7,8千元、5,6千元といったところです。半岩の水仙は1斤2,3百元です。

陳培坤氏:正岩茶は1斤少なくとも5000元はします。産地の卸でも時には商品が無いときもあります。低級な水仙茶は、1斤数十元のものもあります。市場で大衆向けに販売されている水仙と肉桂はあまり高くありませんが、多くのものは半岩のものです。飲んだらお茶の品質の善し悪しは分かりますが、外観からは正岩か半岩かを見分けるのは難しいです。

記者:正岩茶はどうしてそんなに高いのでしょうか?

呉春秀氏:正岩茶は元々産量が非常に少なく、全て手摘みで1芽2葉を摘むので手間がかかります。1斤の生葉の購入価格は7,8百元で、5斤の生葉で1斤の荒茶ができます。三度の焙煎があり、40時間がかかります。お茶を精製すると(訳注:岩茶は焙煎の前に茎を取ることとその形状・深い焙煎を行う関係から崩れやすく、精製の際はその崩れ葉をふるい落とす)、わずか半斤ほどしか残らないので、10斤の生葉で1斤の茶葉ができるということになります。加えて人件費が高騰しており、1斤のお茶のコストは6,7千元になります。このほか、武夷岩茶の成長環境は天然で、汚染が無く、武夷山に元々あった小さな工場は最近全て立ち退きをさせられました。これはここの水源が汚染されるのを恐れてのものです。

記者:水仙や肉桂のような武夷岩茶は虫の被害はひどいのでしょうか?農薬は撒くのですか?

呉春秀氏:お茶に虫がつくのは悪いことではありません。昔の人たちは、お茶の上に”茶客(お茶の虫)”がいるのは、お茶の品質が良いことを表している、と言っていました。春の茶摘みの時期になると、茶農家たちは竹のほうきを使って虫を地表に出します。一部の虫は日に晒されると死んでしまい、他の虫も武夷山の山に多く生息する鳥たちによって食べられてしまいます。武夷岩茶は春しか作らず、夏や秋のお茶は収穫しないので、その年の春茶が摘み終わったら少し虫を取り除く農薬を撒くこともありますが、翌年の春に再び摘むときには基本的には残留農薬は残っていません。

 

<3.今年焙煎したお茶を年が明けてから発売する>

記者:水仙と肉桂の製造技法はどのようなものなのでしょうか?

呉春秀氏:武夷岩茶の製造技法には十数種の手順があります。生葉を摘み終えたら、まずはあまり強烈ではない太陽光に晒して、倒青を行います。倒青が終わったら、少し温かくなった生葉を日の当たらない暗い場所に持っていき、揺青を行います。その後に、発酵、殺青、揉捻などいくつかの工程を経て、最後に焙煎します。
肉桂と比較すると、水仙は倒青の時間が少し長く必要です。なぜなら、茎が太く、葉も大きいからです。焙煎が終わったら、1ヶ月ほど放置してから再び焙煎を行います。焙煎は急がず40時間を少なくとも3ヶ月に分けて、20日間に一度火を入れます。

記者:出来上がったお茶はいつ発売するのですか?

呉春秀氏:岩茶は一般的には年末になるまで発売しません。私たちは一般的には1年前の岩茶を飲み、今年のお茶は飲みません。

陳培坤氏:焙煎が終わったばかりだと、炭火の味が茶葉の香りに蓋をしてしまうのです。そのため、その年に飲むと、味が特に重く感じ、一部の人は飲み終えたときに火が籠もった様な感じになります。そのため、私たちは翌年飲むことを主張しています。烏龍茶の保存期限に基づけば2年ですが、武夷岩茶はもう少し保存しても美味しく飲むことができます。

 

<4.きちんと保存ができれば、岩茶は長期保存が可能>

記者:水仙と肉桂のような武夷岩茶はどのくらい保存できるものでしょうか?

呉春秀氏:武夷岩茶は加工されてから焙煎されると、再び箱に入れられます。この流れの中では手を使わないので、焙煎されたばかりの茶は大変清潔です。3~5年放置しても問題ありません。ただ、保存の仕方が良ければ、烏龍茶はどれも長く持つのです。私はまだ30年以上もの大紅袍を保存していますが、飲み終えた後の喉は特に心地が良くて、普段はしまっておいて飲みはしませんが、大切な友達が集まったときなどには淹れています。

記者:この2種類の武夷岩茶には何か独特の効能はあるのでしょうか?

呉春秀氏:水仙には利尿作用があり、50才以上の人が飲むのには特に良いでしょう。タイ、シンガポールは湿度が高く、水蒸気が多いので、水腫になりやすくなります。現地の人々は水仙を飲んで余分な水分を取り除くのを好みます。このほか、肉桂には火による陽を補う働きがあり、寒を取り去って痛みを止め、気血を温めて血を良く通じさせる効能があります。

 

少し長い記事ですが、岩茶に関する等身大の姿が見えてくるのではないかと思います。
正岩茶に関しては、現地の値段の相場がこれですから、お手頃価格で正岩茶を謳っているのは、基本的には疑ってかかるべきでしょうね。もはや庶民が気軽に買えるお茶ではありません。

 

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